××下宿屋木村 痺れるできごと××

 

「おい!!」

赤組さんが27時上がりという、世の中にそんな時間があったのか?と言うようなドラマの収録を終えて帰ってくると、リビングの灯りを明々とつけて、青組さんはソファで寝ていたなり。とりあえず、エアコンも付いていたなりから、寒くはなかっただろうけれど、

「よく眠れたよな」

と言うべき、青組さんの無理な姿勢に赤組さんは苦笑したなり。

とても気持ちよさそうに眠っていた青組さんだったなりが、とにかく、ここでこのまま寝ていては風邪をひくかもしれないなりから、赤組さんは青組さんを起こすことにしたなり。

「ン・・・・な、に?」

半分寝惚けたような青組さんの瞳が、ゆっくりと焦点を赤組さんに合わさったなり。寝起きで舌っ足らずな口調で、それでも青組さんは

「おかえりぃ」

と、赤組さんを迎えたなり。

「ただいま」

そんな様子に、何となく微笑みながら赤組さんも答えていたなり。

「おまえさ、そんなとこでうたた寝なんてしてたら、風邪ひくぞ」

赤組さんはそんな風に言って、青組さんにベッドにはいるように促したなり。

青組さんも素直にそれに従って立ち上がろうとしたなり。・・・・立ち上がろうしたなりが。

「あ、っ!」

小さく掠れたような声で言ったきり、青組さんは動きを止めたなり。

「ん?どうしたの」

「何でもねぇよ、着替えてきたら?」

近づこうとする赤組さんを青組さんは牽制したなりが、赤組さんはそれには構わずにそばに近づいたなり。それを見て青組さんは慌てて立ち上がろうとし、けれども微かに顔をしかめて座り込んだなり。

「痺れちゃったんだ」

妙に嬉しそうな顔で赤組さんは青組さんのそばに膝をついたなり。

「そんな変な姿勢で眠るから」

「痺れてないってば!!」

「そう?」

言いながら赤組さんは青組さんの脚をゆっくりと、つつくようにして触ったなり。

「んっ、やめろってばっ」

「やだ、やめない」

「おまえなぁ、性格悪いっ!やめ、・・・・つっ、覚えてろよ」

脚が痺れているために、まともに身動きさえ出来ない青組さんの脚を、赤組さんは何度も何度もつついていたなりが、やがて、

「なっに!」

青組さんをくすぐりはじめたなり。

「何しやがるんだよ、てめーっ!」

青組さんは赤組さんの魔の手(笑)から逃げようとしたなりが、足がまだ痺れたままで、どうにも自由のきかない状態だったなり。

「だって楽しいじゃん!」

「俺は、楽しくなんて、ねぇっ!」

「えーっ、楽しいよぉ?」

笑いながら言って、くすぐるのをやめなかった赤組さんだったなりが、あと数分も経たないうちに痺れのとれた青組さんから、見事なまでの反撃をうけることには、まだ気付いていなかったのだったなり(笑)

 

おわり