賦物連句「さようならPC−VAN」の巻
起首 2000.07.02 満尾 2001.01.31
発句 新世紀波にのまれしPC−VAN ロコ
脇 インターネットに勝てぬ晩涼 鶴鳴
第三 エンヤコラ助っ人数多繰り出して 縄文
四 アクセス数に明け暮れた日々 梨乃
五 月見上げ一句捻った夜OLT みど
六 朝の仕事は暖簾書き換へ 宗海
七 ふるさとのおぢさん広場雨露の恩 海砂
八 あれから何年経った事やら 兼坊
九 冷や汗のフェースマークもお馴染に 無耶
十 冗談抜きで結婚します みど
十一 愛の巣の新居で開くオフの会 宗海
十二 韓国までも押し出す衆 海砂
十三 紅島てふ奇岩の浜に灯をともし 無耶
十四 GEISネットで書き送る月 宗海
十五 ジョンポール永久に変わらぬ気持ち込め ロコ
十六 長句短句の旅の思い出 みど
十七 花を待つ紫明庵にもいらっしゃい 鶴鳴
十八 さっぱり字だけのパソ通が好き 野猿
十九 接続に失敗してもかわいやVAN 梨乃
廿 ベータに親指滅びの美学 唐辛子
廿一 あの夏がおいでまシートによみがえる 真由
廿二 未読の君の暖かった肩 含胡
廿三 オフラインならば会はでややみぬらん 兼坊
廿四 列車連句でSIGの縦断 宗海
廿五 満月が朝日になるまでOLT好き のり
廿六 秋の名残を友と惜しまん 宗海
廿七 ありし日の魔女も通いぬ月夜のVAN 村雨
廿八 ログの整理に技のあれこれ みど
廿九 ようやくと使いこなしたMOPなの ロコ
卅 やがて二千で使い放題 縄文
卅一 無制限なった途端にホスト消え 筑前
卅ニ 伝説となるあの日あの頃 蘭石
卅三 刎頚の友よ未だ見ぬかんばせよ 野猿
卅四 人柄偲ぶ文字の連なり 梨乃
卅五 列島に花満ちボード賑やかに 無耶
卅六 また逢いましょう春はたけなわ 海砂
卅七 あらなんともなやPCVANの一、二月 鶴鳴
卅八 バレンタインに恋句眺めて みど
卅九 身辺を五七五につい綴り 野猿
四十 またゴミ箱に捨てるゴミメール 無耶
四一 培った文化遺産の龍天に 宗海
四二 森羅万象句詠まざるは無し 無耶
四三 雑談はオルト連句の肥やしなり 宗海
四四 文化祭には誰を呼ぼうか みど
四五 芸人と綺麗どころを取り揃え 梨乃
四六 まだ先のことと実感わかず 坊主
四七 ストラップ回して祝う特別賞 真由
四八 ばざーるでご猿待っていたのに 無耶
四九 飲むことを約して別れ来たりしに 健悟
五十 徘徊の身に凩の吹く 健悟
五一 様々に言葉を変えて謝る身 健悟
五二 おぢさん広場懐かしきかな 無耶
五三 火星よりコマンド届くと噂され みど
五四 MS−DOSの画面真っ黒 宗海
五五 青いのはブルーサンダーとか言って 兼坊
五六 中村さんが庇ふこのSIG 海砂
五七 モニターに山神の目を気にしつつ 真由
五八 顔文字ばかり並ぶやりとり 無耶
五九 OLTよりチャットに続く恋模様 宗海
六十 女の人だと思ってたのに 梨乃
六一 朗報も悲報もみんなログのなか みど
六二 西や東の天気報告 無耶
六三 沖縄も北海道も一座にて 宗海
六四 日没時差が一時間あり 海砂
六五 悩んだら遠くの友にメールして 真由
六六 世界の果てに同じハンドル 宗海
六七 嗚呼つひに終末の夜来たもんだ 鶴鳴
六八 あすに向かって撃つほかあるまい 宗海
六九 親しんだソフトも今日で封印し 真由
七十 片雲の風さそふ草の戸 薊子
七一 俳号を印す名刺の残少し 縄文
七二 キィを打つべし今宵この時 鶴鳴
七三 外つ国の夜の挨拶を受くる朝 宗海
七四 いつか作るぞフィンランド支部 薊子
七五 古酒も良し新酒又良き皮袋 縄文
七六 それにつけても広場なつかし 無耶
七七 住み分けもいいけど雑居の好さもまた 宗海
七八 勝手知りたるバーの止り木 薊子
七九 品書きにあらぬ帳場のお惣菜 縄文
八十 の方はいかがとマニュアル言語 海砂
八一 だまされて捨てられた気のする去年今年 みど
八二 恨みはさらりネットの海へ 無耶
八三 カンダタが蹴落としすがる蜘蛛の糸 宗海
八四 気になる鼻もチャットじゃ見えない 薊子
八五 その昔みかかてふのに貢ぎける 縄文
八六 夜のOLTが朝に出会えば みど
八七 空音して函谷関をたばかりし 海砂
八八 けたたましくも恋句ばれ句を 無耶
八九 雑談の文字の隙間をかいくぐる 宗海
九十 ハングルだって覚えましたよ みど
九一 坂道の麓で待って日の暮るる 縄文
九二 老荘の天釈尊の無 海砂
九三 うつむいた睫毛に涙ふるふると 蘭石
九四 帰ってみてももう誰もゐない 無耶
九五 OLT終へ眠れぬ夜もあったっけ 鶴鳴
九六 驚いたのは婚約発表 みど
九七 こんなにもネット時代になるとはなあ 野猿
九八 ハイテクノロジーは秒進分歩 ロコ
九九 花同じからずロボットと酒を酌む 海砂
百 地平はるかに満つる春光 宗海
(* 注) 十三 「紅島(ホンド)」=韓国全羅南道西方沖に浮かぶ小島。
電脳連句有志による1998年夏の韓国旅行の折にこの島を訪れた。
|