自由連句通巻71「逝くひとを」の巻
起首 2001.05.18 満尾 2001.07.26
7100 逝くひとを三社祭の笛の音 無耶
7101 石榴の花のほとほとと落つ 海砂
7102 月読の命をもちて帰りませ 兼坊
7103 鍋屋横丁賑はいの夕 無耶
7103 いただきものの本を広げて みど
7103 見かけなくなる厚底の靴 海砂
7104 ルナ神の足許に侍す白うさぎ 海砂
7105 闇にまぎれる密輸キャラバン みど
7106 交易の相手に日本と英国と 海砂
7107 右ハンドルの車を所望 兼坊
7107 特別不法滞在許可証 みど
7108 後家蜘蛛と象亀それにうなぎ犬 海砂
7109 お出かけですかアとレレレ爺 無耶
7110 霧雨をついて繰り出す阿波踊り みど
7111 我がととさまの名は十郎兵衛 海砂
7112 アイアイと取りだしたるは謎の札 無耶
7113 蛇の目の傘で京都歩けば みど
7114 鞘走る虎徹の錵に細雪 海砂
7115 黒猫抱いて泣いている人 無耶
7115 寄せ鍋の底あさる大部屋 みど
7116 雨上がる射し込んで来る夏の色 次郎
7117 揃いの帽子駅に集って みど
7118 いざダービー黒船信じていいかしら 野猿
7119 神風ならぬ青嵐吹く 次郎
7120 焼け跡に三文オペラ紙芝居 無耶
7121 手書き詩集は一部百円 みど
7121 握り締めてるポケットの夢 次郎
7122 二等でも一億円と幸せに 無耶
7122 せせらぎを枕に自由の人となる みど
7123 五十で死んだ夏目漱石 野猿
7124 悪妻と言われつくづく鏡見る 無耶
7124 プリントの音湿りきて走り梅雨 次郎
7125 欠伸しているてるてる坊主 みど
7126 渓谷の夜空の下を思いつつ 無耶
7127 かじか蛙は遅寝早起き みど
7128 日曜の明日は息子の運動会 兼坊
7129 サッカー少年栄光の時 無耶
7130 韓国語通訳ボランティア募集 海砂
7130 寝転んで草笛吹いたあの空き地 みど
7131 伝書鳩に託す友への言葉 次郎
7132 ネクタイは真っ直ぐ締めた例しなく みど
7133 撒いた楊枝の数言い当てる 海砂
7134 王女たるものは寝床の豆を指し 無耶
7135 指噛み切らる真実の口 海砂
7136 ミニバイク縦横無尽に駆け抜けて みど
7137 髪を短く剪って初夏 海砂
7138 多摩川のほとりのかの子白炎す 無耶
7139 生々流転石になるまで 海砂
7140 特大のダイヤモンドも常ならず 兼坊
7141 月夜の嘘は本当になる みど
7142 駆けつける病棟の廊くねくねと 無耶
7143 ゼンマイ仕掛けの蛇のロボット 兼坊
7144 威勢よく爆竹響く中華街 みど
7145 關帝の髯湿る長雨 薊子
7146 品書きに夏の風味が追加され 次郎
7147 値下げ競争一歩先行 兼坊
7148 久しぶり有楽町で逢いましょう 無耶
7149 いつもの顔に出会う幕間 みど
7150 あたらしき三人吉三月朧 無耶
7150 軒下の猫の瞳に映る月 唐辛子
7151 あれが噂の美丈夫と聞く みど
7152 古書店を出でて薄暑の街の音 次郎
7153 軍靴の響き遠くなりけり? 唐辛子
7154 虎が雨いつか来た道わかれみち 次郎
7154 暴力が幼き狙う平和な世 みど
7155 あばれ梅雨来て人死の出る 無耶
7156 酸性の雨に打たるる紫陽花は みど
7157 宿を貸したる蛍蜻蛉 海砂
7158 部屋の奥老女が日記書いている 兼坊
7159 ギプスの中の痒さ掻く筆 海砂
7160 座布団に鎮座ましますヘルメット みど
7161a 青春未だ途半ばなり 兼坊
7161b 眉間の傷が男の勲章 唐辛子
7162a 局面は左うちわの大あぐら 次郎
7162b 猿山のボスの資格はバック転 海砂
7163 お礼参りはプラカード揚げ みど
7163 らっきょポリポリ脳は活き活き 無耶
7164 空箱を虚しく探る左の手 みど
7165 サプリメントに頼るじだらく 海砂
7166 青芝にボール自在に飛び交いて みど
7167 隣の国の戦争景気 唐辛子
7168 どんぱちが好きな男がいるらしい 無耶
7169 欲求不満の熊が増えてる 兼坊
7170 でたらめに番号回す熱帯夜 みど
7171 翁格子の浴衣馴染めず 次郎
7172 猿の子はやっぱり猿と納得し 無耶
7173 飲めや歌えやめでたき報せ みど
7174 たのしみは子の子の子の子抱く時 海砂
7175 動物園には馬しかいない みど
7175 乳ふくませつふくれゆく腹 唐辛子
7176 目覚めれば母といふ身のいぶかしく 無耶
7177 何も出来ない父いかにせん 兼坊
7178 湯を沸かせ大きな鯉を釣ってこい 海砂
7179 連呼の戦い告げる梅雨雷 次郎
7180 聴衆のどっと囲める人気者 無耶
7181 短冊に書く願い山ほど ロコ
7182 子に配るお菓子いっぱい買いこんで 兼坊
7183 砂煙立て山間のバス みど
7184 気合い込め日傘開いて踏み出せり 次郎
7185 手を引きながら汗拭いてやる 彌太郎
7186 柔らかき風に風鈴ちりちりと みど
7187 月下美人の開花待つ宵 海砂
7188 皇帝の言葉は汗のごとしとか 無耶
7189 漲るちから湧く雲の峰 次郎
7190 おつかいの帰りに拾う痩せた猫 みど
7190 お喋りがはたと途絶えて宇治氷 次郎
7191 立てた小指に天使ほほえむ 無耶
7192 船出までマテウスロゼをもう一杯 みど
7193 二杯三杯ああ目がとろり 兼坊
7194 向日葵の拗ねた背中に陽が差して 次郎
7195 波にたゆたう白昼の夢 みど
7196 樹のさやぎ潮騒めきてハンモック 海砂
7197 シャワー全開降る蝉時雨 次郎
7198 夏痩せは知らず鰻は好きですが 兼坊
7199 花氷立つ雷鳴の中 無耶
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