大好き！！

大好き！！
　

「何で自分の誕生日なのに、じぶんち使わせなきゃなんねーの？」

　中居くんが不機嫌そうな口調で文句を言う。まぁ、言葉はあれだけど、目が悪戯っぽく笑ってるからそれは本気じゃないってわかる。

「つぶれるまで飲んでも大丈夫なように、ささやかな心遣い」

冷静にさらりと吾郎ちゃんが答え、

「けど、明日いいともだし、そんなに呑ませらんねーと思うけど」

と、木村くんが釘を刺す。そうだね、何があってもつよぽんは押さえろ、って厳命が木村くん＆吾郎ちゃんから秘かに下ってもいるしね。････って、でも、だったら中居くんちでやる意味ないんじゃ？って思いつつ、横目で中居くんの方を覗いたけど、気付いたらしい中居くんもただ笑ってるだけだった。

　いくらエアコンを入れてるからって、夏真っ盛りにこたつはちょっとつらいから（視覚的になんか、やじゃない？）こたつ布団は畳んではしによけて、テーブル代わりに三つ並べた。部屋は中居くんから借りることにしたけれど、それ以外は俺たちそれぞれで準備していて、それらを並べるとこたつの上は隙間が少ないくらいになっていた。ま、何というか、一応俺たちってばビストロシェフだしね？

　俺は最初っから、バースディケーキが割り当てられていたから、もう思いっきりフルーツを使ったケーキを作らせてもらった。フルーツの味を生かした甘すぎないケーキ。本当はね、中居くんにはケーキよりもフルーツをそのままの方がいいかもなぁ、なんてことも思ったんだけど、お正月には鏡餅、クリスマスにはツリー、七夕には笹、って感じで、誕生日には欠かせないお約束だからね。

　木村くんはお得意のパスタが一品と、後は中居くんが好きそうな、和風のおつまみっぽいものを何点か。あっさり系だけどそうとう手間暇かかってるってことは、多分一年間シェフをやった中居くんにもわかってると思う。吾郎ちゃんは、

「お約束だしね」

ってことで、ワインを何本か持ってきた。イナガキゴロウセレクトのワイン････後で中居くんに

「ワインの味なんてわかんねー」

と言われる運命なのだとしても、ちょっと気になる。吾郎ちゃんはもちろんそのワインに合うような軽い感じのおかずも持ってきていたけれど、やっぱりおつまみ系を作ってて、これにつよぽんまでもがおつまみ系できてるもんだから････こたつの上は、

「なんて言うか、居酒屋系？」

って感じになっていた。････材料とか、手間とか言う部分ではきっと比べられないと思うけど。

　これまで何年かの間、中居くんの誕生日はツアーの最中で、本当に五人だけでこんな風に集まってのパーティって久しぶりだった。だけど、俺はこんな時間が何よりも好き。中居くんちだってそんなに狭い訳じゃないのに、そこから離れたくないみたいに、こたつのあるその一箇所にぎゅっとより集まって、いろいろやってるＳＭＡＰが。

「おめでとう！」

そんな風に言って、揃ってないグラスで乾杯する。それだって俺たちらしい気がして嬉しい。

　明日もこんなだったらいいな。その次の明日も、その次の次の明日も。そしてまた来年も、こうして中居くんの誕生日をみんなでお祝いしようね。

　

「おーい、慎吾ぉ、つぶれてんの？」

そんな声が聞こえた気がしたけれど、俺はそのまま幸せな気分で眠りに落ちていった。