IRC自由連句「待ち人」の巻
起首 2001.01.21 満尾 2001.03.24
01 待ち人や通り過ぎたる風の音 ロコ
02 大時計にも降り積もる雪 みど
03 タクシーの待機すれども人もなし 梨乃
04 コンビニエンスの光こうこう ロコ
05 月見上げ弁当開くアルバイト みど
06 モーツァルトがボクの着メロ 梨乃
07 録画したビデオ途中で止めたまま ロコ
08 製薬会社年次総会 みど
09 棚卸しロスが怖いぞ決算は 梨乃
10 鉛筆削り係りの新人 ロコ
11 ユトリロに焦がれて通う美術館 みど
12 ミラボー橋の下のうたかた 薊子
13 エイサーを踊るにゃ寒い冬の夜 ロコ
14 凍えた指をそっと胸乳に 野猿
15 狂ほしく呼べど帰へらぬ骸なり 蘭石
16 レクイエム鳴る文化会館 みど
17 常夏の島を夢みるマッチ売り 野猿
18 白くまという名のかき氷 梨乃
19 毛氈に花びらの散る昼下がり みど
20 静かなる時この世にふたり 梨乃
21 束の間の炎と燃えて別れたる 宗海
22 昼顔の名の娼婦恋しや 海砂
23 夕べには骨となるとも紅き唇 無耶
24 帯締めてゆく黄泉の通ひ路 宗海
25 オルフェオは雷の音に振りかえる みど
26 イザナミ捧ぐ桃とかんざし 梨乃
27 成りなりて成り余れるをもてあまし 宗海
28 できたこどもにわり算教える ロコ
29 寮生が窓に下げたる酒の樽 みど
30 雪を見たのは入試の季節 ロコ
31 ケータイのスイッチはすぐ切りなさい 宗海
32 Lモードでは訴えられて 鶴鳴
33 厚底で三歩あるいて真っ白け 蘭石
34 ケンタくんたら割引してよね ロコ
35 駅前のティッシュ逃さぬ花粉症 みど
36 カッパドキアのマゾ男来る 蘭石
37 飼い猫の雌雄すっかり取り違え 野猿
38 狸囃子で踊るパラパラ 蘭石
39 なんにでも入れて健康うっちんを ロコ
40 母の先生みのもんた様 梨乃
41 通販のおまけの方が役に立ち 薊子
42 ディスプレイから失せた花束 みど
43 落し物トイレの隅にひっそりと 梨乃
44 あたいのかあちゃん美人でしたか 薊子
45 どこまでも旅の一座を追いかけて みど
46 カナダで修行世界のスター 梨乃
47 雑踏の音も楽譜と聞く頭 薊子
48 体育休む天才少女 みど
49 憧れの転校生は劣等生 梨乃
50 階段転げ入れ替わる性 ロコ
51 子の習ふ別れの曲のなつかしき 薊子
52 大熱の夜の不条理な夢 みど
53 闇を裂き原色クラウン踊りだし 梨乃
54 嘘かほんとか涙のかたち 野猿
55 誘い込む秘密の小部屋の出入り口 ロコ
56 蹴鞠するかねサッカーがいい? 梨乃
57 訳知りの子守りロボットうたてやな 薊子
58 どこでもいけるドアを下さい みど
59 集まらぬ会議は二度もお流れで ロコ
60 60億の大損覚悟 筑前
61 星ひとつ死んで生まれる大宇宙 薊子
62 須弥山に咲く美しき花 みど
63 神々のたそがれてゆく黄金の色 薊子
64 ルードウィヒ王溺死する朝 鶴鳴
65 ニュース読むキャスター同級生の母 ロコ
66 ひっそりと飼う猫の兄弟 みど
67 爪を摘むうなじひわひわうつむいて 蘭石
68 合体ロボを壊す幼子 鶴鳴
69 形見分け父の蔵書の七部集 みど
70 銀のスプーンの錆もいとしき 薊子
71 木目込の頭いくつも刺し並べ 蘭石
72 賀茂の柳のけぶる春雨 薊子
73 跳躍を競い合うのは蛙ども 梨乃
74 寿司屋を荒らす痩せの大食い みど
75 失恋の心の隙間埋めましょう 薊子
76 着物道楽役立つ見合い 梨乃
77 曖昧な微笑みばかり身について みど
78 尾が九重に割れるこの頃 薊子
79 着メロが遠い思い出呼び起こし ロコ
80 十五の夜は二度とかえらぬ 鶴鳴
81 花束に支えられつつ今日を生き 蘭石
82 見なれた顔の並ぶ劇場 みど
83 アングラの演出家として二十年 鶴鳴
84 45秒で乾くマニキュア 蘭石
85 愛猫は禁止地帯を熟知して みど
86 忘れられないあの人のゆび 蘭石
87 そこじゃないも少し下と背なのツボ 薊子
88 買い物しない香港ツアー 梨乃
89 竜の気は谷間を抜けて海目指す みど
90 都市計画をまかす陰陽 薊子
91 鴨川の岸に晴明今も居り 梨乃
92 北極星が中心にあり 鶴鳴
93 古井戸に柄杓の取っ手転がって みど
94 珍妃の嘆き風のまにまに 野猿
95 穴吊りにされた島原キリシタン 鶴鳴
96 発掘隊の予算オーバー みど
97 昼食にチーズとろけるカレー麺 ロコ
98 モーツァルトを縦笛で吹く 鶴鳴
99 花霞み窓に何やら土埃 梨乃
挙句 友の夢見る春の日の午後 みど
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