銀河漂流 バイファム 概論
 
  放送回解説 その6  26話〜30話

  第二十六話   新型R・V 出撃!!
 総集編も終わり、いよいよ後半戦突入である。実はジェイナスといられるのも後数話を残すのみとなってしまった。まあもちろん、そうなるとはつゆ知らないクルーたちであるが。
 冒頭、トゥランファムの実戦訓練と称して、ベテラン二人がタッグを組んで慣れない新型と悪戦苦闘していた。そこへ、血気盛んな、マキにケンツという、でこぼこコンビがこれまたトゥランファムにチャレンジするというおまけまでついた、訓練と相成った。
 さて、スコットの航海日誌だが、「敵と遭遇して二日が経った」といっている。しかも、後一日あまりでタウト星が目視できる距離になるという。
 ブリッジにも期待に胸膨らませる面々が居た。突如、しおらしいシャロンの発言。水を向けたペンチの言葉につられるように、自分の家族の事をしゃべり出すシャロン。意外な一面が覗き見られた。しかし、自慢げではなかったものの、カチュアには、堪える会話となってしまった。
 その日の食事で、ちょっとしたトラブルがあった。相変わらず強硬派のケンツが決戦を提唱するが、損害を少なくしたいという、ロディたちの考え方が今回ばかりは一枚上手だった。とはいうものの、不安は尽きないスコット。
 タウト星が、遠距離とはいえ、見える位置までやってきた。戦いなれている彼らにとって、タウト星の周りの監視物体など、恐れるに足りないことだった。災い転じて福となすことに長けているクルーが、物体の異常に気づくのにそう時間はかからなかった。計算が終わり、明日に備える面々。だが、1人ブルーが入っているのがカチュアだった。
 そのカチュアが起こした行動は、「ククト語の習得」だった。それに気づくロディ。やはり主役だと認識せざるをえない。
 さて、平和にいけていたジェイナスも、監視物体の一つが暴走を始めた事で一気に緊張感が高まる。出撃する一行だったが、敵の動きがあまりにおかしい事にいぶかる。同じころ、例のエクストラ力線が強まっている事をブリッジも悟る。そのうち、稼動していたもう一つの監視物体も戦域に近づいてくるが、あろうことか、二つの監視物体は、接触して、自滅してしまう。その爆発と同時に、力線が感じられなくなっていた。
 力線の効能に半信半疑だったクルーたち。しかし、今回の戦闘で、すべてがはっきりした彼らにとって、「ガーディアン」以上の働きを示す事になったのは収穫といえる。

 後半スタートと同時に、サブタイトルは姿を消した。また、この回では、ジミーだけがエクストラ力線を可聴できていたという事も付記しておかなくてはならないだろう。

  第二十七話    ロディ帰艦せず
 さて、後半戦最初のお題は、何といってもタウト星でのやり取りである。すでに軌道上にもいて、肉眼でもジェイナスが確認できる位置にまで近づいているはずなのに、敵はだんまりを決め込む。
 何の反応もないタウト星の態度にいぶかるクルーたち。各人がいろいろとアイディアを出すが、決定打に欠けた。結局、小回りが利く、潜入しやすいという利点でRVでの出撃を選ぶクルーたち。ただ、スコットは、クルーたちの決定に不安を隠し切れない。
 ロディ、バーツはそれぞれの愛機に、ケンツとカチュアがトゥランファムに搭乗、マキは、パペットでの出撃になった。タウト星に近づく面々。ブリッジでも、あまりの平穏さに、クレアが、「静かねぇ」と嘆息するありさま。しかし、その静寂は、すぐさま破られる事となった。
 出撃機数より多い敵機に加え、タウト星自体の砲門が相手とあってはあまりにクルー側に不利であった。結局混乱するクルーたち。マキが一機しとめるのがやっとという状態で序盤戦は何とかしのいだ。後半ジェイナス砲座も2機を撃墜、バーツも一機撃破する。しかし、このさなか、ロディだけは潜入する事だけしか頭になかった。ハッチが閉じかかるのを見逃さなかったロディはすんでのところで潜り込む事に成功する。そして、ここからは、完全にロディの独壇場となる。
 当然ながら、しばらくは抵抗を試みるロディだったが、まさしく多勢に無勢。捕虜になってしまう。そのころジェイナスでは、地球軍に援軍を要請しようと試みていた。
 敵司令の前に引きずり出されるロディ。たどたどしい地球語で会話する係官。ロディに向かってとんちんかんな質問をしていたが、突如、その質問が遺跡に関するものに変わった。色を失うロディ。敵がその表情を見逃すわけがない。詰問する係官。はぐらかそうとするロディ。遂に係官が切れる。自白剤の使用をほのめかしてロディに圧力を掛ける係官。だが、司令の温情でその場は何とか逃れる。
 独房に入れられたロディは、自分の独房よりも下層階に捕虜らしき人がいることに気づく。地球語での返事はどれほどロディを勇気づけた事か。しかし、その会話は、進むにしたがって、ロディを絶望の淵へといざなってしまう。悔し涙にくれるロディ。難波 克弘氏 一世一代の大仕事であった。

  第二十八話    囚われのロディ
 前話では、何とか潜入を試みたロディが捕まってしまうところまでを述べた。正直、「スタンドプレー」そのものであり、あまり誉められたものではない。もしロディが大人だったら確実に殺されていただろう。
 捕虜になったロディ。だが、前話、ククトニアンから衝撃の内容の話を聞かされ、完全にブルーが入ってしまう。下からはそのロディの心情を無視して話し掛けつづけられる。やる気の起こらないロディはその声に耳をふさぐ。
 ジェイナスでは地球軍に向けて救援要請を幾度となく送り続けるがなしのつぶて。ブリッジも重苦しい空気に包まれてしまう。ロディの救出作戦もシミュレートの結果はNG。八方ふさがりとなったクルーの中で、1人、立ち上がった少女が居た。そう、カチュアである。彼女はタウト星内に侵入すべく、小型艇に乗り込んで接近を試みるのである。
 捕虜であるロディにも食事がもたらされた。下からは相変わらず赤ん坊の泣き声が。見かねてロディは自分の食事をプレゼントする。その返礼に、と捕虜になっていたククトニアンのリーダーがロディと接触を持つ。
 カチュアが遂に行動に出た。真意のわからないケンツやシャロンには、彼女の行動の本当の意味が分からない。無線の傍受に成功したクルーたちは、ここでカチュアの真のねらいを知る事になる。もちろん、敵にとっ捕まるカチュア。
 敵司令の前に引きずり出されるカチュア。取り留めのない会話を交わす司令とカチュア。そこにロディも連れてこられる。よもやの対面となる二人。次の瞬間、大地がゆれた。ジェダのいっていた「ある行動」が実行に移されたのだった。
 手薄になった司令室をうまく抜け出す二人。どこをどう歩いたか、ちゃんと自分たちの愛機のところまでたどり着く。一方、ジェイナス側でも、タウト星の異変には気づいていた。スコットまで飛び出しての救出作戦が執り行われる。
 歩兵相手に大立ち回りを演じるロディ。かくして愛機に乗り込むロディ。ここで、捕虜になったときの守備隊の一機を軽く撃破。所がここで、17話で登場した、なたを持ったRVがロディの前に立ちふさがる。すんでのところでジェダの乗り込んだ機動兵器に救われる。かくして、スコットたちとも合流できたロディたちは、無事帰還する。
 ロディの持ってきた知らせは、クルーを又絶望の淵に叩き込んでしまう。重苦しい空気に包まれるブリッジ。でもあえる日がくる、とのロディの決意で〆る。

  第二十九話    タウト星脱出命令
 かくして、内部の暴動の影響もあって、比較的簡単にジェイナスの手に落ちたタウト星。ごていねいにドックにまでジェイナスを係留して一同でタウト星の探索としゃれ込む。
 ルチーナたちの提案で、捕虜になっていた両親たちが仮のすまいとしていた場所にたどり着く。ほとんど暗闇の中、クレアが壁のそこかしこにかかれているメッセージを見つける。躍起になって壁にはいつくばる一行。そして、遂にバーツがルチーナの母親が書いたものと思われるメッセージを発見する。
 紹介しておく。
 『愛するルチーナへ。パパとママは、朝も昼も夜も、あなたの無事を祈っています。ルチーナ、あなたの側にいつも、パパとママの心があることを覚えていてね。元気であえる日を祈りつつ。』
 バーツの朗読を聞き終え、壁のメッセージにしがみつくルチーナ。周りのものももらい泣き。今までの苦労を慮れば、これもむべなるかな。さてカッコよく決めたはずのバーツだったが、いたたまれなくなってしまう。ジェダたち、リベラリストとの会見を望んだロディ始め四名は、程なく彼らと遭遇する。一方、一人の軍人の動きにスポットが当てられる。しかし、その彼がロディの「好敵手」になる相手と誰が予想し得よう?
 さて、ジェダにあえた四人は、彼からいろいろな情報を聞き出す事に成功する。両親がククト星にいるらしい事、実験目的で移送した事、あの遺跡は、戦争が始まってから別の働きをした事などである。その会見のさなか、地球軍の到着。とるものも取りあえず逃げ出すジェダたち。この場合、やむない選択だろう。
 ジェイナスにかけ戻る四人。そこでロディは、敵の軍人らしい人影を目撃する。おっかなびっくり、その影を追うロディ。そして、初めてその男ーーミューラァーーと対峙する。バーツの呼びかけに見せたわずかな隙にその軍人からは逃げられてしまう。
 そうこうするうちに地球軍がかなりの船団を率いてやってくる。駆逐艦レーガンのローデンも無事である。ジェイナスの呼びかけで本国に戻るジェダたちへの攻撃を止める地球軍だったが、ここでも彼らの考え方はビジネスライクである。
 大挙して押し寄せる地球軍にクルーたちの思いは、彼らといっしょにククト星に乗り込める事だけであった。しかし、言葉の端々が気に入らないバーツだけは、引っかかるものを持っていた。ロディと司令室に向かうバーツだが、その顔はやはり晴れない。
 ジェイナスに戻った二人を待っていたのは、スコットの絶叫にも似た無線のやり取りだった。地球軍の決定は、当然の事ながらジェイナスにとってマイナスに働くのは当然の帰結であった。先読みできていたバーツの感性には脱帽する。
 緊急会議が持たれるが、結局、この会議もシャロンの一言で片付いてしまう。いわく、「オレたち軍人じゃないぜ」。みんなの腹は決まっていた。そこへ敵襲。それもかなり大掛かりなものだ。全軍が戦域に向かうどさくさに乗じて、ロディたちは陸上用の戦闘用飛行翼(スリングパニアー)をゲット。しかし、この選択が生きる事になるのである。

  第三十話    決死の大気圏突入
 前話で、敵の大軍団が押し寄せ、迎撃に向かったローデンたちだったが、苦戦を強いられる。戦いなれているクルーの目には、すでに地球軍劣勢と映っていた。発進を遅らせ外に出るといい出すロディ。かなわぬとスコット。
 結局、タウトより離脱するジェイナス。その後方では相変わらず激しい戦闘が繰り広げられていたが、小破した敵大型艦が、あろうことか、タウト星の動力部に墜落してしまう。タウト星の大爆発の余波は、そこら辺にいるものすべてを消し去ってしまった。
 この件でも意見が二つに分かれてしまった。しかし、今回は、フレッドの意見が正着と取られた。それでもまだいぶかるロディ。そんな兄の姿にフレッドはある種切れてしまう。
 一方他のクルーたちはどうやってククト星に乗り込むのかで喧喧諤諤。ドッキングカーゴのみで行くことを主張するスコットに対して、武器無しで行くのは危険というケンツ。ジェイナスをどうするのかで結局結論が出ず、シミュレーション待ちとなった。
 壊れかかったロディとフレッドの仲だったが、風呂での裸の付き合いでその修復には成功する。
 シミュレートの結果はやはり艦による大気圏突入であった。そこへ敵襲。今回は今までのショボい戦力ではなかった。大型艦二隻に機動兵器多数。外での戦闘時間がわずか5分という限られた時間では、うまく行くはずもなかった。まして、ケンツである。敵機の多さに奮い立ってしまい、敵の奥深くまで侵入してしまう。ジェイナスに帰艦できない事を知ったロディとケンツ/カチュアは、ドッキングカーゴによる、単独突入の道を選ぶ。
 カーゴには乗り込めたものの、一機が側面に張り付いてしまう。かまわず発進させるロディ。重過ぎる機体にオートプログラムも追いつけず、侵入角度が急になってしまう。手動修正で乗り切ろうとするかれら。側面の耐熱タイルのはじける音は、彼らに死の恐怖を味わわせるのに十分な音響効果だった。
 しかし、何とか、無事に海岸縁の砂地に不時着する、カーゴ。そして、ククト星での大活躍が始まるのである。