朝、目を覚ます。 ちゃんとした時間に寝て、ちゃんとした時間に起きる。 あぁ、オフなんだなぁ、ってそんなことで実感する。 あいつの部屋には今日も気配はない。 最近ずっとそう。 ドラマの収録現場で色々と意見を交換したりして、 気が付くともう朝で、だからそこの宿直室に泊まり込んだり、 近くのホテルに泊まったり、そんな風な毎日だって言ってた。 何か面白くなくって、ソファのあいつの定位置、膝を抱えて あいつみたいな姿勢で、リモコンを手にする。 TVのスイッチを入れ、見もしない番組をじっと見つめた。
「何、まだ起きてたの?」 はっとしてドアの方を見ると疲れ切ったあいつの姿。 「ばぁか、俺はもう起きたの!!世間じゃ朝だよ?朝!」 「そっか」 口の中でもぞもぞとそんな風に言って、あいつは俺の方へ 近づいてくると、まるで小さな子にするみたいに俺の額を その胸に押しつけてきた。 「あのさぁ、おまえ知ってる?」 言いながら俺の髪をくしゃっとして頭をそっと撫でた。 「疲れてるときに何か考えると、結局、ろくな結論出ねぇんだよ? そんな時は、色々考えない方がいいんだって・・・・」 撫で続けるその手はほんわりとあったかくって、 何だか小学生のガキになっておふくろにそうされているみたいな そんな優しい気分になっていた。
・・・・俺、疲れてたんだろうか?
気が付かないのは、もう疲れすぎだって・・・・ あいつの笑う気配が伝わってきて。 そして不意に体重が俺の方にかかってくる。 「2時間後・・・・起こし・・・・て」 聞こえるか聞こえないかの声。 忙しいのに、それでもそれだけは言いたかったのかなぁ。 そう思ったら、何だか鼻の奥がつんとして俺は必死に涙を 堪えなくちゃならなくなった。
やっぱり・・・・疲れていたのかもしれない・・・・。 |
そして、こんな話を書きながら、多分一番癒されたかったのはわたくしだったのでしょう・・・・