自由連句通巻68「花すすき」の巻
起首 2000.10.07 満尾 2000.12.06
6800 花すすき途方に暮れてゐたりけり 海砂
6801 月ほんのりと送る微笑み 無耶
6802 そぞろ寒人込みの中浸りいて 次郎
6803 どこかに安い居酒屋ないか 兼坊
6804 うっすらと雪降り積もる学生街 みど
6805 うちの先輩引越しが趣味 宗海
6806 アルバイト先が近頃不景気で 兼坊
6807 ガスの値も変動相場 みど
6808 すそわけのまたすそわけの茸めし 海砂
6809 急須あれども土瓶もう無し 無耶
6810 ご新規は今日も離れを賑わせて みど
6811 葡萄おいしゅうございましたわ 唐辛子
6812 縦長に映る鏡に見入る夜 みど
6813 しっぽ短い仔猫うれしげ 無耶
6814 汗だくでゴーシュはセロを弾きにけり みど
6815 韓のやや子が抱かれて来る 宗海
6816 おどけ鬼赤鬼青鬼あたま噛み 無耶
6817 しばらくするとチケットは無い 真由
6818 新築の住宅怪奇うち続き 兼坊
6819 鼻はぐずぐず喉はいがいが みど
6920 キィー叩く囁きかける風邪の神 次郎
6921 茸料理にお里知れたり みど
6822 顔を見て足元も見るしたたかさ 宗海
6823 鉢巻〆て湯上りの蛸 次郎
6824 時おくとパステル色に変わります 兼坊
6825 突如画面に現れるもの 無耶
6826 夕飯時ベッドシーンにとまる箸 真由
6827 リモートスイッチ三つも四つも 海砂
6828 野球見てサッカーを見てシドニーも 兼坊
6829 カウチで過ごす雨の日曜 みど
6830 ダンジョンの階段降りる冒険者 無耶
6831 超霜降りでペット手なづけ 真由
6832 雪虫が飛べば雪降る日は近い 兼坊
6833 なくしたはずの手編み靴下 みど
6834 これはしたりブーツの中に脱げていた 海砂
6835 折り重なって記念撮影 宗海
6836 あの頃はみんなおさげといがぐりで 真由
6837 母の手になる布のグローブ 海砂
6838 ちゃぶ台をひっくり返す父がゐて 無耶
6839 古道具屋で買う顕微鏡 みど
6840 日本の物価余りに高過ぎて 兼坊
6841 ドッグフードを詰めたトランク みど
6842 山梨は富士とほうとう・蕎麦に月 無耶
6843 暁に聞く色鳥の声 海砂
6844 餌付けしてカメラいつでもスタンバイ 兼坊
6845 明日立冬の水のひやひや 海砂
6846 常温とマニュアルにあるコップ酒 みど
6847 ぬる燗さへも熱燗と言ふ 宗海
6848 人肌と言はれて瓶を懐へ 海砂
6849 孤独は特に好きじゃないので 兼坊
6850 川面より眺める空を渡る雁 みど
6851 いかさま石器冬に入る今朝 海砂
6852 神の手が触れて奇跡のそこかしこ 宗海
6853 夢見の友の初霜の声 次郎
6854 寒気団シベリアよりの客が来る 兼坊
6855 鶴にはあらで米軍機なり 無耶
6856 秋渇き蜂も手をする茶の香り みど
6857 待乳山にも芝居小屋立つ 無耶
6858 楽屋裏マンガ広げるレポーター みど
6859 業務命令フロリダに行け 兼坊
6860 死んだふりしても鰐には通じない 海砂
6860 縦長の紳士の語る横書き論 みど
6861 切られの与三はさぞ痛かったろう 宗海
6862 一片が欠けたジグゾー棚の上 みど
6862 力入れて仕度をしたのに肩すかし 真由
6863 ずってんどうと横綱に土 無耶
6864 湯豆腐の白いものだけ頂いて 無耶
6865 炭団は灰に埋めてどすこい 海砂
6866 黒星も七つまでなら許される 兼坊
6867 柄杓の形に置いたおはじき 卯舟
6867 勝とうとするな守りに徹せよ 海砂
6868 きりもせず冷たい雨が紅葉打つ みど
6868 とりあえず今日は株価も変るまい 兼坊
6869 話しは尽きぬ炉開きの午後 次郎
6870 おも菓子は霰飾りてやはらかき 無耶
6871 遍路支度を飾る床の間 みど
6872 ゆっくりと円月島に陽は落ちる みど
6873 その時きらり光る刀身 兼坊
6874 血も凍る眼差し眠狂四郎 海砂
6875 とんびの影が越えるぼた山 みど
6876 混浴の温泉近くにあるらしき 兼坊
6877 過ぎて気のつく誕生日だな 海砂
6878 縞々に紅葉してる梛(ナギ)の枝 みど
6879 冬鳶の瞰る那智の大滝 海砂
6880 神さびて熊野古道の冷えまさる 無耶
6881 こそり手渡す鯨肉の包 みど
6881 "キョロンハゲッソヨ"教へ子の文 宗海
6882 数ならぬ命なれども休肝日 海砂
6883 師走飾りの街の灯に酔う 次郎
6884 何事ぞ寒風ついて足早に 無耶
6884 もういくつ寝れば華燭の宴なりや みど
6885 討ち入るがごと走る宅配 次郎
6886 転居先不明となりし店いくつ 兼坊
6887 深夜ホームに重ね着の人 みど
6888 所持品は不相応なるゾリンゲン 宗海
6889 くるり尾を巻き子犬控える みど
6890 日短か宇治十帖を読み残す 次郎
6890 待ち人と別るる人と国分寺 海砂
6891 忘年会の月に突入 兼坊
6891 不使用案内届くケータイ 宗海
6892 三日月の下を電波は飛び交って みど
6893 師は走らずに掘炬燵なり 無耶
6894 龍の年尻尾ばかりとなりにけり 海砂
6895 空振りばかりの期せし一振 次郎
6896 忙しい時に限って風邪をひく みど
6897 ご隠居さんは健康ですね 兼坊
6898 摘まれても花は再び花となる 宗海
6899 泣き笑いして蝶のまひまひ 無耶
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