連句博物館/SIG電脳連句ライブラリ #1

五音賦物二十八宿「むつ五郎」の巻



#138/139 まつり
★タイトル (LFB*****) 97/ 4/25 15:56 ( 45)
五音01>興行の提案説明と発句     塔婆守
★内容

十二単が満尾して賦物の種が切れたによって、その繋ぎにしばらく「五音」 やらかいてみませぬか。

いささか手抜きの趣にござあるが、本年一月「連句ひろば」にて興行いたいたる折のまにゅある文にちと手を加へたるものを転載いたさうず。

============(遊び方)================

たとへば発句の5・7・5の頭に

 マつすぎの ミちをはひゆく ムかでかな 
(松過ぎの  道を這ひ行く  百足虫かな)

式に、マ・ミ・ムを読み込うだならば、脇は7・7にメ・モを読み込む。
第三は五十音図のその他の行のア・イ・ウ段の音を読み込む。
四句目は同じ行のエ・オ段の音を読み込む。
・・・・

といふ案配に、残りの行を始末しながら付け進めて行く。

かつてはアカサタナハマヤラワを使うて廿韻を興行したと思ふが、こたびはそれにガザダバ行を加ふる。さぅすると14×2で28句の長さとなるが、これはうまいことに「廿八宿」の形式と一致する。さすればこれを「五音廿八宿」と名付けてやらかいてはだぅぢゃ。

ただし、これは軟扇子を重んずるものぢゃによって、あまり細かいことは問題にせず、季と二花二月を守る程度で進むることにする。

ただし、イ・ヰ、エ・ヱ、オ・ヲ、ジ・ヂ、ズ・ヅの旧かなの区別は守ることにする(国語辞書を利用すれば、さほど難物ではない)。

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よろしいか、各位。ほんなら早速おっぱじめまっせ。

 発句  まんまるに見開く目見(まみ)やむつ五郎  宗海 晩春 (マミム)

これに脇をお付け下されい。へっだは「五音02>」にござある。先勝ちといたさうず。

   97/ 4/25_塔婆守 (transliteration of "TOBERMORY")




#455/455 まつり
五音00>27治定・執筆挙句/一巻満尾    塔婆守
★内容

お四方より下記の四句をお預かりいたいてをりました。気の抜けぬ間に吟味にとりかからばやと存ずる。

 廿二   KOされて恋の玉競り              耶  新年( ケコ)/恋
 廿三  外国の銀行ならばGOODとて    坊 雑 (ガギグ)
 廿四   芸術品をごっそりと買ふ     游越 雑 ( ゲゴ)
 廿五  輪になって為政の人の後ろ盾        砂男  雑 (ワヰウ)
 廿六   園遊会は叔母と一緒に             男  雑 ( ヱヲ)
===================================
 廿七A 残雪の時期疾くに過ぐ逗子の花   游越 晩春(ザジズ)
    B 座右に置く辞典に花の蘂こぼれ   砂男  晩春(ザジズ)
   C  座敷能時分の花に随喜せる          無耶  晩春(ザジズ)
   D  ざんばらの十九見惚れるずらり花  みど 晩春(ザジズ)

 A句 残雪と逗子の取り合はせが木に竹を接いだる趣にて異質の感を免れぬ。
 B句 今回もまたすらりとしたる運辞にて、危ふいところがござあらぬ。
 C句 配材の妙ここに極まってただお見事としか言ひやぅがござあらぬ。
 D句 中七までは無難にこなしたものの、座五「ずらり花」がちと苦しい。

Bの喉越しすらり味にも捨てがたいものがござあるが、Cの心憎い取り合はせ
に一日の長ありと見ました。これを頂戴仕らうず。花の独り占めなんどいふ難
は耳を塞いで聞かぬことにせうず。

さあらば、兼日の約束どほりこれに執筆が挙句を付けて一巻満尾と致さう。

 挙句    銭屋の衆がぞめく春風      執筆 三春( ゼゾ)

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    五音賦物二十八宿「むつ五郎」の巻
                             起首 '97.04.25
                           満尾 '97.09.06
                           宗海捌

 発句    まんまるに見開く目見やむつ五郎  宗海 晩春(マミム)
  脇    迷走ダムの門に行く春      海砂 晩春( メモ)
 第三      永き日を日記の詩歌抜書きに    無耶 三春(ナニヌ)
  四    鼠が屋根をのしあるくかと    健悟 雑 ( ネノ)
  五   争ふて営む軒の鱗雲        些考 三秋(アイウ)
  六    江戸の相撲を思ふ起き伏し    雅辺 初秋( エオ)
 ウ
   七   山葡萄笊籬に盛ればゆるぎなき    海 初秋(ヤイユ)
    八    縁を偲ぶ夜半の月なり       考 三秋( エヨ)/月
   九      反魂香ひねもす焚ける不二ならむ     耶  雑  (ハヒフ)
  十    平家の君の頬撫でる風       糸 雑 ( ヘホ)/恋
 十一   誰がために痴態見せしか罪深く   縄文 雑 (タチツ)/恋
 十二    鉄溶かす炉も閉ぢて平成     杏奈 雑 ( テト)
 十三   万朶なり瓶にも花の分教場      耶 晩春(バビブ)/花
 十四    別当眠る墓所に来る雉       文 三春( ベボ)
ナオ
 十五   去りがたき春愁我を捨てやらず   兼坊 三春(サシス)
 十六    世話物好きが揃ってござる    みど 雑 ( セソ)
 十七   団体さん地廻り連も頭の低く         耶  雑  (ダヂヅ)
 十八    電卓を手にどんぶり勘定          栞草 雑  ( デド)
 十九   雷鳥の凛と見下ろすルート越え       耶 晩夏(ラリル)
  廿    連合軍の鹿鳴の宴        丁那 雑 ( レロ)
 廿一   かくまでにキスとはよきか暮の月   奈 歳末(カキク)/月/恋
 廿二    KOされて恋の玉競り              耶  新年( ケコ)/恋
ナウ
 廿三   外国の銀行ならばGOODとて    坊 雑 (ガギグ)
 廿四    芸術品をごっそりと買ふ     游越 雑 ( ゲゴ)
 廿五   輪になって為政の人の後ろ盾        砂男  雑 (ワヰウ)
 廿六    園遊会は叔母と一緒に             男  雑 ( ヱヲ)
 廿七   座敷能時分の花に随喜せる           耶  晩春(ザジズ)/花
 挙句    銭屋の衆がぞめく春風      執筆 三春( ゼゾ)
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 これにて一巻満尾。まづはめでたいぞ/\。

   97/ 9/ 6_塔婆守 (transliteration of "TOBERMORY")



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