それって、どうなん?
  第二回・「ひのもとおにこ」「小日本」って、なんなん?
 蔑称が、キャラクターになってしまう。そんな「斜め45度に構えた」一連の活動をおってみた。
 きっかけは、本当に単純なことからだったと思う。尖閣諸島沖で、中国の漁船(と思しき船/工作船やそれに類する船舶の可能性もあるという識者もいる)が、海上保安庁の巡視船とチェイスを繰り広げ、体当たりしてくるなどの狼藉を働いたため、拿捕したところ、中国側が強行にデモを繰り広げるなど、過敏に反応。それに恐れをなした日本政府はなんと、処分保留のまま船長を釈放してしまうという、愚を犯してしまう。

 そして、2チャンネルのVIPスレに2010年10月18日(以下、日付は2010年)、『日本鬼子って萌えキャラ作って差別中国人を萌え豚にしようぜ』と言うスレが立つ。すばやく反応したVIPたちが、思い思いの鬼子像を作りあげ、それに則った絵師たちが、思い思いの鬼子を具体化していく。
 まとめスレが出来たのはなんとスレが立ち、1スレが埋まりきる前の10月19日。コレを境に、一気にスレの消耗は激しくなり、各方面でも取り上げられるようになっていくのである。

 そうこうするうちに、「日本鬼子」イラスト案は、あっという間に100タイトルを突破。代表を選定しようと言う動きになっていく。そして、11月に、蔑称であったはずの「日本鬼子」が二次元の世界で、初めて姿を現すのである。この間、わずかに2週間足らず。恐ろしいまでのスピード選定である。

  コレが「日本鬼子」の代表イラストである。


 実際には、応募/公募したわけでもなく、勿論なんの賞金も出るわけではない。しかし、「日本鬼子」をキャラクター化してしまおうという発想は、今まで誰もしてこなかったことであり、ここに今の日本が持つ、「なんでも二次元/萌え化」と言う一種の流れと言うものを感じずにはいられない。
 そして、キャラクターが具体化したことで、別の創作活動も飛躍的に伸びていく。特に著しかったのは、彼女のテーマソング的な楽曲の提供である。
 すでに拙文「つれづれなるままに」2010年21回でも紹介していたが、「HAKUMEI」と言う曲は、ニコニコ動画でデイリーランキング1位まで取ってしまうほどの名作になっているのである(11/18の出来事)。そして、今、この「日本鬼子って萌えキャラ作って中国人を萌え萌えにしてやろうぜ」プロジェクト自体は、別の方向を向かって歩き出している。
 よもやの展開を見せている「日本鬼子」。まさかの日本の萌え攻撃に、語源となった中国の人民は、どう反応するのだろうか?
 なお、「小日本」と言う蔑称も萌え化されている。こちらについては、まとめサイトを参照していただきたい。