自由連句通巻62「二千年」の巻
起首 2000.01.10 満尾 2000.02.25
6200 二千年成人式は監視付き 兼坊
6201 初装ひに無情なる雨 海砂
6202 アルバムに振袖姿の加わりて みど
6203 DOSの日付は二年前なり 宗海
6204 天の声〆切なんか気にするな 兼坊
6205 賞味期限の過ぎた数の子 無耶
6206 松過ぎのすしや身内のお正月 海砂
6207 鬼のおねだり巻丸かじり 次郎
6208 東向いて西向いてみる初占ひ 無耶
6209 雨雲ずしりと頭上に重く みど
6210 冬ごもり世間の騒ぎに拗ねてみせ 次郎
6211 出す顔もないオウムなりけり 兼坊
6212 唱えるは一つ覚えの教義のみ みど
6213 大学生の学力低下 兼坊
6214 ボランチァ茶髪が開く震災暦 次郎
6215 ペットボトルをタンクに沈め みど
6216 実験を見て行かないかと理科教師 兼坊
6217 雪に滑るが縁起でもない 海砂
6218 厄除けの火箸納めて冬日和 次郎
6219 精進落としに河豚のちり鍋 海砂
6220 お歳暮にもらった酒が減って行く 兼坊
6221 お鏡餅に黴びの来る頃 次郎
6222 韓国語講座聞きつつ磯辺巻き みど
6223 幼なじみに似たる紙雛 次郎
6223 積んどくだけの中国語会話 兼坊
6224 日なたぼこ猫がふーんと睨み行く 玄鴻
6225 勝手つんぼで舌も出さずに 次郎
6226 取り立ては会社ぐるみのはずがない 兼坊
6227 生き延びるため許される嘘 みど
6228 正論を通してひとり寒雀 次郎
6229 クローン牛は世代重ねる みど
6230 蕉風を越えたと俳諧師の新種 兼坊
6231 一語一会で縛るのが好き 兼坊
6232 明日の春夢を託してミレ満尾 次郎
6233 わたしゃ眠るよ寒さが怖い 閑幽
6234 しくしくとあばらが痛む寒の中 宗海
6235 玉子酒をばお代わりの夜 無耶
6236 酔い覚ましドアが壊れて出られない 兼坊
6237 するりと抜けた大穴馬券 次郎
6238 アメリカのスロットマシンにゃかなわない 兼坊
6239 鍼灸打って立ち上げる膝 次郎
6240 ぐつぐつと秘伝のメンマ良い香り みど
6241 こたえられないラーメンの味 兼坊
6242 山男不精髭にもつららして みど
6243 熊のいぬ間に洗濯をする 兼坊
6244 冬終わる六甲おろしと遊ぶ花 次郎
6245 太巻きかぶる福は内なり 海砂
6246 赤鬼は乱暴だけどいい奴だ みど
6247 ときめきの予感春立つの声 次郎
6248 南国へ行くぞコートを脱ぎ捨てて 兼坊
6249 お土産だけは忘れないでね 閑幽
6250 ここはどこわたしは誰また健忘症 兼坊
6251 ケーキ一面ろうそくを立て みど
6252 餃子噛み手に豚饅の春節祭 次郎
6253 関帝廟に香の濛々 無耶
6254 坂道を登れば古き中華館 兼坊
6255 返しそびれたままの消しゴム みど
6256 尾灯さえ首都の雪にはあたたかく 玄鴻
6257 山形産の酒を燗する 兼坊
6258 幸せの人妬みいて春寒し 次郎
6259 こわばる肩に柔らかな風 みど
6260 いつまでも若いままではいられない 兼坊
6261 冷や水被りこれから勝負 次郎
6262 お弁当お守り持って二次試験 みど
6262 風邪ならぬ花粉症かとおののいて 無耶
6263 天神様の梅盛りなり 兼坊
6263 こもりて過ごす小春日和や みど
6264 筆ペンで習字の真似をしてみんか 兼坊
6265 けふから始まる確定申告 海砂
6266 コンビニでなんでも出来る新世紀 無耶
6267 昔ながらの酒屋寂しく 兼坊
6268 赤ランプいっせいに点く11時 みど
6269 雪の朝にはうれしいリストラ 次郎
6270 手袋をまたも落として涙する 無耶
6271 五円玉置く三叉路の辻 みど
6272 意味不明だからご利益ありそうな 兼坊
6273 徹夜してなお予約果たせず 真由
6274 Windows2000しばらくお預けに 兼坊
6275 3.1は孤児になる 次郎
6276 マンセーの声こだまする公園に 宗海
6276 アダプター置き去りにして新幹線 みど
6277 飛行機は飛ぶ南の国へ 兼坊
6278 中空にゐて地に落ちず春の雪 海砂
6279 曙町といふもなつかし 無耶
6280 優勝は遠い昔と山笑う 兼坊
6281 大河ドラマにおらが故郷 MO
6282 雪合戦敵の罠にはかからんぞ 玄鴻
6282 名物がいつのまにやら増えまして みど
6282 シンデレラ南瓜の馬車に打ち乗って 閑幽
6283 地ビールいまだ喉に馴染まず 海砂
6284 刮げ取る石鍋飯の焦げ具合 宗海
6285 やまんばギャルの顔の黒さよ 兼坊
6286 おもかげの秩父原人かくやかと 海砂
6287 一歩外でりゃタイムトラベル MO
6288 日光にくしゃみ飛び出す昼下がり みど
6288 暖かい日だと思えば女房風邪 兼坊
6289 誰かあたしのこと噂した 兼坊
6290 斉明の狂れ心の溝なるぞ 無耶
6291 思いめぐらす大和三山 真由
6292 天の原振りさけ見れば月はどこ 兼坊
6293 久々手にする百人一首 MO
6294 ももしきが古き軒端に干してある 海砂
6295 人こそ見えね嬶穿きにけり 宗海
6296 これやこの火焔太鼓が三百両 海砂
6296 春が来た尼の家具屋は大繁盛 みど
6297 三太夫来て殿のご所望 無耶
6298 花の下犬猿雉を引き連れて 無耶
6299 いざや目指さん麗しの島 兼坊
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