自由連句通巻73「冬に入る」の巻
起首 2001.11.18 満尾 2002.03.31
7300 包装材ぷちぷち潰し冬に入る 海砂
7301 ひときわ冴ゆる空に木星 みど
7302 缶鳴らす人に駆け寄る野良仔猫 唐辛子
7303 サーカスへゆくノミのお話 無耶
7304 腹減ったどこかにうまい血はないか 兼坊
7305 屎尿処理場裏の紅葉 みど
7306 獅子座より流星群の降りそそぎ 無耶
7307 座禅の僧がちょっと目を開く 兼坊
7308 霜囲い庭木の脛の傷のあと 次郎
7309 銀杏の乳房張るももの憂し 海砂
7310 弁当を覗きこんでく大鴉 みど
7311 実ひとつ残し柿紅葉映ゆ 次郎
7312 冬タイヤ雪への備え完了す 兼坊
7313 ツリーの星のうるむ夕空 無耶
7314 アメリカはあまりに遠し待降期 野猿
7315 指をくわえて眠る幼子 みど
7316 十善の帝王となる日は知らず 兼坊
7317 シックス・センスの予言おそろし 無耶
7318 締めた帯ポンと叩いて師走入り 次郎
7319 女房ひとり監督もせで 野猿
7320 冬ざれの税務署人も木もわびし みど
7321 全能の主よおれは阿呆だ 海砂
7322 年の暮のらくら過ごす身の果報 次郎
7323 時計の音の響く真夜中 みど
7324 炬燵寝のあらまほしきのいなりずし 海砂
7325 漱石忌には白粥を炊き 無耶
7326 鳩の住む軒も今宵は冷えるかと みど
7327 ポインセチアでめかし込む街 次郎
7327 侘助活けて画譜にとどめむ 海砂
7328 肩凝りはブラジャーのせい試着せよ 無耶
7329 パンツのゴムの緩む仇討 海砂
7330 わしゃ鮫か抜いてはえゆる親知らず 梨乃
7331 くるっくーぽっぽー合いの手のして みど
7332 お開きはいつもあの歌忘年会 海砂
7333 コインの当たるクリスマス・プディング 無耶
7334 彼方より蟻呼び寄せる黒砂糖 みど
7335 太郎冠者出て大笑ひする 無耶
7336 打ち出だす七珍万宝ちさき槌 海砂
7337 不審なお椀わたるシナ海 みど
7338 なんともはや呆れる爆竹合戦に 無耶
7339 数へ日の空青々と晴れ むや
7340 雪掻きをすればあれこれ物もらい 兼坊
7341 その鼻歌は喜びの歌 みど
7342 ハーモニーは葛根湯を啜りつつ 無耶
7343 おおつもごりの暮六つの鐘 次郎
7344 ニューイアコン待ちて蜜柑の皮をむく 次郎
7345 誰か私の時計知らない? 兼坊
7346 ダリとガラ唇よせる金の杯 野猿
7347 趣向凝らしてこれぞ初午 次郎
7347 腹減り猫に起こされる午後 唐辛子
7348 SUICAをばポッケに入れて改札口 みど
7349 府中の杜に万券炸裂 野猿
7350 湯あたりの猿は惚けて雪の上 みど
7351 大厄流し待つ花見頃 次郎
7352 リストラに遭わぬばかりを幸いに 兼坊
7353 冬雷の中を駆け行く 無耶
7354 明日ありと誘うがごとく日脚伸ぶ 次郎
7355 灸点おけばうららかな縁 無耶
7355 蚤取り薬用意しなくちゃ 唐辛子
7356 紅梅に末吉の籤結わひけり 次郎
7356 眼鏡屋へ免許更新近づきて 兼坊
7357 深呼吸して登る坂道 みど
7358 亀なれど兎の耳の欲しくなり 無耶
7359 どうしたことか眼の真っ赤なは 海砂
7360 早朝のオリンピックにがっかりし 無耶
7361 棚ぼた金も作戦のうち 次郎
7362 才能はなくてもこつこつやるがよし 兼坊
7363 烏帽子岩よりのぞむ江ノ島 みど
7364 春が来て弁天様の大あくび 無耶
7365 美女水没の虞はなしや 兼坊
7366 尼寺へ行きやれ冬の菫草 海砂
7367 拾ふ神あり捨てる神あり 無耶
7368 処理業者見放す産業廃棄物 兼坊
7369 リサイクルにはシニアスクール 次郎
7370 連れ立ちて銀杏拾いの上水縁 みど
7371 鶯餅の黄な粉に咽ぶ 次郎
7372 縁側に漱石と猫丸くなり 無耶
7373 どうでもいいけど名前はまだない 海砂
7374 口癖は結構なことで春炬燵 次郎
7375 そぞろ神きて誘う啓蟄 海砂
7376 もらわれて孤児院出る花の頃 みど
7377 あたたかな手をしかと握って 無耶
7378 春の潮くぎ煮に詰めた思い遣り 次郎
7379 明石の月に挙げる盃 無耶
7380 須磨よりの客人どこか高貴にて 兼坊
7381 泣く子とジャニーズ事務所にゃ勝てぬ 野猿
7382 早咲きの花はいつまで保つのやら 次郎
7383 とにかくサクラサクはめでたい 兼坊
7384 春一番帽子さらって舞い上がる みど
7385 ひっきりなしにお祝写メール 無耶
7386 リストラの世に定年はめでたやな 兼坊
7387 いつもの場所に九時集合で みど
7388 暁を覚えずすでに傾く陽(ひ) 唐辛子
7389 喧騒止まぬ渋谷原宿 みど
7390 不器用なペットボトルの風車 次郎
7391 意外に速き赤んぼの足 無耶
7392 理数科は子供の頃から苦手にて 兼坊
7393 迷いながらもニューウエブひろばへ 無耶
7394 鐘朧行きつ戻りつ苦吟かな 次郎
7395 霞の裾に海市仄(ほの)見ゆ 宗海
7396 あの空の向こうにきっと桃花源 兼坊
7397 せめてゆっくり食べたいお握り 無耶
7398 花の雨目覚めぬままに聞いている 次郎
7399 美女を得てより早朝はせず 兼坊
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