最近の作品より

わかば自由連句 (F4「わかば」にて興行)




わかば自由連句通巻06「あかね雲」の巻

起首 1999.09.23  
満尾 2000.02.27  

 501 あかね雲消えて時空に微震動       含胡  
 502  不思議が起こる満月の夜        みど  
 503 黒潮にフォローを受けて帆を張らん    海砂  
 504  律義であるが国の礎          縄文  
 505 褒められて八の字眉がちょと上がる    みど  
 506  面舵いっぱいジジィの公約       次郎  
 507 ゆっくりと大型台風北上す        みど  
 508  加波比良古いまどこを旅するや     含胡  
 509 氷の閉ざす間宮の瀬戸のほの明り     宗海  
 510  星はひとつの赤い肩章         縄文  
 511 古楽器でベートーベンをば聞かせましょう みど  
 512  渡来の虫の音色さはがし        無耶  
 513 トルコ産松茸なりしよき恵み       海砂  
 514  買うのやめるの十六夜すすき      次郎  
 515 空き家にも豊穣の神訪れて        みど  
 516  かかわり厭い背がまるくなる      次郎  
 517 幼きが大きな声で赤い羽根        みど  
 518  ミカンの形に丸くポケット       玄鴻  
 519 千歳飴引きづり行く紳士なり       次郎  
 520  ロシア民話の好きな外孫        みど  
 521 秋祭りうだつの街の麦団子        含胡  
 522  狸吉郎の見合いの日なり        次郎  
 523 嶺を越え竜這い下る伊予の朝       含胡  
 524  遍路に渡すうどん熱々         みど  
 525 ふと醒めて絣姿がよみがえり       含胡  
 526  九尾狐の声しわがれて         みど  
 527 鍬握る手でしな作る村芝居        含胡  
 528  馬のしっぽがねだるおひねり      次郎  
 529 戯れの手篭めで飛ばす笠の台       含胡  
 530  鈴を鳴らして子供らの行く       みど  
 531 秋日和参道それて背伸びせり       次郎  
 532  藁草履の似合う彼岸花あり       含胡  
 533 立ち枯れるよりは破滅と強がって     みど  
 534  深海に眠る白い鯨骨          含胡  
 535 船長はナンタケットの生まれなり     無耶  
 536  肩の鸚鵡が叫ぶガッデム        海砂  
 537 白き歯と瞳がまぶし熱砂の浜       含胡  
 538  南十字がほてりを癒す         次郎  
 539 もう会えぬ猫抱きしめる夢の中      みど  
 540  来世は同じ蓮のうてなで        含胡  
 541 さつき三ダービー二着菊の盾       次郎  
 542  ビニール傘で向かう土砂降り      みど  
 543 短髪のぽっこり靴をなびかせて      次郎  
 544  もの問いたげに躙るゾウガメ      含胡  
 545 見物の双子のたまご塀の上        みど  
 546  ターフを駈けるフサ小公女       次郎  
 547 網棚にドイツ語辞書を置き忘れ      みど  
 548  覚えているよ恋と愛する        次郎  
 549 うかうかと見出しで買ったスポーツ紙   みど  
 550  獅子のウインク名残の流星       次郎  
 551 暗闇に強盗団の声のして         みど  
 552  立ち塞がるは武蔵横綱         次郎  
 553 目を剥いて内弁慶は見得をきり      含胡  
 554  並んで座る屋台ラーメン        みど  
 555 学連の女闘士孫自慢する         含胡  
 556  ケイタイで募るコギャル援交      次郎  
 557 校門を出て山姥の群れに入る       含胡  
 558  鼻歌まじり肩に手ぬぐい        みど  
 559 木場溜まり迷い鯨が潮を噴き       含胡  
 560  生唾のみ込み義理解き放す       次郎  
 561 忠誠がわが身滅ぼす世に生れ       含胡  
 562  居心地のいい窓際の席         次郎  
 563 読みさしに小さき紅葉を挿みおき     みど  
 564  ひかる指先一陽来復          次郎  
 565 鹿角の犬と子供がすれ違い        みど  
 566  千載一遇たすき繋ぎて         次郎  
 567 松囃子いにしえの歌あらたなり      次郎  
 568  新春御慶東雲の空           宗海  
 569 ニューイヤコンおかき渋茶で炬燵席    次郎  
 569 書き初めの謹賀新年はみ出して      みど  
 570  堅気の友のは消印付いてる      唐辛子  
 571 定年でやたら張りきる文多く       含胡  
 572  健康付きで欲しい年金         次郎  
 573 輪をかいてとんび飛び去る西の空     みど  
 574  年甲斐もなく胸がときめく       含胡  
 575 葉牡丹に針かさなるを待ちわびて     次郎  
 576  不揃いな目の手編みセーター      みど  
 577 一二の三きょう声飛び込む寒泳ぎ     次郎  
 578  動く株価に炬燵汗ばむ         含胡  
 579 初雪に猫は丸まり犬走る         みど  
 580  三日で稼ぐ恵比寿大神         次郎  
 581 五円玉願いを乗せて飛んでいく      みど  
 582  二枚並べて竜の目玉に         次郎  
 583 もう五年まだまだ五年震災忌       次郎  
 584  歴史の変わる瞬間を見た        みど  
 585 東西の自民が割れる冬の陣        次郎  
 586  フォッサマグナに目に見えぬ壁     含胡  
 587 鋼鉄のベール開けば嘘ばっか       みど  
 588  金の成る木にされる神さま       次郎  
 589 よっこらしょ磴を征して日脚伸ぶ     次郎  
 590  旅の記録をまた読み返し        みど  
 591 春飛魚浮気ごころがむくむくと      次郎  
 592  疼きに耐えて香う下萌         含胡  
 593 舞い上がりしゅ〜んと抜けるゴム風船   次郎  
 594  広げたパーもチョキの勝ち       次郎  
 595 時効までグリコ・森永追いかけて     みど  
 596  地元の闇の二階の女          次郎  
 598 真実は面目よりも価値がない       みど  
 599 半月のうなじに残る花の色        次郎  
 600  春光照らす最新モデル         みど  



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