ひろちゃんは、おねえちゃんが、ちっちゃいちっちゃいこねこのときに おともだちからもらってきました。
たくちゃんは、おにいちゃんが、ちっちゃいちっちゃいこいぬのときに おともだちからもらってきました。
おうちにきたのは、ひろちゃんのほうが 3かげつほどおにいちゃんでしたけれど、2ひきは とってもなかよしでした。
ひろちゃんがいくところには、たくちゃんはいつもついていきました。たくちゃんがかなしいときには、ひろちゃんもかなしいきもちになりました。2ひきでいっしょにいると、それだけでわくわくして、じっとしていられなくなりました。ひろちゃんのせかいのまんなかには、たくちゃんがいました。たくちゃんのせかいのまんなかには、ひろちゃんがいました。
「いぬと ねこなのにねぇ」
おうちにきたおきゃくさんは、いつも、びっくりしたようにいうのでした。
「おまえら へんだよ」
あるひ ひろちゃんが、おそとにあそびにいくと なかまのねこがいいました。
「ねこといぬは ちがういきものなのに」
ひろちゃんは どきっとしました。それはひろちゃんが さいきん きにしていたことだったからです。
ひろちゃんのかおのかたちと たくちゃんのかおのかたちは ちがうのです。
ひろちゃんのからだつきと たくちゃんのからだつきは ちがうのです。
ひろちゃんは たかいところにするするとのぼれるけれど、たくちゃんは のぼれません。たくちゃんは ながいあいだはしっていられるけれど、ひろちゃんは すぐにつかれてしまうのです。
なにもかも、ひろちゃんとたくちゃんはちがっているのでした。
「ひろちゃん」
たくちゃんが そばにきたけれど、ひろちゃんは たんすのうえにとびのりました。たくちゃんは たんすのしたで、さみしそうに ひろちゃんをみあげています。
「ひろちゃん、なんでなの」
「だって、おれたち ちがういきものなんだから」
ひろちゃんがいうと、たくちゃんは さみしそうに はなをならしました。
べつのひ、たくちゃんがいつものように ひろちゃんのかおをなめようとすると、ひろちゃんは せなかのけをさかだてました。
「やめろって いってるだろ!」
ひろちゃんが たくちゃんにそんなことをしたのは はじめてだったので、たくちゃんはびっくりして、しっぽを たらしてしまいました。
「なんでなの?」
かなしいきもちで たくちゃんは もういちどききました。
「だって、おれたち ちがういきものなんだから。いぬはいぬと、ねこはねこと いっしょにいるのが ふつうなんだ。おれたちが なかよしなのはへんなんだよ」
ひろちゃんは さかだてていたけを もとにもどしていいました。
「おかしいよ」
たくちゃんが いいました。
「おれは ひろちゃんがすきなのに。なかまのいぬより、だれよりも ひろちゃんがすきなのに。ひろちゃんは おれのこと きらいなの?」
ひろちゃんは こまったように たくちゃんをみました。
「ひろちゃんは おれのこと きらい?」
たくちゃんは ひろちゃんをじっとみて もういちどいいました。
「きらいじゃない」
しばらくして、ひろちゃんは ちいさいこえでいいました。
「じゃあ、すき?」
ひろちゃんだって、ほんとうは たくちゃんのことがすきなのです。
「だって、たくちゃんは いぬなんだもの」
「かんけいないよ。いぬとねこだけど、ひろちゃんも、おれも ここのおうちのこ なんだもの。だから、なかよくしてても ぜんぜん へんじゃないよ」
そうなのかな?ひろちゃんは おもいました。
「いいのかな?」
「いいんだよ」
たくちゃんは おずおずと ひろちゃんのそばに ちかづきました。そして ぺろぺろと ひろちゃんのほっぺを なめました。こんどは ひろちゃんも おこりませんでした。
「ねぇ、ひろちゃん」
たくちゃんは もういちどききました。
「ひろちゃんは おれのこと、すき?」
ひろちゃんは こたえませんでした。かわりに ちょっとごきげんに のどをならしました。たくちゃんは うれしくなって、しっぽを ぱたぱたとふりました。