の巻
起首 1999.08.29 満尾 2000.01.21
発句 ぎんやんまじっとしており露天の湯 野幸
脇 杯かわすとなりのお猿 ロコ
第三 廃線の鉄路の錆に頬つけて 縄文
四 しまいこまれたアルトサックス 野猿
五 渡航費にあと一息の明けの月 海砂
六 雨の上がって虫時雨聞く 鶴鳴
7 蜂蜜をとろり溶かしてミルクティー 梨乃
8 銀の小匙に映るくちびる 玄鴻
9 偶然の出会い装う帰り道 縄文
10 身元調査は煙草屋に聞く 玄鴻
11 明日から四日続けてセールだと ロコ
12 王監督のえらがなお張る 玄鴻
13 2千年待たずこけたるカンピュータ 旅人
14 カウントダウンで客を呼ぶ街 みど
15 屍の胸を破りて花白し 歩歩
16 春陰仰ぐ謎の手褄師 縄文
17 垢舐めに育児の愚痴をうちあける 野猿
18 精と卵とが触れあへる頃 鶴鳴
19 満月の札で五光の花合わせ 玄鴻
20 金切り声の赤の女王 蘭石
21 巨大ロボ必殺技を連呼して 鶴鳴
22 ゲリラライブで家宅捜索 玄鴻
23 リストラのいじめに負けてひきこもり 野猿
24 ゾンビー切りが得意技なる みど
25 盲牌に擦り減る指紋渦を巻き 縄文
26 つくづく思う朝の三快 玄鴻
27 ぱんぱんと布団を叩く不貞妻 みど
28 王の帰還に都ざわめく 野猿
29 暗雲を切り裂く鎌か月の出で 縄文
30 ライトきらめきジェット上昇 梨乃
31 福岡にみたい景色と友があり 玄鴻
32 替え玉いくつこなせるのかな? みど
33 チャンポンをすすり蛇踊り見物で 梨乃
34 酔うと脱ぐ癖あったいい奴 玄鴻
35 次々とピンク映画に主演する みど
36 AV当てて御殿を建てて 梨乃
37 綱引きのひも持ち帰る那覇祭り ロコ
38 勝敗だけはテーゲーならず みど
39 秋山と工藤踏ん張りタカが舞う 梨乃
40 わたしゃ江川の頃のファンです ロコ
41 ルールなどわからなくても愛してね 野猿
42 営業マンはすぐに脱ぐ癖 みど
43 男ならふんどしいっちょでしめてこい ロコ
44 水かけしちゃるこっち来んしゃい 梨乃
45 飛び込めばセールうれしい勝利かな ロコ
46 残業なんか気にもしないで 梨乃
47 ロッカーの奥に隠したポケット瓶 玄鴻
48 ピンクの象がぼくのともだち 野猿
49 寒風は都営住宅吹き抜けて みど
50 コンクリ流す狭い浴槽 鶴鳴
51 電線を齧る鼠のグルメ振り 縄文
52 百万回も生きたあの猫 野猿
53 今生の恋は最後とささやきて 蘭石
54 涙まじりのめおとごとなど 玄鴻
55 天井の電球替える人がいて 梨乃
56 デブのミニスカもはや犯罪 野猿
57 水虫をぽりぽり酢など付け置きて 縄文
58 大左右衛門は赤フンで立つ 鶴鳴
59 秋あかね台湾海峡渡り来て 海砂
60 末端価格は二十数億 玄鴻
61 折り傷の無きビニ本にあの女優 蘭石
62 恋い句捌くが恋はできない 玄鴻
63 夜の街ケルティックの風が吹き 梨乃
64 ハープ奏でる移民末裔 みど
65 李白には西域の名のあるといふ 鶴鳴
66 憶良大和の瓜を食みをる 縄文
67 子沢山生協米の無農薬 蘭石
68 自慢ぢやないが酒は自家製 海砂
69 白菜のキムチはやはり韓国で 梨乃
70 カプサイシンで懐も痩せ 縄文
71 ぽんぽんと叩いて直る訳がない 玄鴻
72 足の裏見て金をがっぽり 野猿
73 厚底のサンダル履いて闊歩する ロコ
74 深夜工事のオレンジライト みど
75 人生を訥々語る運転手 蘭石
76 利酒の腕今も健在 鶴鳴
77 粘菌の静かに眠る蔵の梁 縄文
78 熊楠の裔名乗るフーテン 野猿
79 姫りんご飴にくるまる祭りの夜 梨乃
80 残りわずかに夏休み過ぐ 海砂
81 朝顔の蕾少なく朝の月 蘭石
82 袱紗に包む茶杓訳あり 縄文
83 立ち上がる時にはがれる化けの皮 ロコ
84 講演会のネタはひとつで 玄鴻
85 レビュウにはアジアの風を吹きこんで 梨乃
86 日本印度化計画を練る 鶴鳴
87 筋肉を鍛えて出そうアドレナリン 野猿
88 ブルーベリーのマフィン焼きたて みど
89 ナメクジがさわやかに溶け鷹は勝つ 筑前
90 だいちにそそるおおなすかいな ま猿
91 神津島富士の鳴動侮れず 梨乃
92 慣れちゃいけないニュース速報 野猿
93 渦潮をたこつぼにしてライブ捨て 筑前
94 玄界灘の魚喰いたし ロコ
95 背を丸め暖簾をくぐる雪夜なり みど
96 ちどり足にてアイスダンスを ロコ
97 五才からお稽古通いの一人っ子 みど
98 ステージママになるのが夢なの ロコ
99 花の下交わす約束はかなくて みど
挙句 古い日記に残る思い出 ロコ
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