銀河漂流 バイファム概論 事 象 考 察
第4回 軍人VS子供たちの能力−−プログラミング編
図らずも、大人たちがケイト以外にいなくなってしまった13人が、サブコンピュータの力も借りながら、ジェイナスという軍艦を操ることになったのは、12話から30話までの期間である(途中総集編2話を挟むので、実質17話相当分)。その途上、艦の航行に関してはノータッチだったケイトも死に完全に子供たちが運営していたことになる。
そんな彼らに地球軍の援軍が接近。ひと悶着あったが、23話では艦の運営一切を駆逐艦・レーガンの乗組員が代行してくれていた。
そして事件は起こってしまったのである。
かなりの大軍を繰り出してきたククト軍に対抗すべく、現役軍人たちは、もとの持ち場に戻ることとなり、また子供たちが艦の運営を担当することになった。その引継ぎの場面である。自席を奪い取ったシャロンが一言、
「あれ?7光秒もずれてるぜ、誰だ、こんなプログラミングしたの?」
といってしまうのである。
そう、今回の考察対象は、現役軍人が子供たちに馬鹿にされた、プログラミング能力について考えてみようというものである。
このことについてはまず当該の「重箱の隅」ファイル内の記述を参考にしてもらいたい。
実は、重要な前提条件があることに気づいたのである。
そう、「サブコンピュータの存在」である。軍人でもなく、わずか平均年齢10歳程度の13人で艦が運営できるはずもなく、当初サブコンピュータなしでは「出発は不可能」とボギーに宣告されていたほどである。そして、軍関係者がブリッジを掌握した23話開始当初はサブコンピュータを艦の航路設定等からはずし、武器/レーダー管制のみに利用していたのではないか、と予想したのである。つまり、この時点で、艦のコンピュータは、クルーが運営していないことを知った、もしくは入力によって知らされたと考えていい。自動であれなんであれ、サブコンピュータがはずされていたとすると、この「7光秒」事件も解決に一歩近づく。
つまり、「サブコンピュータ+13人」のタッグが、「現役軍人」単独のプログラミングより出来がいい、ということになるのである。これにて一件落着、といいたいが、それで終わらせてしまっては、シャロンごときに馬鹿にされた軍人の憂さは晴れまい。
サブコンピュータがどれほどの処理能力あったのかはわからないが、付け焼刃、所詮数週間しか艦のオペレートをやっていない子供たちのほうが、プログラミング能力があったとは到底思えないのである。ちなみに、かなり前の話になるが、4話で子供たちは初めて艦のオペレートを体験する。このときの陣容と、レベルを表記しておく。ちなみにレベルは当時ケイトが勝手に呼称したもので、正確なレベル判定は画面上まったく行われていない。
登場人物 経 験 レベル
クレーク すでに艦のオペレートを担当
ケイト クレークの補佐役
スコット 「5年間勉強していましたから」 2
ロディ 「ちょっと触ったくらいで」 1
フレッド 「7年間やっています」 ?
マ キ 「3つのころからやっているから」 4※自己申告
さて、これを見てわかることがある。「ちょっと触ったくらい」はレベル1なんだそうだ。ということは、ほぼ間違いなくシャロン/ペンチあたりはこのレベルで間違いないだろう。そして、最もオペレート能力に長けているのは、やはりマキということになりそうである。(4話でもその片鱗は覗かせてましたよね)しかし、コンピュータ初心者とも言えるシャロンが見つけられるような、へたくそなプログラミングを現役軍人がしていたとは到底考えられないのである。
そこで思い浮かぶのが、「シャロンが見るべき数値/桁を見間違えた」という、シャロン犯人説である。実はシャロンは悪気があって軍人のミスをつぶやいたわけではない。つまり、お粗末なのはミスと取り違えたシャロンだ、というのである。実はこれのほうがすごく説得力があるのである。なんとなれば、わずか1話、わずか数時間席を空け、プログラミングを交代したくらいで7光秒ものずれを生じさせるプログラムを間違って組むとは考えられないからだ。そして忘れてはならないのは、シャロンが見つけた、ということは他の航行担当のプログラムでもバグなり記述ミスなどがぼろぼろ出ていても不思議ではないのに、それが無かった点である。たまたまシャロンの席に座っていた係官のプログラミング能力が乏しく、運悪く見つけられてしまったことも無きにしも非ずだが、何度も書くようにそれほど簡単にバグを見つけられるほどシャロンのオペレート能力が進歩したとは言いがたい。
すっきりさせたいので結論を書くことにする。
@シャロンが口走った言葉そのものが間違い。桁や計算途上の数値を見誤ったか、別の数値の読み違えと判断。
A軍人サイドのプログラミングに落ち度は無い。もし「7光秒」ものずれがあるなら修正されていてしかるべき。
よもやの発言からここまで話を広げてしまうあたり、まだまだ書くべきところは多そうである。