××下宿屋木村番外編 美味しいワインを飲むために××

 

「しっかし、唐沢くんも気の利いたことしてくれるよな」

収録を終えた楽屋での青組さんの言葉に、桃組さんと緑組さんは大きく頷いたなり。

「何のこと?」

よくわからない、と首を傾げる赤組さんに青組さんは言葉を続けたなり。

「ワインだよ、ワイン!!ワインだけじゃ飲めねぇんだよな、それにグラスとこのオープナーが揃ってこそ、美味しいワインが飲めるっていう・・・・なんか格好いいじゃん!SMAPがみんな揃わなくっちゃ飲めないってことなんだぜ?」

うっわー、絶対それってばこじつけだ、言いがかりだぁ〜〜!!そう思った赤組さん、黄組さんだったなりが、2対3で、しかも3の方に青組さんが入っているとなれば、2の方が言い負かされることは火を見るよりも明らかだったなり。赤組さんも黄組さんも、無駄な抵抗はやめることにしたなり。

もう1本のビストロの収録中に、食材と一緒にワインを冷やすことにしたメンバーだったなり。

 

2本目のビストロの収録も終え、メンバーはちょうどいい感じに冷やされたワインを持って楽屋に戻って来たなり。

「それでは」

ということで、青組さんがコルク栓を抜いたなり。

「グラス2個しかないんだけど、どうする?」

「まわし飲み?」

「えーっ、それはちょっと・・・・」

一部に激しい拒絶反応が見られたため、プラスチックコップも3個用意されたなり。

「こんないいワインをプラスチックコップって、なんかもったいないよねぇ・・・・」

そう言った桃組さんと、

「俺がもらったんだよ、グラス〜〜!!」

と言った緑組さんがワイングラスを、残りの3人がプラスチックコップを使うことになったなり。

グラスとコップ、それぞれにワインが注がれ、

「かんぱーい!!」

意味もなく乾杯をして、5人はワインを飲み始めたなり。

「待ってよ、グラスとコップって何だかグラスはすごく損していない?」

途中でグラス組がそう気が付いてコップ組に変更し、唐沢くん曰くの、「飲んでみて初めて解る男の息吹って感じのワイン(笑)」は、あっという間に5人の胃袋におさまってしまったなり。

「美味しかったねぇ」

「そう?何だかこのメンバーで飲むと勢いで飲んでるって感じで、味が良くわかんないんだよねぇ」

「カッコつけてんじゃねぇよ」

わいわいしている5人は、だけどまたいつかこんな風に5人揃ってワインが飲めたらいいなと思っていたなり。

「そん時は、俺がちゃんとまた開けてやるし」

「あ、じゃあ俺グラス持ってくるね」

「・・・・ちょっと待てっ!!だったら、俺たちはワイン買ってくるわけか?」

「いいじゃん、それくらい」

わいわいと楽しそうな声は、暫く楽屋から聞こえていたなり。