「でさぁ、おまえのドラマってどんなの?」
今度は赤組さんが青組さんに訊いたなり。
「どんなって・・・・昔のドラマのリメイク」
青組さんはめんどくさそうにいったなり。
「リメイク?どんなドラマ?おまえどんな役なの?」
それでも赤組さんは続けて訊いたなり。
「医者の役。・・・・詳しく知りたかったら、ドラマ見ろよ」
青組さんはそれだけを言うと、ドラマの脚本を取り上げたなり。
「以上。説明終了」
「おい、それって自分ばっかり・・・・ずるくねぇ?なぁ、俺はSMAPゴネって使えねぇわけ?」
赤組さんは言ったなりが、青組さんは聞かなかったなり。
と言うわけで、赤組さんはほとんど予備知識もなしで、青組さんのドラマを見たのだったなり。そして、ドラマの収録から帰ってきた青組さんに言ったなり。
「見たよ、すっげーじゃん、凄くよかった!!特にさぁ、最初のシーンの・・・・」
興奮気味に話し始めた赤組さんを遮って青組さんは言ったなり。
「別に感想はいいから」
「え?でもさぁ、すっげーよかったよ?ほら、志村だっけ、あの子とのシーンなんかでもさ」
「長くなるんだったら、要点まとめて。その要点だけでいいから」
疲れているのか、青組さんはそれこそドラマの直江先生ばりの素っ気ない様子で言ったなり。
「うん・・・・とりあえず、よかったから」
そんな風に言われてテンションが下がってしまった赤組さんは、それだけを言い置いて部屋を出たなり。
それを確認して、青組さんは溜め息をひとつついたなり。
「なんだよあいつ・・・・あんな風に言われたら、恥ずかしいじゃねぇか!!もう、さいしょっから、なるべく話題にしねぇように、しねぇようにってしてるのに!!」
落ち込んで部屋の外に座り込んでいた赤組さんにも、青組さんのその呟きは聞こえていたなり。
そう言えばドラマが決まったばかりの頃、妙に恥ずかしそうにしていた青組さんのことを赤組さんは思いだしたなり。そして、今夜も一度も赤組さんと目を合わそうとしなかった青組さんのことも。何だかそんなことを思い出すと、ほほえみが浮かんできて、あったかい気分になった赤組さんだったなり。
赤組さんはゆっくりと立ち上がると、寒い外から帰ってきたばかりの照れ屋な青組さんのために、温かい飲み物を用意するためにキッチンへと向かったなり。