わかば自由連句通巻07「鐘の音」の巻
起首 1999.02.29 満尾 2000.09.25
601 鐘の音のうららに響く遠出かな 次郎
602 野焼きにはしゃぎ駈ける童ら 含胡
603 塩むすび菜の花和えを副えまして みど
604 精進料理これで完成 兼坊
605 僧房に妖しき影の見ゆる夜は みど
606 ハートマークのメールが届く 次郎
607 何ならん八十路の妻のガッツポーズ 含胡
608 パソと畳は新しいもの 次郎
609 くしゃみしてマスク帽子の通勤客 みど
610 車内放送はヘルメット着用 次郎
611 一言の肌にささりて春寒し 次郎
612 酌む杯の手もと探る目 含胡
613 獄にある友の消息さりげなく みど
614 ショパン流れる春灯の風呂 次郎
615 風ぬるく下駄音二つからみ行き 含胡
616 空咳ひとつ星空の下 梨乃
617 階段を「ぱいなつぷる」と駆け下りて みど
618 チョキをだしては「ちよこれいと」と 梨乃
619 買うてきたおはぎに菜の花添えまして 含胡
620 八十八夜の姉さん被り 次郎
621 春月よたまに四角に化けてみよ 次郎
622 腕に自信の美容師が待ち 梨乃
623 原チャリで図書館通う日も増えて 含胡
624 かさかさ枯れ葉風はさやさや みど
625 センバツの球児の頬の寒戻り 次郎
626 数秒間がこんなに長い みど
626 鳥肌もまたよしルーズソックス 含胡
627 初雷の出会いの予感ときめきて 次郎
628 拳固めて園児乗りこむ 含胡
629 空中の散歩気分で観覧車 みど
630 とまる蜻蛉のまなこ清けし 海砂
631 そわそわと明るい日差しに誘われて 次郎
632 ふとよぎりたる殺意いぶかし 含胡
633 愛してる愛していない不知道 兼坊
634 好不好なんて聞かないでくれる!! 含胡
635 三重の金属ドアに鍵かけて 兼坊
636 判じかねたる夢の善し悪し みど
637 道教の総本山はど派手にて 兼坊
638 明日香に注ぐ亀石の水 次郎
639 葦笛のどこからともなく聞こえきて みど
640 キララあらあら散るさくら券 次郎
641 緋の鯉に口移しにて餌を与う 含胡
642 小枝くわえた鳩と目が合う 唐辛子
643 Vサインが似合う歳まで共に老い 含胡
644 朝の大気の清々しさよ みど
645 いましばし揺られていよう月の舟 次郎
646 大志色褪せつのる望郷 含胡
647 風呼べず皐月の鯉は飛べぬまま 次郎
648 寝息やさしく馬車馬は老い 含胡
649 散り際の息差し聞こゆ花の闇 次郎
650 桜餅などさあ召しあがれ みど
651 蓬茶の苦さ楽しむ日が戻り 次郎
652 ロックが楽しい我を怪しむ 含胡
653 紅型のリカちゃんポッケにゆらゆらと みど
653 オペラ王春の嵐を突き抜ける 次郎
654 悼みつつ詠む票の上乗せ 次郎
655 軋む弦うつむき加減のヘ短調 みど
656 プリマドンナのオークスの舞 次郎
657 三代の血が後押しのハナ差かな 次郎
658 二世議員の梅雨空の陣 次郎
659 天気図は鉄扇葛にからまれて 次郎
660 占い好きは色にこだわる みど
661 父の日のプレゼントには黄金のもの 唐辛子
662 浅き眠りを覚ます空耳 みど
663 大安のトラの日で御座い明日は雨 次郎
664 音やわらかき無伴奏チェロ みど
665 風水を背にチャリンコで駈ける坂 次郎
666 繁る並木は重たげに揺れ みど
667 さぁ来たぞトラトラトラの踊る記事 次郎
668 たらふく食べて腑抜けに戻る 次郎
669 焼穴子薀蓄よりも先に消え 次郎
670 タイムマシンの値段付け合う みど
671 オペラ王夢のレースの立役者 次郎
672 魔弾の射手も演出次第 みど
673 やかましい家でも兄はテノール人 坊主
674 思い出乗せて回る地球儀 みど
675 ミレミアムベガの真下の点に立つ 次郎
676 途切れた糸は幽かに震え みど
677 蜩の声にせかれて本を閉じ 次郎
678 リンとも鳴らぬ軒の風鈴 みど
679 赤とんぼ球児去りし日戻り来る 次郎
680 阪神やっと連敗を止め 兼坊
681 母背負い親孝行の見本なり 次郎
682 尻尾垂らして夏痩せの犬 みど
683 夕立だぁ水も滴るいい男 次郎
684 こんがりチャパティ皿に積み上げ みど
685 独り身の三日続きのカレー責め 次郎
686 昨日はうどん今日はラーメン 兼坊
687 五七七新しき秋ふみだせり 次郎
688 月花眺めてひたすらに詠む みど
689 歳時記の表紙の角が丸うなる 宗海
690 詠みえし季語は手のひらのうち 次郎
691 金色の輪っかの似合う孫悟空 みど
692 土砂降りのなかチャリンコで飛ぶ 次郎
693 十六夜の席を設けて慰める 次郎
694 記録破りの雨に見舞われ 兼坊
695 海怒る稲村の火の機転あり 次郎
696 仰天五輪の虹色マント 次郎
697 寝転んで世界の天気あれこれと みど
698 マイ扇風機のいらない今宵 ロコ
699 秋桜か細き脚でテープ切る 次郎
700 軽やかに蝶シドニーに舞う みど
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