きっかけが結局何だったか、今となってははっきりしなかったなり。売り言葉に買い言葉、という調子でだんだん言い争いはエスカレートしていたなり。どちらも意地っ張りなところがあったなりから、そうなってしまっては譲れなかったなり。周りで他のメンバーが、ハラハラして見ていたのもよくわかっていたなりが。
「歳の取り甲斐のねぇ‥‥。あいつ相手じゃなきゃ、ごめんくらい言えたのに、な」
青組さんはつぶやいて、久々に帰った自分の部屋のドアを開けたなり。自分の家に帰っただけだというのに、なんだか部屋は暗くて、青組さんにはよそよそしく思えたなり。
その中に赤い光がひとつ灯っていたなり。留守電の灯りだったなり。
青組さんは留守電のボタンを押してみたなり。
「‥‥」
「イタ電かよ?」
思わずつぶやいたほどの沈黙の後、
「‥‥一緒にいてぇよ」
ただ一言、赤組さんの声だったなり。
「ば、か‥‥だよなぁ」
ため息と一緒に青組さんはつぶやいていたなり。そして、もう一度留守電のボタンを押したなり。いつの間にか、何度も繰り返しその声を聞いている青組さんだったなり。