メールとTELでのあわただしい鑑別依頼。
当方も時間をやりくりして拝見。
持ち込まれた品は、なんと「ブルーダイヤ」のリングとペンダント。
共に0.6カラットUPの珍しい品。信じられない位安く手に入れられたとか。
さっそく鑑別に入る。
共に上から見るとブルー。底から見るとカラーレス。
つまり「タブレット…張り合わせ」のダイヤ
台はプラチナで、作りもよく、一見高価に思える品。
以上の事実を説明すると「今日は鑑別してもらって、本当によかったです。そんな石とは知らずに買ったので…。でも後で考えてみると、珍しいブルーダイヤのリングとペンダントにしては、安すぎるのでは…と心配になって---。本当にありがとうございました。」

気をつけよう。甘い言葉と安い石。

鑑別に使用した器具　：宝石顕微鏡、紫外線蛍光器、偏光板

アメシスト

「宝石を扱うときの注意点」

「月の町」と呼ばれ、ルビー・サファイアが採れる。
町を流れるチャンタブリ川西岸のジェムストリートでは毎週末、宝石の交換会が開かれる。

「便利が悪くて遠いよ。」
以上の、はなはだ不確実な情報をもとに、リゾート地パタヤに行ったついでに訪ねることにした。
バンコクから245km、東バスターミナルより、エアコンバス（105バーツ）で約5時間の地。
パタヤから、ドライバーとバンを1日3000バーツ（約9000円）でチャーター。（前日に聞いたら、5000バーツくれと言っていた。）

田園の中を縫って、舗装された道をドライブすること約2時間、カンボジアに近い辺境で、「人跡未踏の地？」の思い込みは、みごとに裏切られ低層ながらビルもあり、広い通りには、乗用車、バス、ソンテウ、バイクなども行きかうごく普通の地方の町だった。
近郷には宝石研磨に従事する人が多く、それらの人が、毎週末ジェムストリートの建物の中の机とイスを1日いくら、で借りて、チャック付の小さなビニール袋に入れた赤や青の色石を持ち寄って交換。

エアコンのある所は少なく、窓もドアも開け放したまま。
高価な宝石を取引しているようにはとても思えない。
机の上の品が、食品や衣料品であったとしても、違和感はないだろう。
机をはさんで取引する人、街中で顔をつき合わす位よって取り引きする人…交換の方法はいろいろ。これらの人は、専門に鑑別を学んだわけではなく、毎日の仕事から経験的に覚えた人がほとんどの様子。なまじ、専門用語を使ったほうが訳がわからなくなるようだ。
建物の中、歩道、車道、ともかく人と、人出を当て込んだ食べ物の屋台でいっぱい。世田谷のボロ市をご存知の方は理解が早いと思う。

屋台で焼きトウモロコシを買っている家内に「…マダム。」と声をかけ、小袋入りの5〜6カラットはありそうな、カボッションのルビーを見せる女性。無言で見ていると、小さな電卓を素早く取り出し、「3000」の文字。$3000（約39万円）なのか、3000B（約9千円）なのか…。透明感のない石で、首を横に振ると、す〜っと次へ移動していく。
全般に質は悪く、ピジョンブラッドのルビーなどは皆無。2級品以下。
たまに透明で色のよいルビーがあると合成石がほとんどなので注意するように、とは、帰国してからの、長年色石専門に輸入している業者のアドバイス。
買ったのは、焼きトウモロコシとジャックフルーツとミネラルウォーター。
日ざしの強さと（12月です！）ほこりと、人いきれと、屋台から立ちのぼるにおいに包まれた1日でした。

アメリカ西海岸のロサンゼルスから、アリゾナ州ツーソン市まで、約1時間半のフライト。（この間、1時間の時差あり。）ユナイテッドとノースウエストの2社が運行しているが、世界中から人の集まる時期にもかかわらず、便数はほとんど同じ。席が取れなかった場合は、フェニックスに飛んで、そこから飛行機又はレンタカーを利用してツーソンへ。
メキシコ国境に近く、銅の鉱山がある。

宝石を生業とする世界各地の業者が出店しているようで、往路のロサンゼルスからの機内も、中国系、ロシア系、ヨーロッパ系、東南アジア系、アラブ系等の人で満席。
機内持ち込みで、巨大なカバンを複数持つ人が多く、乗り降りに狭い通路は混乱。ものが宝石だけに、送ったり、手荷物で預けられない為か。

空港からダウンタウンへは、車で15〜20分。
1月末〜2月中旬の期間内で、ツーソン・コンベンション・センター（プロモーター：アメリカ・ジェム・トレード・アソシエーション）の6日間が中心になっている。
広い砂漠の中にあるツーソン市全域に点在する27会場を巡る、7ルートの、参加企業が提供する巨大ランドクルーザーのフリーシャトルバスがあるので、車を持たない人でも、自由に会場巡りが出来るので安心。

会場となるのは、広大な市内に散らばるホテル・モーテル・仮設テント等で、大は野球場位のテント（空調付）から、小は、モーテルの芝生や室内のベッドの上まで、商品の展示場となる。

会場によって、高級ジュエリー・鉱物・化石等、メインになる品が違っている。

ジュエリーは、ルース（裸石）あり、セッティングされたものあり。
ダイヤ・アレキサンドライト・パライバトルマリン…etc.
その、普通では見られない大きさに、自分の口座残高を思い浮かべ、プライスを聞くのがためらわれた。

鉱物は、4〜5mのアメジストの柱から、小さなビーズまで。化石も、恐竜の骨格・卵・マンモスの牙から虫入りの琥珀まで。

他にも、それらに便乗した、なぜかバンザイしている練り翡翠の布袋さま・Tシャツ・民芸品・家具・健康食品・レース・ホットドッグ屋・アイスクリーム屋…etc.
何でもありのお祭り騒ぎ。

屋外の会場もあり、山積みされた水晶・紅水晶・木化石（桂化木）・蛍石・トラ目石等のかたまり…etc
.ゴミを捨てようと、ドラム缶の中をのぞくと、そこには、ラブラドライトのブロックが…。

6日間で半分の会場もまわれなかった。
この時期がホテルの料金も一番高く、10月に予約を入れても、もう満室。（帰る際、来年の分を予約していく）

砂漠のため、朝夕はコートが必要。昼間はTシャツで充分の場合が多い。雨
具は…？雨が降ったら事故にあったと思うこと。ミネラルウォーターのボトル、サンバイザーは必需品。

銀行は郊外に小さなのが１つ。（1万円両替するのに40分位待たされた）カードを使える所は多いが、値引き交渉は現金の方が有利。