《賦十二支「花咲いて」の巻》

(F2「まつり」にて興行)

★十二支を順に詠み込みながら、それを三回繰り返して歌仙を完成させる賦物です。詠み込む方法は、その文字を直接使用してもいいし、当該の動物名に置き換えても、あるいは同音の別字を用いてもかまいません。




賦十二支歌仙「花咲いて」の巻 

  捌 無耶 
起首 2000.04.19 
満尾 2000.07.21 

  発句 花咲いて御鼠さまのお嫁入り   無耶 晩春/花 子
   脇  牛車に揺られ囀りの中     海砂 三春   丑
  第三 春雷に若虎目覚め挑むらむ    次郎 三春   寅
   四  ついと寄り添う鷺のはばたき  真由      卯
   五 立つ秋の小径を行けば宵の月   宗海 初秋/月 辰
   六  破れし垣のそぞろ身にしむ    砂 三秋   巳
 ウ 七 缶入りの午後の紅茶の獺祭忌    耶 仲秋   午
   八  会費未納と上書きにあり     海      未
   九 去る人はサルビアの色きづかずに  郎 仲夏   申  
   十  捕り残したる蚊ほど想はず    海 三夏   酉
  十一 生類は憐れみませう犬公方     砂      戌
  十二  いの一番に首を取られた    閑幽      亥
  十三 鎹となるべきものをドラ息子    海      子
  十四  憂しと見し世の月の寒々     耶 三冬/月 丑
  十五 埒もなくとらぬ狸の談義して    砂 三冬   寅
  十六  けふもおかずはがんも卯の花   海      卯 
  十七 立つものは親でも使ふ忙しさ    耶      辰
  十八  都のたつみ歯科の開業      砂      巳
ナオ
  十九 お馬までフレーメンする人参果   耶      午
   廿  未来永劫佛の掌にて       耶      未
  廿一 息白し梁上君子のましら飛び    郎 三冬   申
  廿二  捕り手の囲む終天神       砂 歳末   酉
  廿三 戌の刻でかい鵺去ぬアイヌ村   みど      戌
  廿四  乳房を探す瓜坊の息       海 晩秋   亥
  廿五 雁が音のさらばさらばと月を飛ぶ  砂 三秋/月 子
  廿六  濁酒に沈む失ひし刻       海 晩秋   丑
  廿七 トラウマとなりたる恋の傷いくつ  耶      寅
  廿八  フラッシュバックのうたた荒涼  砂      卯
  廿九 ふたつなる枕を並べ逃避行    鶴鳴      辰
   卅  みるみる変わる未来予想図   野猿      巳
ナウ                            
  卅一 夏ばてに良く効くうまい話ない?  耶 晩夏   午
  卅二  羊の群れを数えて眠る      砂      未
  卅三 万雷の拍手やまざる演奏会     海      申
  卅四  鳥打帽はもうかぶらない     耶      酉
  卅五 出替りの誰もゐぬ間の花の酒    砂 晩春/花 戌
  挙句  藍植ゑ終へて摘む饅頭      海 晩春   亥




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