コラム (1)−ダイビングを始めたい人に−
(1)そもそもこの趣味とは何であるか?
今回のコラム刷新に当たり、いきなり精神的な部分に立ち入ることにした。
実のところ、スクーバダイビングという趣味は、スポーツ系といわれるものの、器具・用具への出費率がかなり高いスポーツである。
一例を挙げてみよう。テニスではラケット/シューズ/ウェアまでそろえても5万円いかない。水泳なら小道具入れても1万円程度。ランニング/ウォーキングもシューズが高くても2万円しない。
ところがこれがダイビングになると、トータル出費額はどんなに安くても10万円はかかる。ミドルクラスで20万円強。ハイエンドクラスとなると50万近く行く製品もある。
確かに現地に手ぶらで行ってレンタルという手法も無くはないが、趣味として捉えたときに自己保有器材がないというのは寂しすぎる。
そういう意味ではゴルフと似たような側面がある趣味といえる。
そして、海のあるところまで移動し、海中に潜るわけである。別に漁をするわけでもなく、ただただ海の生物や魚たちと戯れるだけである。
このあたりは、ゴルフとは違う部分である。当然、ダイビングで「握ったり」はしない(するはずがない)。
この「ただただ海の中にいる」という部分がこの趣味の基本なのである。
であるがゆえに、『それだけ?』と、拍子抜けする人が少なくない。ではどうしてこの『ただただ海の中にいる』事が楽しい(趣味として捉えられている)のか?
『一期一会』という四字熟語がそのほとんどを言い表している。その場そのときにしか出会えない生物たち。その感動を映像に残そうとするダイバーたち。
ここに、『ただただ海の中にいるが何かに出くわすかもしれない』という期待感と発見したときの高揚感がダイバーたちを海に誘うのである。
ダイビングは、そういう意味で、「発見する/出会う」趣味なのである。タイムや勝敗を競い合う趣味とはおのずと異なっている。
(2)ダイビングを始めるには? その1 動機付け
ダイビングをはじめてみたい、けど、どうしていいか判らない・・・。よくある「何がわからないのかわからない」状態である。
私自身がこの趣味をはじめてみたいと思った動機の最初は「泳げるようになりたい」である。いわゆる「息継ぎができない」人だったのである(今も一緒^^;)
当時アルバイトで知り合った女性がショップに所属しているということで連れて行ってもらったのがきっかけである。
そのショップも今はなく、彼女ももう10年来会っていないが、私自身は続いている(ブランクがあるにはあったが、それでも年1回程度は潜っていた)
私が始めたきっかけはこの程度なのである。
実のところ、「続けていく」と思ったことはここ最近までなく、あるショップ(現地サービスであり、logを読めば一目瞭然)での気づきを境に、急速にのめりこんだわけである。
逆を言えば、当初所属したショップでは、ここまでのことはしておらず、それが趣味として成立しなかった原因ともいえた。
要するに、きっかけ・入り口はどうあれ、続けていく「動機付け」というものはどうしても必要になってくる。
今から「ダイビングをはじめてみたい」と思っている人は、まず、当方のみならず、いろいろと情報発信しているダイバー・ショップのHPを丹念に回ってみることである。
そして、「今どうしてもダイビングが必要かどうか」を自問自答してみることである。
海の中を少しでも知っておきたい、というのなら、この趣味は有用だろうし、趣味が高じて就職や自営の道も開けるかもしれない(水中写真家/イントラなど)。
趣味のままでいいや、となっても、潜ったことのない海外の海など、可能性は無限大。
昔ほどではないにせよ、「ダイビングやっている」は女の子に向けても受けがいい(はず。今その効果を実感できる年齢を越してしまっているので実証できない)。
まずは、「どうしてダイビングなのか?」を固めるところから入ってもらうと、早々脱落はしないものである。
(3)ダイビングを始めるには? その2 店選び
私も、色々なショップ出身者からの話を聞くにつけて、「あぁ、この趣味で一番の勘所は店なんだな」と思うようになって来た。
「買わされた」ショップがわかる一式で装っているダイバーを見ると、一種悲壮感さえ感じてしまう。楽しげにしていても、である。
今私自身は、特定のショップに所属していない根無し草状態。勿論行きつけの現地サービスはあるにはあるが、それ以上の付き合いはない。
都市型に所属することになるであろう、ダイビングを始めようとしている人たちの一助になれば、と思って立ち上げたコーナーなので
そろそろ「核心」に迫って行きたいと思う。
所属する(はじめて訪れることになる)店をどう選ぶか?このHPを見られている人は当然ネット環境がそろっていることだと思う。
そこでまず、重要視したいのは「価格の明示」である。
初心者にとってライセンス(Cカード)を所得するにはどのくらいかかるのか、は一番の関心事。まず、価格を見比べて相場を判断する。
ちなみにいわゆるOW(これがあればとりあえずOKのCカード)所得費用は平均60000円前後である。
(★現地サービスでやや安い金額を提示しているところもあるが、その際、往復の交通費や宿泊費は別途になっている)
これを大幅に上回るところは、価格設定がおかしいのであり、安すぎるところは、「裏がある」と思ってもらってかまわない。
また某ショップでは、価格を一切表示していない(関西では大手に当たるショップ)。価格を出せないところは避けるほうが無難である。
その次はショップの規模である。規模が大きいほうがいいというわけではないのがこの業界である。
会社組織で運営されているショップは、当然利益重視で経営されている。ということは、すべての料金/ギア購入代金等は
適正価格よりやや高めに設定されていることがほとんどである。人件費に事務所賃料などなどの諸経費を、来てくれる客が捻出してくれないと
やっていけないビジネススタイルになっている店は避けるべきである。
その次が、店の雰囲気である。
正直言って、初心者にとって、ダイバーたちの集っているショップにいきなり「こんちわー」なんて突撃できるものではない。
言ってみれば、その店内のコミュニティ観が自分にあっているかどうかを見極めることも重要かと思う。
<結 論>
都市型ショップとの付き合いはかなり難しい。客をカモとしか見ていないところも実際散見されるからだ。
ショップとの付き合いは程ほどにし、器材購入を迫られたら、即刻ショップから離れるのも一つの手である。
カードさえ手に入れてしまえば、私のようなフリースタイル/現地サービスに独自予約のほうがわずらわしくなくていいかもしれない。
(4)Cカード所得料金のからくりがちょっとわかった
客寄せ価格といわれている「19800円でCカード!」等の広告。実は、これにはかなりの「裏」が隠されているのである。
そう。私達既ダイバーにとって「オール込み込みでこの値段?」と錯覚してしまうのである。もちろんダイビングを始めようとしている人たちにとってこの価格が
「適正」なのか「安価」なのかを知るすべはないに等しい。その部分がトラブルの元になったりもしているのである。
当然、人件費等がかかるこの業界において、そこまでダンピングして「儲かる」はずがない。この19800円には「重要なもの」が省かれているのである。
それが「カード申請料」と「教材費」といった、どうしても避けて通れないものを料金に含めていない場合があるのだ。
では、実際にすべて込みで計算すると、19800+12600=32400円。これだと、普通のさほどダンピングしていないショップと変わらない。
期間限定価格を出しているところにしても、閑散期割引を適用したり、グループ割をしているなどの特典があるだけ。
要するに「19800円は料金のホンの一部」であるということが全く言われていないのが問題なのである。
また、この価格は「器材を購入したいと思っている人向けの価格だ」と平気で言い放つ店もあるという。要するに「釣られた」だけなのだ。
もともとさまざまな費用のかかるダイビング。入り口の時点で安さを標榜することが後々危険なことはご理解いただきたい。
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