たっくんとひろちゃん3  

  わがままなひろちゃん

 

 たっくんとひろちゃんは ある日、てれびで おすもうを みました。

 てれびでは、そんなにおっきくない おすもうさんが とってもおっきな おすもうさんをあいてに あっちやこっちに とびまわって とうとう かってしまった ところでした。

「すっげぇ」

ひろちゃんは ためいきをつきました。

「かっこいい」

たっくんは めを きらきらとさせました。

 ふたりのみた おすもうさんは まるで せいぎのみかたのようで、むねが どきどきしました。

 

「まいのうみごっこ やろうぜ」

 ひろちゃんが いいました。さっきみた おすもうさんの なまえは まいのうみ といいました。

「うん やろう!!」

たっくんも いいました。ふたりは こうえんに おおきなまるを かきました。ちょっと まがったところも あったけど じょうずなまるが かけました。

 さぁ、どひょうができました。

「おれ まいのうみ とっぴ〜」

たっくんが いいました。ひろちゃんは、たっくんより、ほんのすこし おそかったのです。おれも まいのうみを したいのに と、ひろちゃんは おもいました。まいのうみじゃ なかったら、ほんとうに おもしろくない きがしました。

「じゃ、おれやーめた」

ひろちゃんは そういって ぶらんこに あそびにいって しまいました。

 

 たっくんは どひょうのうえに ひとりぽっちに なりました。

「ひろちゃんは ずるい」

たっくんは おもいました。たっくんがさきに まいのうみを とったのに。ひろちゃんは おそかったんだから しかたないのに。

「ひろちゃんの わがまま」

ちっちゃなこえで いいました。

 だけど。

 たっくんも わかって いたのです。ひろちゃんだって、まいのうみに なりたいのです。たっくんが

「まいのうみ、とっぴ!」

って、いうのが もうすこし おそかったら、ひろちゃんが まいのうみを とっていたでしょう。たっくんだって、ひろちゃんが さきに まいのうみを とってしまったら やるきが なくなってしまう かもしれません。

「どうしよう?」

たっくんは かんがえました。

 

「ひろちゃん、まいのうみごっこ、やろ?」

 ぶらんこで あそんでいた ひろちゃんに たっくんは こえをかけました。

「やだ」

ひろちゃんは いって おおきく ぶらんこを こぎました。

「ひろちゃんも まいのうみに なりたいの?」

ひろちゃんは ぶらんこを とめました。

「うん」

「だったら、じゃんけんで きめようよ」

たっくんは いいました。

 

「じゃんけん、ぽん」

「あいこで しょ」

 なんど くりかえしても なかなかしょうぶは つはきませんでした。

「あっ!」

でも、とうとう まいのうみが きまりました。たっくんがちょき、ひろちゃんがぐーで、ひろちゃんが かったのです。

「やったぁ」

ひろちゃんは うれしくなりました。これで ひろちゃんが まいのうみです。けれど、たっくんは かなしそうでした。ひろちゃんは たっくんを みました。さっき、まいのうみに なれなかった かなしいきもちを おもいだしました。

 たっくんは、さっきのひろちゃんと おなじくらい かなしいはずです。

 どうしたら いいのでしょう?ひろちゃんは かんがえました。たっくんと ひろちゃんは あわせて ふたり。だけど まいのうみに なれるのは ひとりっきりです。まいのうみに なれたひとは うれしいけれど、なれなかったら とってもかなしいのです。

 

「そうだ」

 ひろちゃんは きがつきました。

「たっくん」

ちょっと げんきの なくなってしまった たっくんに ひろちゃんは いいました。

「おすもう ごっこ しよ?」

「え?」

 まいのうみ ごっこだから こまったのです。まいのうみが ひとりっきりだから こまったのでした。だから、おすもうごっこに すればいいんです。どっちも まいのうみには なりません。だけど、たっくんと ひろちゃんという ふたりの おすもうさんに なれば だいじょうぶです。たっくんも ひろちゃんも まいのうみ みたいに かっこいい おすもうさんに なるんです。

「ううん、おれは、まいのうみより かっこいいの!」

 たっくんが いいました。

「おれも!おれも まいのうみより かっこいいんだ!」

ひろちゃんも いいました。

 さて、どっちが かっこいいのかな?しょうぶです。

 はっけよーい、のこった!!

おしまい