歌仙「冬めくや」の巻
衆議判 起首:2000.11.25 満尾:2001.01.20
発句 冬めくや友と囲めるキムチ鍋 薊子 初冬
脇 マッコリ白く月冴ゆる夜 海砂 三冬/月
第三 軍靴して氷の橋や渡るらん 宗海 晩冬
四 電信兵のややに遅るる 無耶
五 初虹を今年生まれたべこに見せ 子 晩春
六 山脈青く渡る柔東風 砂 三春
ウ 七 銀色の自転車軽く夏隣る 海 晩春
八 舶来石鹸ほのと匂ひぬ 耶
九 イニシャルをいれたタオルを差し出して 真由
十 別れの曲をさらふゆふぐれ 子
十一 三日月とおなか空かして帰り道 海 三秋/月
十二 運動会でもろた鉛筆 砂 三秋
十三 英単語ひとつ忘れる秋の霜 子 晩秋
十四 東寺の市に異国人群れ 耶
十五 デジカメを持ってパンダを見に行こう 由
十六 お多福かぜの癒えてほっそり 砂
十七 ひよつとこの頬にチユウする花盛り 海 晩春/花
十八 心変はりの春風に泣く 耶 三春
ナオ
十九 片恋の猫がすねてる塀の上 砂 三春
廿 見越の松を枯らす路線価 子
廿一 借金のでかい奴ほどよく眠り 海
廿二 日本の夜明けはまだじゃ杉作 耶
廿三 太秦で電車を降りるサングラス 砂 三夏
廿四 張り込みデカが削る魚の目 子
廿五 洗濯の干しもの棹にひるがへり 耶
廿六 形状記憶Eカップなど 砂
廿七 ロボットの仕様指定は夜用と 耶
廿八 挙動不審のあやし移り香 砂
廿九 月の畑野壷に落とす下駄の音 耶 三秋/月
卅 二百十日の無事の酔ひどれ 砂 仲秋
ナウ
卅一 なにもかも煮崩れてをりきりたんぽ 海 晩秋
卅二 用もないのにまた長電話 由
卅三 九十翁八十姥は矍鑠と 耶
卅四 韓の宴にて謡ふ高砂 海
卅五 花の下遙かな道をゆつくりと 由 晩春/花
挙句 殿守る遠足の陣 砂 晩春 ※殿(しんがり)
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