早朝IRC歌仙「沈丁花」の巻
起首 2001.03.24 満尾 2001.05.05
発句 沈丁花の香り追ひつつ家路かな 薊子 仲春
脇 雛の市の迷ひ嬉しく 真由 仲春
第三 桜貝金のピアスを載せ置きて 宗海 三春
四 さりさりと咬む猫の薬草 海砂
五 月の出の海辺に小舟ゆらすらん 無耶 三秋/月
六 夜露を負ひしカナリアの籠 海 三秋
ウ
七 ゆくりなく歌思ひ出す秋の園 子 三秋
八 白痴美などとものは言ひやう 砂
九 蹠のふくよかなるに腰踏ませ 耶
十 とうの昔にデフレ父の座 子
十一 安心の場所は僅かに厠なり 海
十二 野天の穴を覗く盗賊 野猿
十三 浴衣脱ぐ秘湯巡りの谷に月 海 三夏/月
十四 昼の気で鳴く稚き初蝉 砂 仲夏
十五 向学の青年の買ふ旧約書 耶
十六 口語の訳はどこか間が抜け 砂
十七 花の窓鼻毛を植ゑる机なり 耶 晩春/花
十八 蝶まよひこむしらが蓬髪 砂 三春
ナオ
十九 永き日をゲート目指して球走る 由 三春
廿 断酒宣言すでに半年 海
廿一 何をしに来たのでもなし銀座裏 砂
廿二 オールディーズがヒットチャートに 子
廿三 ライターは友の遺品のジッポにて 耶
廿四 胸に残るは黙示録なり 砂
廿五 ぐわらぐわらと氷壁崩れゆく極地 耶 三冬
廿六 上昇気流さぐる隼 砂 三冬
廿七 夜明けまで宰相のそば離れずに 耶
廿八 ロマネコンテのコルク崩れて 砂
廿九 人魚とも知らず買うたはアンクレット 耶
卅 月のかけらのさんざめく湖 砂 三秋/月
ナウ
卅一 満願の蓮の実飛ばすドラえもん 耶 晩秋
卅二 宝の市に探すぐい飲み 海 晩秋
卅三 三百両豈はからんや古太鼓 砂
卅四 火炎負うたる不動様なり 耶
卅五 桜散る背ナの彫りもの花の下 砂 晩春/花
挙句 丁と半とが揃ふ野遊び 海 晩春
(注)廿九 *アンクレット…踝のアクセサリ
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