収録を終えたとき、赤組さんは何故か不機嫌だったなり。何に対してこんなに腹立たしい気分でいるのか、本人にもよくわからずにいたなり。赤組さんが不機嫌なときには、弟さんたちは下手に声をかけたりしなかったなり。そのまま荷物を持ち、さっさと楽屋を後にしたなり。残されたのは赤組さんと青組さんだったなり。
「何、ぶすくれてんの?」
青組さんは赤組さんの頭を軽くこづいて言ったなり。
「あんなに大変だったなんて聴いてなかった・・・・」
赤組さんは前髪越しに上目遣いで青組さんを見たなり。
「言ってただろ?3Km過ぎからずっと足痛くって大変だったって」
青組さんは答えたなり。
「だけど、あんなにキツそうだったなんて!」
そう、ずっと話には聴いていたなり。でも、そんな時いつも青組さんは笑ってもいたなりから・・・・聴くのと見るのではまるで違っていて。あんなに痛みがあったのに、そんなで40Kmも走るなんて。「罰ゲームにリタイアはないだろ」青組さんのそんな声まで蘇ったなり。
「何で、やめなかったんだよ」
声が何故か尖ってしまうのを赤組さんは押さえきれなかったなり。
「おまえだったら、やめる?」
青組さんは前髪を吹き上げて、赤組さんを静かに見たなり。
「話したよな、清原のこと考えながら走ったって。・・・・そして、俺、おまえのことも考えてた。おまえだったら、こういう時どうしたかなって。足が痛くて、痛くて、走りながら痛みだけしか感じなくなったそんな時、おまえだったらどうするだろうって、そう思ったら足が前に出た。おまえにだけは負けられなかったから。おまえに並べなくなったら、終わりだと思ったから」
「でも」
「・・・・なんて言ってもムダ。これだけは譲れねぇから、俺」
青組さんは笑ったなり。赤組さんは青組さんの足に目を落としたなり。
「もう、平気?」
「ばぁか、いつの話だよ?」
「・・・・よかった・・・・」
赤組さんは青組さんを抱きしめたなり。「ほんと・・・・よかった」
「何やってんだよ、キツイって」文句を言いながらも青組さんは、赤組さんにそれを許していたなり。