××下宿屋木村 下宿屋のお正月××

 

「そろそろ、3時過ぎだけど、起きない?」

赤組さんに声をかけられて、青組さんはベッドの上で伸びをしたなり。

揃って初日を見てから、部屋に帰って、ちょっとだけビデオのチェックをしたりして、二人とも結局眠ったのはお昼近かったなり。

「ん・・・・」

何度か大きく頭を振って、それでも目の覚めない青組さんは、そのままシャワーに向かったなり。

「おいっ、着替え!!」

それに向かって、声をかけてタオルと着替えを渡した赤組さんだったなり。

 

「ちょっと、木村、これどうすんの?」

しばらくして、バスルームから声が聞こえたなり。

「あ、待ってて、今行くから」

赤組さんの渡したのは羽織と着物、と言う和服のセットだったなり。

さすがは元剣道少年の器用さで、赤組さんは青組さんに着付けてやったなり。

そうして、青組さんの着付けがすむと赤組さんも着替えをすませ、二人はリビングに向かったなり。テーブルの上にはおせちとお雑煮が用意されていたなり。

「え?おせち、作ったの?」

おどろく青組さんに

「いや、さっきおふくろが“中居くんと一緒に食べなさい”って、持ってきてくれた」

赤組さんは答えたなり。

「お母さん?いつ来たんだよ?」

「中居が寝ている間だけど」

「・・・・あのさぁ、そう言うときは起こせよなぁ。挨拶とかしとかなきゃなんねぇだろ?」

頭を抱えた青組さんに赤組さんは笑ったなり。

「いいって。おふくろも、“疲れているでしょうから寝かしといてあげなさい”って言ってたしさ。おふくろね、俺がいつっも似てる似てるって、言ってるせいか、中居のこと可愛くてしょうがねぇんだよなぁ。多分、実の息子よか気に入ってると思うぜ?」

「それとこれとは別だろ・・・・?」

青組さんはため息をついたなり。

「木村、おまえ明日、ちょっと実家に帰るって言ってたよな。一緒に連れて行って」

「え?」

「お礼言いにいかなくちゃ」

さすがにそう言うところに細かい、リーダーさんが赤組さんには微笑ましかったなり。

 

「あけましておめでとうございます。今年もよろしく」

お屠蘇をついでから、二人で改めて頭を下げたなり。そんな、わざわざ改まって挨拶をするのが何だか照れくさくって、頭を上げた途端、どちらからともなくにやにやと笑ってしまった二人だったなり。

 

「じゃ、戴きます」

青組さんはお雑煮のお椀を手に取ったなり。

「あ、ちょっと待って」

赤組さんは呼びとめるとキッチンから、用意していた冷酒のセットを取ってきたなり。

「おまえ、昼間っから呑む気かよ?」

青組さんの言葉に

「えーっ、でも、夜する事を昼間にすると楽しいんでしょ?」

と笑った赤組さんだったなり。

お酒は、赤組さんがビストロのスタッフに聞いてきた知る人ぞ知る某県の隠れた銘酒を、暖かい部屋で呑むなりから、逆に冷やしておいたもの。それを切り子ガラスの猪口に注いで呑んでいる二人にお正月のあったかい光が窓から降りそそいでいたなり。

「ねぇ、お雑煮、木村家風にしたけど、これでよかった?」

「ん?おいしいけど?」

「だって、お雑煮って家々でずいぶん味が違うじゃん。お餅一つとっても、煮て入れたり、一度焼いたのを入れたりして。だから、中居はどんなのがいいのかなぁ、っておもって」

「そうだなぁ、俺はやっぱり餅はさぁ・・・・」

お雑煮談義に花を咲かせる二人の廻りで、ただただゆっくりと時間だけが過ぎていったなり。

 

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

のんのん。