「焼き肉、焼き肉〜ぅ!」

焼き肉をこよなく愛する青組さんのそんな言葉で、その日は木村旅館に戻る前に、赤組さんと青組さんは焼き肉屋にむかったなり。

タン塩からはじめて、 何番めかに骨付きカルビがやってきたなり。肉をはさむ火ばさみの小型のような道具と、肉を切るためのハサミに青組さんの目が吸い寄せられたなり。

「俺、これ、やってみてぇ!!」

赤組さんはちょっと不安そうな顔をして、それでも道具を青組さんに渡したなり。最初は、普通に切り分けていた青組さんなりが、だんだん飽きてきたなり。ベリーショートに縦切り、斜め切り、切りたい放題になったなり。

「中居〜!!」

「えっ何?」

にこっと笑ってカルビを切り終えた青組さんは、おまけに皿に添えられたサニーレタスまで焼いちゃったなり。が、自分の皿の上を見て、気がついたなり。はしがテーブルの下に落ちちゃっていたなり。

「どーすべ?」

ちょっと考えて、青組さんは、カルビをはさむ道具を手にしたなり。

「やめろって」

すかさず赤組さんにそれを取り上げられて、青組さんは次にはハサミで肉を取ろうとしたなり。

「やめなさい、あぶねーだろ?‥‥もう!」

赤組さんはそれも取り上げると、いきなり肉を箸にとって青組さんの前につき出したなり。

「はい、口!!」

「??」

よくわからないままに開けた青組さんの口の中に、次々と肉は放り込まれたなり。

「あーっ、野菜はいらねえって!」

「野菜も食べなきゃ、バランスわりぃだろ?」

「いらねぇ、俺は焼き肉を食べに来てんだから!焼き野菜を食いに来たんじゃねーもん!」

「食べなさい!」

「やだ!!」

仕事の都合で少し遅れて合流するはずだった、弟くん達三人は、そんなお兄ちゃんたちを見て、ただただ顔を見合わせるばかりだったなり。

おしまい