その日の報道番組は大相撲の九州場所のために、日付が変わってから始まったなり。そして、その一時間番組を終えて、それからちょっと反省をすませてようやく青組さんが下宿屋に戻って来たのは深夜も深夜、といった時間帯だったなり。
タクシーを降り、下宿屋の窓を見上げて、綾組さんは溜息をついたなり。
「疲れてんだから、さっさと寝てりゃいいのに」
下宿屋の窓にはまだ明々と灯りがついていたなり。
「ただいま」
ドアを開けると、奥から
「お帰り、なんか食う?」
赤組さんが返したなり。
「いやいい、さっき軽く食ったし」
青組さんは、言いながらリビングに入ったなり。
リビングのソファに赤組さん、そのそばにはボニが座っていたなり。
「何、ボニ。おまえ、夜更かしは美容の敵だべ?」
青組さんが言うと、「わたしもそうだと思うのよね」とばかりにボニータは大きくあくびをして、自分の寝床に向かったなり。
「お疲れさま」
赤組さんはにっこりと笑ったなり。
「お疲れは、どっちだ?おまえ、さっさと寝ないと、疲れてねぇの?」
「おまえに言われるようなことか?」
赤組さんは、言いながら立ち上がったなり。
「とりあえずさ、ビールでいい?」
いいながらびーるの準備をしようとする赤組さんを青組さんは追いかけたなり。
そして背中から近づくと、ちょっと背伸びをして、耳元に口を寄せたなり。
「誕生日、おめでと。では、歌います!」
「まっ、待った、ちょっと待って」
慌てたように言う赤組さんに、青組さんはふてくされたようにその肩にあごをのせたなり。
「なんだよそれ?ちょっと失礼じゃねぇ?俺だってちゃんと歌えるんだぜ?」
「知ってる、知ってます!!でもさぁ、おまえだって知ってるくせに!!」
「ん?」
「俺、肩弱いんだってば!!」
「知ってるけど、こういうときはそんなの我慢しなきゃ!!」
そう言ってにやにやと笑いながら青組さんは歌い始めたなり。ちょっとゆっくり目に低く歌う「Happy Birthday to You」は、耳に優しく響いたなり。が、赤組さんは、何度も青組さんから逃げようとし、青組さんはそうさせまいとする、というちょっとドタバタした状態になっていたなり。
「Happy Birthday to You〜♪」
ようやく歌い上げ、赤組さんもやっと解放されたなり。
「・・・・で、プレゼントは?」
赤組さんが言うと、青組さんは驚いたような顔をして見せたなり。
「うっそぉ!5万人から2日間祝ってもらっといて、まだ何か欲しいっていうの、信じらんねぇ!!」
そんな風に言った青組さんだったなりが、実は部屋の隅に福岡へ出発する前に、プレゼントを隠していたことを、寝床で眠そうな顔をしているボニは知っていたなり。