ここではFRP製品の作り方の概要を説明いたします。 FRP製品を製作する為の材料は入手困難ですが、関東では、東急ハンズなどで販売されています。
FRP製品を製作する際、ほとんどの場合"型"が必要です。一般の方がわかりやすいイメージとして、デザートなどで食べる"プリン"で説明しましょう。
プリンとプリンの器を想像してください。
プリン(製品)を作るにはプリンの器(型)が必要ですよね。
そしてプリンの器にカラメルシロップを入れてカスタードクリームを入れて、冷蔵庫で冷やしておき、あとで器から出してお皿に盛れば出来上がりです。
その手順はFRP製品を製作する手順と良く似ています。
さすがに冷蔵庫に入れませんが(笑)
それでは実際に製作する際の大まかな作業の流れをご説明致します。
1・
原型・・・・・・・・・・実際に作る形状の物の事です。
2・
木型製作・・・・・・型を作るための元型の事です。
3・
型製作・・・・・・・・製品を作るためには型が必要です。
4・
製品製作・・・・・・ガラス繊維と樹脂で作ります。
5・
製品仕上げ・・・・型から外した物をトリミングし、仕上げます。
6・
完成・・・・・・・・・・製品を取付けてみます。
次に例をあげて製作する手順の詳細をご説明致します。
FRP製品を作るに限らず、作業に入る場合はそれなりの身支度が必要です。腕や足が露出しない服装や、樹脂を扱う際はゴム手袋、木材の切削や仕上げの際は軍手、塗装をしたり埃の出る作業の際は防塵、防毒マスクを使用してください。
1・原型・・・・・実際に作りたい形状のものを用意します。
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作りたい形状の物が有る場合はそれを用意します。
自分が思い描いた物を作る場合や、その形状の物が無い場合は、初めから2の木型を製作してください。
木型とは文字通り、木材を削るなど加工したり、石膏などを用いて原型を作った物です。
とりあえずここでは半丸状の形を作ると仮定します。
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2・木型製作・・・・・・・・原型にフランジ(余白)部分が付属した形を作ります。
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原形の下面を少し伸ばした位置に余白部分を作り一体化します。
接合部分は板金パテを塗布し、サンドペーパーで研磨して、形を整えます。自分が思い描いた物を作る場合や、その形状の物が無い場合は、初めから余白部分のある状態の物を作りましょう。
全体にサフェーサーという下地剤を塗布します。サフェーサーが硬化したら、サンドペーパーで研磨して、形を整えます。
サンドペーパーは#240〜#1500まで順に細かくして表面を滑らかにします。
細目のコンパウンドで表面を2〜3回磨きます。
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2−1離形剤の塗布・・・・・・・・・・・ワックス処理
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型とは木型を反転させた形状の物です。
型の製作は木型にガラス繊維を樹脂で塗り固めて製作します。
その為、後で木型と型がうまく剥がれるように離形剤を塗布しておきます。木型の離形剤は本職の場合PVA(ポリビニールアルコール)を使用しますが、
一般には入手が困難ですので市販の車用ワックスを使用する事も可能です。
その際注意することは研磨剤を含んでいないものを使用することです。
白い車に使用するワックスは大抵研磨剤を含んでいます。
メタリックカラーの車に使用するワックスには、ほとんどの場合、研磨剤は含んでいませんので、
それを使用しましょう。
特にお勧めするのは、天然カルナバ蝋配合のものです。
FRP専用ワックスとしては"ミラーグレーズ"があまりにも有名ですが、カーワックスで代用する場合は"シュアラスター"系がベストです。
ワックスを塗布し拭きあげる作業を5回以上繰返します。
PVAの無い方は最後にごく薄く全体にワックスを塗布した状態にしておきます。
PVAがある方はここで塗布します。ウエスを小さく丸めた"たんぽ"を作って
、それに湿らせて薄くむらなく塗ります。最低2時間は放置して乾燥させます。暖かい場所で乾燥させれば効果的です。弱めの熱でドライヤー等を使用しても効果が有ります。その際ドライヤーを30cm以上放して行ってください。
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3−1型表面剤の塗布・・・・・・・型用ゲルコート樹脂の塗布
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1点物の場合には省く事も有りますが、木型から型を脱形した後、
型はサンドペーパーで型表面を仕上げなければなりませんし、同じ物をいくつも作るための耐久性を持たせるために
型用ゲルコート樹脂と言う専用の表面材を塗布します。
コンプレッサーを使用した塗装が望ましいですが刷毛塗りでもかまいません。
刷毛塗りの場合はむらなく均一に塗布しましょう。
最低2時間は放置して乾燥させます。暖かい場所で乾燥させれば効果的です。弱めの熱でドライヤー等を使用しても効果が有ります。その際ドライヤーを30cm以上放して行ってください。
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3−2ガラス繊維の積層・・・・・・・グラスファイバーを塗り固めます。
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表面材が乾燥しましたら、ガラス繊維を樹脂で塗り固めます。
まず樹脂に硬化剤を添加して良く混ぜます。そして、ゲルコートを塗布してある木型の表面に下塗りします。ガラス繊維を使い易い大きさにちぎりながら木型の上に置き、ローラー、または刷毛で塗ります。
ガラス繊維は樹脂を塗る前は白色ですが樹脂を塗ると半透明になり、直線状の繊維がウエーヴ状になります。ガラス繊維に樹脂を含ませて浸透させるのでこの作業のことを含侵(がんしん)作業と言います。
この際、樹脂をあまり塗り過ぎないようにします。
刷毛等で樹脂を少しずつ塗りながら刷毛等で良く撫でて樹脂をなじませます。
樹脂がなじんだら刷毛の先でたたくようにして、樹脂の中に混入している空気の泡(気泡)を潰すようにします。
これは気泡を抜く作業なので、脱泡(だっぽう)作業と言います。脱法作業が終了したら1時間ほど放置して硬化させます。暖かい場所で乾燥させれば効果的です。
弱めの熱でドライヤー等を使用しても効果が有ります。その際ドライヤーを30cm以上放して行ってください。
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3−3ガラス繊維の積層・・・・・・・グラスファイバーを塗り固めます。
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ガラス繊維を塗り固めた表面が乾燥しましたら、上記の作業を、その型の求める耐久性に応じて繰り返し行います。
通常、量産を目的とした型を作成する場合、上記の作業を10回以上繰り返します。
その場合に使用するガラス繊維はガラスマットと呼ばれるガラス繊維を適当な長さに切ってあるものをのりで固めた不繊布状の物とガラスクロスと呼ばれるガラス繊維の紐を格子状に織り込んだものを交互に使用します。
それによって型に強度が増すのですが、小さいもので、いくつも作らない場合はガラスマットを3層ほど塗り固める程度でかまいません。最後にベニヤ等の材木を、型の変形防止の為、ガラスマットと樹脂で貼り付けます。
ここまで出来ましたら、丸一日放置します。ちょっと触ってみると固まったように見えても樹脂の芯まで固めるために最低一日おこなってください。
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3−4脱形・・・・木型から型を外します。
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硬化乾燥した型の周りには、ガラス繊維の"バリ"が出ています。鋭く尖った部分も有りますから、トゲが刺さらないよう充分注意して、必ず軍手等を使用して脱形作業をおこなってください。
木型からはみ出した部分のバリを少しめくるようにして力を入れます。すると木型のフランジ部分と型のフランジ部分の縁が切れて隙間が出来ます。そこに西洋(食用)ナイフやへらのような物
(刃物やカッターナイフ、先の鋭い物は型を痛めますし、けがの元ですから使用しないでください。本職も使用しません。)を差し込んで、フランジ部分を一周まわして、木型と型を外す準備をします。最後にバールのような物でテコにするようにしながら、ぐっと力を入れ引き抜きます。
イメージとして例にあげたプリンを器から出す時も周りを指で押して器から放しますよね。そして器とプリンが密着して真空状態になっていますから「えいっ」と振ればプリンが出てきます。"プッチンプリン"のように器に穴を空ければ真空状態が解除されプリンがするりと出てきますよね。FRPの型でも同じように後で製品に穴を空けるような部分のところに穴を空けておいて、そこにエアーを入れて抜くようにもします。
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3−5型表面の仕上げ・・・・型に磨きを掛けます。
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木型から型がうまく外れましたか?
木型の仕上げが悪かったり、離形剤の処理がテキトーだと木型と型が癒着してしまって、"おしゃか"になってしまうこともあります。
私自身も駆け出しのころは何度か失敗を繰返しガックリきたものです。そうならないように特に離形剤の処理には気を付けてください。
また、アンダーカットと言って巾着のように奥にいくほど広い形の物は抜くにも抜けません。ほんの少しでも有ると失敗するので木型を良く確認しましょう。
木型から脱形したばかりの型は多少凸凹があったりします。それは木型表面がそのまま転写された物ですから、木型を作成する際、仕上げを良くしておけば型の仕上りも良くなります。
耐水サンドペーパーで水研ぎして、形を整えます。
サンドペーパーは#600〜#1500まで順に細かくして表面を滑らかにします。そして
細目のコンパウンドで表面を2〜3回磨きます。ワックスを塗布し拭きあげる作業を5回以上繰返します。
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3−6型の完成・・・・
ちょっと一服その前に!
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いや〜、やっと型の完成です。一般の方が作られても、本職が作ったとしても手間暇のかかる仕事です。製品はこれから製作するのですがとりあえずここで一服というところですね。ただし!、FRP製品の製造材料は引火性が強い物が多いので後始末をきちんとして作業場とは別の場所で一服してください。本当にお願いしますよ、火事は恐いですから。
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簡単ではありますが、FRP型を作る際の手順についてご説明致しました。型製作とはとはどんなものなのかお分かりいただけましたか?次はやっとFRP製品の製造方法です。
FRP製品の作り方
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