わかば自由連句通巻08「秋晴れ」の巻
起首 2000.10.04 満尾 2001.06.20
701 秋晴れや背筋伸ばして駈ける風 次郎
702 アテネを目指す若きらの声 海砂
703 シドニーは高値安定土地家屋 兼坊
704 コアラの揺らすユーカリの枝 みど
705 夢はもう描けなくても秋うらら 次郎
706 新米の味だけで仕合せ 無耶
707 一目惚れ農家に嫁ぎましたとさ 兼坊
708 芋虫だけは好きになれない みど
709 渋柿の甘味をさぐる蝶の恋 次郎
710 ポストペットも宝集める みど
711 満月のエロス纏いてかぐや姫 次郎
712 誕生日にはパソコンちょうだい 唐辛子
713 バランスの良さが自慢の天秤座 みど
714 稲妻の差しティコティコタック 次郎
715 主のない黒い鞄のあるホーム みど
716 天眼鏡でミステリー読む 次郎
717 金力が戦力だとは無力感 唐辛子
718 次は来るかも出馬要請 宗海
719 港をば眺め暮らして早や三年 みど
720 美人の膝で睨む黒猫 次郎
721 筆挿しに金色の陽の当たる部屋 みど
722 紫式部の客はオリオン 次郎
723 見損ねたドラマの続き知りたくて みど
724 詰め将棋では解答さきに 次郎
725 西方へルーツ尋ねる旅の人 みど
726 心ときめく軍楽の音よ 宗海
727 三日月の旗巻き起こすつむじ風 海砂
728 天平に舞う水煙の天女 次郎
729 隊商にさらわれて行く砂の町 みど
730 冬将軍は律儀に来る 次郎
731 風吹いてふわり帽子は水の上 みど
732 流れる星に願いをひとつ 梨乃
733 鈴鳴らし真っ赤なお鼻のトナカイさん みど
734 ショーウインドウに降る聖夜の雪 次郎
735 スカートで脚立に上る模様替え みど
736 こっそり仕込むサンタさんの絵 ロコ
736 マック来たりて押入れ整理 唐辛子
737 あれこれと迷いし挙句元の木阿弥 不藏
738 鞄小さく枕はみ出す みど
739 賑やかに胃が喋りだす玉子酒 次郎
740 風邪の治療はただの言い訳 兼坊
741 平日の劇場背広の客も居て みど
742 女性専用電車で帰る 兼坊
743 一駅を歩くも思案決めかねる 次郎
744 凍てつく夜の犬の遠吠え 不藏
745 百八つの迷い肴に交わす酒 みど
746 じゃらじゃらじゃら蛇が出る神楽 次郎
747 強者にはジンクスも無し納め馬 次郎
748 早くもめざす巳の次の年 不藏
749 鬼ならで人も笑はん話あれ 兼坊
750 ご破算お願い出直し世紀 次郎
751 文部省読み書き算盤見捨てるな 兼坊
752 漢字知らないパソコン世代 みど
753 初明かり千世の懸け橋踏み出さむ 次郎
754 こぼさぬように運ぶ通信 みど
755 出番待つ節分の鬼メール読み 次郎
756 春を呼び込む白鳥の歌 みど
757 戻り寒聞き分けのない胃をあやす 次郎
758 心澄ませば鶯の声 次郎
759 ニアミスで上へ下への大騒ぎ 次郎
760 呑気にゴルフしてる場合か みど
761 器にはあらずと言へどあんまりな 宗海
762 よくぞ残りし去年の渋柿 薊子
763 もういいでしょう口の端に上る月 次郎
764 ギプス取れたる脚のいとしさ 薊子
765 きりもなくサイレンの行く大通り みど
766 あちらこちらに恋の流れ矢 薊子
767 白酒に添えて手管のくずし仮名 次郎
768 神託に酔う太陽の巫女 みど
769 意に添わぬ手打ち済ませて春の風邪 次郎
770 遺産相続猫が一匹 薊子
770 伸び縮みする天井の染み みど
771 深窓の令嬢ついに家を出ず 兼坊
772 家路忘れたたらちねの旅 次郎
773 いつか見た客船探し港まで みど
774 カモメ賑やか電線の上 梨乃
775 かたかたと筆箱の鳴るランドセル みど
776 走って逃げる魔女の裏庭 薊子
777 雪融けて土に裸足の心地よく 兼坊
778 風楽しめば後の苦しみ みど
779 飛ぶ夢を見た一日はぼんやりと 薊子
780 勉強しなさいとは言わないで 兼坊
781 夜も更けていと柔らかき雨の音 みど
782 古いテープのブラームス聴く 薊子
783 うじうじと未だのうのうと春炬燵 次郎
784 行方不明の軟膏の壜 みど
785 病気とは無縁の人となりにけり 兼坊
786 花に先駆け無敗王散る 次郎
787 エイプリルフールに飲ます針千本 みど
788 ウイルスバスター狂う春風 薊子
789 もののけが提灯下げて花の宴 みど
790 玉三郎が踊る不忍 薊子
791 神妙にモデル見つめる画学生 みど
792 忽然として湧き出る若葉 次郎
793 ゆるゆると息切れせぬやうやればよい 薊子
794 リンスで顔を洗つちまつた みど
795 夏雲の出でて大きくシーツ干す 次郎
796 深呼吸して連休中日 みど
797 甘夏の娘の香り昼の月 次郎
798 左かばいていかる右肩 みど
799 石楠花のぬっと顔出す磴なかば 次郎
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