祝 満尾!!

賦物連句「さようならPC−VAN」の巻 (F5「おると」にて興行)

★パソコン通信ネットワークPC−VANが2001年2月をもって廃止されるというニュースは、このシステムを連句制作の場として長年にわたる活動を続けてきた我々にとって非常にショッキングなものでした。しかし、気落ちしてばかりもいられない、せめて終末を迎えるまでは従来どおり活動を続けて行こうというので、夜OLTのメンバーが早速この事態を題材とする一巻を立ち上げました。これぞまさしく電脳連句の面目躍如たる企画でしょう。




賦物連句「さようならPC−VAN」の巻

起首 2000.07.02 
満尾 2001.01.31


  発句 新世紀波にのまれしPC−VAN     ロコ    
   脇  インターネットに勝てぬ晩涼      鶴鳴    
  第三 エンヤコラ助っ人数多繰り出して     縄文    
   四  アクセス数に明け暮れた日々      梨乃    
   五 月見上げ一句捻った夜OLT       みど     
   六  朝の仕事は暖簾書き換へ        宗海    
   七 ふるさとのおぢさん広場雨露の恩     海砂    
   八  あれから何年経った事やら       兼坊    
   九 冷や汗のフェースマークもお馴染に    無耶    
   十  冗談抜きで結婚します         みど    
  十一 愛の巣の新居で開くオフの会       宗海    
  十二  韓国までも押し出す衆         海砂    
  十三 紅島てふ奇岩の浜に灯をともし      無耶    
  十四  GEISネットで書き送る月      宗海    
  十五 ジョンポール永久に変わらぬ気持ち込め  ロコ    
  十六  長句短句の旅の思い出         みど    
  十七 花を待つ紫明庵にもいらっしゃい     鶴鳴    
  十八  さっぱり字だけのパソ通が好き     野猿    
  十九 接続に失敗してもかわいやVAN     梨乃    
   廿  ベータに親指滅びの美学       唐辛子    
  廿一 あの夏がおいでまシートによみがえる   真由    
  廿二  未読の君の暖かった肩         含胡    
  廿三 オフラインならば会はでややみぬらん   兼坊    
  廿四  列車連句でSIGの縦断        宗海    
  廿五 満月が朝日になるまでOLT好き     のり    
  廿六  秋の名残を友と惜しまん        宗海    
  廿七 ありし日の魔女も通いぬ月夜のVAN   村雨    
  廿八  ログの整理に技のあれこれ       みど    
  廿九 ようやくと使いこなしたMOPなの    ロコ    
   卅  やがて二千で使い放題         縄文    
  卅一 無制限なった途端にホスト消え      筑前    
  卅ニ  伝説となるあの日あの頃        蘭石    
  卅三 刎頚の友よ未だ見ぬかんばせよ      野猿    
  卅四  人柄偲ぶ文字の連なり         梨乃    
  卅五 列島に花満ちボード賑やかに       無耶    
  卅六  また逢いましょう春はたけなわ     海砂    
  卅七 あらなんともなやPCVANの一、二月  鶴鳴    
  卅八  バレンタインに恋句眺めて       みど    
  卅九 身辺を五七五につい綴り         野猿    
  四十  またゴミ箱に捨てるゴミメール     無耶    
  四一 培った文化遺産の龍天に         宗海    
  四二  森羅万象句詠まざるは無し       無耶    
  四三 雑談はオルト連句の肥やしなり      宗海    
  四四  文化祭には誰を呼ぼうか        みど
  四五 芸人と綺麗どころを取り揃え       梨乃
  四六  まだ先のことと実感わかず       坊主
  四七 ストラップ回して祝う特別賞       真由
  四八  ばざーるでご猿待っていたのに     無耶
  四九 飲むことを約して別れ来たりしに     健悟
  五十  徘徊の身に凩の吹く          健悟
  五一 様々に言葉を変えて謝る身        健悟
  五二  おぢさん広場懐かしきかな       無耶
  五三 火星よりコマンド届くと噂され      みど
  五四  MS−DOSの画面真っ黒       宗海
  五五 青いのはブルーサンダーとか言って    兼坊
  五六  中村さんが庇ふこのSIG       海砂
  五七 モニターに山神の目を気にしつつ     真由
  五八  顔文字ばかり並ぶやりとり       無耶
  五九 OLTよりチャットに続く恋模様     宗海
  六十  女の人だと思ってたのに        梨乃
  六一 朗報も悲報もみんなログのなか      みど
  六二  西や東の天気報告           無耶
  六三 沖縄も北海道も一座にて         宗海
  六四  日没時差が一時間あり         海砂
  六五 悩んだら遠くの友にメールして      真由
  六六  世界の果てに同じハンドル       宗海
  六七 嗚呼つひに終末の夜来たもんだ      鶴鳴
  六八  あすに向かって撃つほかあるまい    宗海
  六九 親しんだソフトも今日で封印し      真由
  七十  片雲の風さそふ草の戸         薊子
  七一 俳号を印す名刺の残少し         縄文
  七二  キィを打つべし今宵この時       鶴鳴
  七三 外つ国の夜の挨拶を受くる朝       宗海
  七四  いつか作るぞフィンランド支部     薊子
  七五 古酒も良し新酒又良き皮袋        縄文
  七六  それにつけても広場なつかし      無耶
  七七 住み分けもいいけど雑居の好さもまた   宗海
  七八  勝手知りたるバーの止り木       薊子
  七九 品書きにあらぬ帳場のお惣菜       縄文
  八十  の方はいかがとマニュアル言語     海砂
  八一 だまされて捨てられた気のする去年今年  みど
  八二  恨みはさらりネットの海へ       無耶
  八三 カンダタが蹴落としすがる蜘蛛の糸    宗海
  八四  気になる鼻もチャットじゃ見えない   薊子
  八五 その昔みかかてふのに貢ぎける      縄文
  八六  夜のOLTが朝に出会えば       みど
  八七 空音して函谷関をたばかりし       海砂
  八八  けたたましくも恋句ばれ句を      無耶
  八九 雑談の文字の隙間をかいくぐる      宗海
  九十  ハングルだって覚えましたよ      みど
  九一 坂道の麓で待って日の暮るる       縄文
  九二  老荘の天釈尊の無           海砂
  九三 うつむいた睫毛に涙ふるふると      蘭石
  九四  帰ってみてももう誰もゐない      無耶
  九五 OLT終へ眠れぬ夜もあったっけ     鶴鳴
  九六  驚いたのは婚約発表          みど
  九七 こんなにもネット時代になるとはなあ   野猿
  九八  ハイテクノロジーは秒進分歩      ロコ
  九九 花同じからずロボットと酒を酌む     海砂
  百   地平はるかに満つる春光        宗海

(* 注) 十三 「紅島(ホンド)」=韓国全羅南道西方沖に浮かぶ小島。
    電脳連句有志による1998年夏の韓国旅行の折にこの島を訪れた。




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