夏になり、確かにのりのぱりっときいたシーツの感触も気持ちいいなりが、床のひんやりとした感じも捨てがたく、木村旅館は最近、リビングの床に直接雑魚寝が定番となりつつあったなり。その夜も、青組さんはタオルケットを引っ張ってきて、赤組さんはそのままでリビングの思い思いの場所で横になっていたなり。

がさごそ、という音で目を覚ましたのは、赤組さんだったなり。木村旅館には、まだまだ遊びたい盛りのボニータというお嬢さんがいるなりが、彼女が何かを引っ張っているのが、暗闇に慣れた赤組さんの目に映ったなり。

「ボニ!」

注意されて、ボニ嬢はそれをパッとはなしたなり。彼女が引っ張っていたのは、青組さんのタオルケットだったなり。最近このタオルケットを引っ張るのがお気に入りらしく、ボニ嬢は、しばしばそれを繰り返していたなり。ボニータに注意をしてから、赤組さんは青組さんのタオルケットをパンっと引っ張ってしわを伸ばし、

「あれ?どっち向きに掛けていたっけ?」

ちょっと考えて、

「まっいっか」

と、横向きにかけたなり。そして、部屋のあちこちで小さく光っているタイマーなどの明かりが見えないようにうつぶせになると、やがてまた眠りに落ちていったなり。