朝OLT歌仙「誰知らで」の巻
衆議判 起首 2002.04.06 満尾 2002.05.11
発句 誰知らで今宵蘂降る桜かな 薊子
脇 朧に霞む山の端の月 海砂
第三 蒼帝と書き上げる墨鮮やかに 無耶
四 展覧会へ人出賑はひ 薊
五 恐竜の骨格模型撫でてみる 砂
六 尺取虫のそろりそろりと 耶
ウ
七 昼寝よりすることもなき田舎宿 薊
八 時代屋女房ひとり放蕩 砂
九 ほっそりと鶴によく似る寝姿の 耶
十 デジャヴ未来の記憶なりとか 薊
十一 珈琲のぽこぽこ滾る秋渇 砂
十二 十三夜には青猫に逢ひ 耶
十三 道化師のシャツ繕へるうすら寒 薊
十四 鎖の痕の残る胸板 宗海
十五 十字架を担ぎ上げたる丘の上 耶
十六 ガラシャ手摺れの櫛の巾着 砂
十七 薄墨の花に昔を問うてみる みど
十七 初出社する子の頼もしく 薊
ナオ
十九 春疾風小路を抜けて猫町へ 海
廿 ぽつりぽつりと二上りの糸 耶
廿一 更けゆけば枕の下に川の音 砂
廿二 拳銃無宿愛はいらない 薊
廿三 ブロンドのたわわに熟れし白い丘 海
廿四 蛍火かかげ触れる指先 耶
廿五 疎開地の便り途絶えて月涼し 薊
廿六 はるかに懐ふ阿武隈の峡 砂
廿七 草の径ギアを一段高くする 海
廿八 口笛やがてア・テンポとなり 耶
廿九 幸せはメレンゲの角バニラの香 薊
卅 焦げ鍋が陽に曝されてゐる 砂
ナウ
卅一 片割れの手袋つひに捨てられず 海
卅二 廿日鼠を飼ひ馴らす日々 耶
卅三 お持たせの羊羹切つて帚たて 砂
卅四 真贋いづれ備前長船 海
卅五 壬生の夜は明くるか花の下臥しに 耶
挙句 三十六峰煙る春霖 砂
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