「あら?」
うたばんの収録の合間、女性ゲストがふと気付いたように青組さんに声をかけたなり。
「中居さん、最近海に行きました?」
「え?何で?」
驚いたように青組さんはゲストを見たなり。
「何だか今、中居さんから海の香りがしたんです」
「うっそぉ」
青組さんは自分の腕を鼻に近づけると、くんくんと匂ってみたなり。
「匂わないよぉ、気のせいじゃねぇ?」
「そうかなぁ?」
ゲストは首を傾げたなりが、そのあとを貴さんが引き取ったなり。
「気のせいじゃねぇって。俺もそう思ったし。ドラマもアップしたし、遊びに行ったんじゃねぇの?それをわざわざ隠すってことは、中居くん、もしかして彼女連れとか?」
「違いますって!!」
「ますます怪しいねぇ・・・・」
「貴さんっ!!」
「すみませーん、そろそろ続きいいですか?」
タイミング良く(悪く?)かけられたスタッフの声に、その場はそれっきりになったなり。
「ただいまー」
青組さんがドアを開けると、海の香りが鼻についたなり。出迎えにきたボニも、今日は何だか潮の香りが強くして。
「何?あいつ今日も波乗り行ってたの?しかも、今日はボニも一緒だったわけ?」
そうよ!と言わんばかりに、少し自慢げにボニが一声吠えたなり。リビングに向かうと、シャワーの音が聞こえてきて、どうやら赤組さんはシャワー中らしいな、と、荷物を下ろして青組さんはソファの定位置に座ったなり。
赤組さんのドラマが終わってから・・・・。赤組さんはそれまでの分を取り戻すかのように海へ出かけていたなり。いつしか下宿屋の匂いが海の匂いになってしまい、その匂いに、ここしばらく海に行く暇もなかった青組さんまでもが、気付かぬうちに染められてしまうほどに。
別に自分が忙しいんだから、少しは遠慮しろとは青組さんも思わなかったなりし、そんなことされたりしたら、間違いなく気詰まりだっただろうとは思うなりが、
「だけど、匂いが移るほどになってんだから、このくらいはしてもらってもいいんじゃねぇ?」
青組さんは独り呟くと、髪を拭きながらリビングに戻って来た赤組さんに声をかけたなり。
「なぁ、今度俺も一緒に、海、連れてけよな」