××下宿屋木村 Song for you!××

 

その日はスマスマの収録日で、毎週繰り返されているのとそんなに変わりなく、収録が続けられていたなり。

だんだん夜も更けて、それでも収録は切れ目なく続けられていたなり。そんな中で赤組さんは

「早めに終わらせよーぜ!!」

と声をかけていたなり。が、もしかしたらこれは24時を越えて、25時26時終了、なんてことになるかも知れないなぁ、などと、スタッフもメンバーも思い始め、その頃になって、何故か、赤組さんの機嫌が少し悪くなっていたなり。それは、本当に少しだけだったなりから、メンバーの一部しか気付かなかったと思われたなりが。

もちろん青組さんには、そんな様子がすぐに伝わってきていたなりから、

「どうしたんだよ、一体?」

青組さんは赤組さんに尋ねていたなり。

「いや、別に」

赤組さんは短く答えたなり。「別に、じゃねーだろ?」と、青組さんは思わずにはいられなかったなりが、けれども、赤組さんが、それで収録に集中しきれていないとか、収録に悪い影響を与えているわけではなかったなりから、そのままそこを離れたなり。

ただ、一体どうしてそんなに今日に限って、こんな風なりかなぁ、と言う気持ちは青組さんの中に引っかかっていたなり。

結局その日の収録も24時をまわろうとしていたなり。

ふっと、青組さんが赤組さんの方に目をやると、赤組さんが立ち上がってこちらに向かってこようとしているのが見えたなり。本当に短い合間だったなりが、ちょうど収録に一息入れよう、という時だったなりから、青組さんもなんだろう?と思ってそちらに近づいていたなり。

赤組さんは青組さんに近づくと、青組さんの肩に手をやって青組さんを引き寄せたなり。そしてその耳元で少し早口になりながらも、

「今年はさ、いつもみたいに何万人、って訳にはいかねーけど」

そんな風に前置きをして、他には聞こえないような声のまま歌いはじめた赤組さんだったなり。

 

happy birthday to you

happy birthday to you

happy birthday dear・・・・

 

そこで少しだけためて、それからそっと青組さんの名前をささやいて。

 

happy birthday to you

 

歌い終えると、赤組さんは何もなかったかのように青組さんから離れたなり。

「恥ずかしいヤツ~」

青組さんは、ちょっと困ったような顔をして、そう言ったなり。けれど、その前に本当に小さな声で、

「・・・・なんだよ、・・・・ありがと」

そう言ったのを聞き逃さなかった赤組さんだったなり。だから。本当は仕事を終わってから、言いたかったなぁ、というのはもういいか、とも思っていたなり。

その頃になってようやく気付いた、他のメンバーやスタッフからも青組さんにお祝いの声がかけられていたなり。

 

28年間積み重ねられてきたあなたの人生に、おめでとう!!