××下宿屋木村 ビデオを見よう××

 

シャワーを浴びて、冷蔵庫からHopsを一本取り出して、

「ビデオ見てもいい?」

赤組さんに尋ねて、青組さんは床に座り込むと、ビデオのリモコンを手にしたなり。そんな青組さんの背中にくっつくようにして近づくと、赤組さんはその肩に自分のあごをのせたなり。

「何見てんの?」

「・・・・見りゃわかるだろ?」

「うん」

そう言って、赤組さんはそのままの体勢でTVの画面を見たなり。青組さんの鼻にアルコールの匂いが届いたなり。

「こいつ、結構飲んでるな・・・・」

青組さんが思ったとき、

「慎吾がさぁ」

不意に赤組さんは緑組さんの名前を出したなり。

「慎吾が言ってた。・・・・うたばん出るの嫌いだって、さ」

そして、そのままぽつりと言ったなり。

「なんだよ?それ!!俺の番組がやだっての?」

青組さんは赤組さんに振り返ろうとしたなりが、赤組さんはそうさせなかったなり。

「・・・・うん。剛も、吾郎もやなんだって」

「・・・・どういうこと?」

「中居がぁ・・・・。中居がね、何だかSMAPの中居じゃなくなった、みたいな気分になるんだって・・・・」

赤組さんは、面白くなさそうに言ったなり。

青組さんは目を閉じたなり。そして、深く息を吸うと、尋ねたなり。

「木村も・・・・そう思う?」

「俺?俺も、やっぱりそう思ってた」

赤組さんは言ったなり。けれども、すぐに言葉を続けたなり。

「でもね。何だか、今の中居を見ていたら、大丈夫じゃん、って気分になった」

そう言って、赤組さんは、青組さんの肩にすりすりと頭をすりつけたなり。

「何マーキングしてんだかね、この酔っぱらいは」

そう思いつつ、青組さんは、ぽんぽんと、優しくその頭を叩いて言ったなり。

「あったりまえじゃん。俺の帰るところってSMAPしかないんだから、俺からSMAP取るんじゃねぇよ」

「ん、よく、わかった」

赤組さんが、もう一度顔を上げて見つめたTVの画面には、楽しそうに笑いあっている、この夏のライブの彼らがいたなり。

 

結局そのまま赤組さんは眠ってしまったなり。その赤組さんを横にして、毛布を掛けてやりながら、青組さんは言ったなり。

「あの時、一番淋しいのは俺だって、わかってねぇのかね?みんな」

本当に小さなつぶやきだったなり。

 

「・・・・ごめん」

けれども、それ以上に小さなつぶやきに、青組さんは、はっと視線を赤組さんに向けたなり。いつの間にか赤組さんは目を開けて青組さんを見ていたなり。

照れたように笑う青組さんに、赤組さんはもう一度言ったなり。

「ごめんな」

青組さんは大きく息を吐き出したなり。そして、一言だけ言ったなり。

「ばぁか」

「うん」

顔を見合わせて、二人は照れくさそうに笑いあったなり。