最近の作品より

《早朝OLT歌仙「初風や」の巻》

(F5「おると」にて興行)




歌仙「初風や」の巻 

衆議判  
起首 2000.08.18  
満尾 2000.09.22 

   発句  初風や汽笛の遠くとどく夜      真由 初秋  
    脇   月の廚にしのぶ故郷        宗海 三秋/月
   第三  糸瓜水インタネットで売出して    無耶 仲秋
    四   猫は躾のむつかしいもの      海砂 
    五  新記録目前ドミノ倒れ出す       由 
    六   悴け指にて探る紙入         海 晩冬
ウ   七  初湯とて番台とする長話        耶 新年
    八   小町むすめが男言葉で        砂  
    九  ワイヤーの無いブラしても肩が凝り   由
    十   掬ふ諸手に乳房零るる        海
   十一  亡くしたる子の歳数へそぞろ泣き    耶
   十二   帰りなんいざ安達太良の山      砂
   十三  むささびの掴み損ねし枝の先      海 三夏
   十四   あっかんべぇする月の涼しげ     耶 三夏/月
   十五  まじないの御符を額に夜尿症      砂
   十六   大人になったら世界一周       海
   十七  花の下タイムカプセル埋めておき    耶 晩春/花
   十八   昭和史事典成る春の雲        砂 三春
ナオ
   十九  どんたくの囃子あふれる煉瓦道     海 晩春
    廿   唐人帽の誂へはここ         耶
   廿一  お立ち会いさても南京玉簾       砂
   廿二   ボランティアにも芸名が付き     耶
   廿三  AVは女子高生をウリにして      由
   廿四   介護実技が恋のテクノに       砂
   廿五  信玄の隠れ里には盲剣士        耶
   廿六   濡れ落葉など陰でささやく      由 三冬
   廿七  彼の老と知れる寒柝冴え冴えと     砂 三冬
   廿八   雲間の月のこぼす涎か        耶 三冬/月
   廿九  枡酒を塩の肴できゆつとやり      海
    卅   大はしやぎして餅拾ひあふ      由
ナウ 卅一  ぴかぴかの新造船に大漁旗       砂
   卅二   山の緑が海を育てる         耶
   卅三  漂ひて水母はなほも藍に染まず     海 三夏
   卅四   燕雀いずくんぞとて世を塞ぎ     砂
   卅五  根がここにあるから花はここに咲き   由 晩春/花
   挙句   蝿の生まれてはやも手を擦る     海 晩春




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