早朝IRC歌仙「猿田彦」の巻
起首 2002.02.16 満尾 2002.03.30
発句 先触れは猿田彦なり水の春 無耶 三春
脇 建国の日の祝詞朗々 海砂 初春
第三 風船と鳩いっせいに放たれて 耶 三春
四 迷子が泣いて囲む人垣 砂
五 村外れかはたれ月の影もなく 耶 三秋/月
六 崩れた簗に掛かる手拭 砂 晩秋
ウ七 心願のことは言へずに秋の蝶 耶 三秋
八 掌に読む男運の相 砂
九 ピンヒール履く足首の繊きこと 耶
十 涙ぐみつつ夏痩せといふ 砂 三夏
十一 ほととぎすてっぺんかけたか月の影 耶 三夏/月
十二 たまらん坂にすぎる門限 砂
十三 ばんからが高下駄放る橋の上 耶
十四 出世払ひがきかぬ三十 薊子
十五 候補にはなれどそこまで直木賞 砂
十六 眠る間に積む雪の重さよ 耶 晩冬
十七 餅花にましてめでたき孫の笑み 薊 新年/花
十八 鉄瓶たぎる松風の音 砂
ナオ
十九 名物は赤不二となん名の高き 耶
廿 田舎のバスは汗拭いて押す 薊 三夏
廿一 目もくれずB29が飛んで去る 砂
廿二 ヒラヒラ舞うはアカトンボなり 耶 三秋
廿三 マニキュアを拭ひ落して御命講 砂 晩秋
廿四 後妻なれども名代の月 耶 三秋/月
廿五 出汁巻の味の変はらず縄暖簾 薊
廿六 まぼろし柳ゆらり立ち去る 耶 三春
廿七 囀りの鴫立庵に筵して 砂 三春
廿八 さてもかしこしきさらぎの春 耶 仲春
廿九 白箸の玉と磨きてお食初め 砂
卅 重たいものは背負はせまいぞ 耶
ナウ
卅一 ロボットのしなやかに舞ふ指の先 砂
卅二 中小企業が国を支える 薊
卅三 ともかくも冬の時代を乗り越えて 耶 三冬
卅四 コートを脱がす風と太陽 砂 三冬
卅五 花氷母の記憶の赫々と 薊 三夏/花
挙句 茅の輪を潜る兄と妹 砂 仲夏
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