連句博物館/SIG電脳連句ライブラリ #5

 三吟歌仙「熱砂ゆく」の巻 



#363/364 ざしき
★タイトル (XCM*****) 97/ 9/21 13:22 ( 48)
三吟歌仙「熱砂ゆく」>ご紹介    無耶
★内容

  
 野猿さん、健悟さんとメールで巻いた三吟歌仙が、このほど
 満尾いたしました。新鮮な付け句がたくさん出て、面白い巻に
 なったと思います。どうぞご覧くださいませ。

   歌仙「熱砂ゆく」
                   起首 H.9.7. 5
                                      満尾 H.9.9.17

 発句   傀儡女の白き腕や熱砂ゆく      野猿
    脇      蟾の従者の清げなる声       健悟
  第三      夏畳波と見る間に広がりて            無耶
    四         耳朶を擽る風がくすぐる             猿
   五      地下街に満月の夜のドラミング          悟
    六        グラスの底のオリーブの種          耶
ウ
    七      秋惜む生命線の途切れをり            猿
  八        聖書講義に出てはけがれる        悟
    九      軽やかに扉を叩く姪の午後              耶
    十        水を湛へし猫足の風呂                猿
  十一      大殿のために揃へし地黄丸       悟
  十二        今川焼を買ひに行かされ              耶
  十三      月冴ゆる伊勢屋稲荷に犬の糞            猿
  十四    捜査一課の腕こきを見ず              悟
  十五     ポラロイド写せば今も過去となり        耶
  十六    あっかんべえが薄らいでいく     猿
 十七    肩車して花を折る金と陳                悟
  十八      英国育ち蝶のネクタイ                耶
ナオ
  十九    うららかに農学校の訛真似       悟
  廿         蛙も「下ノ畠ニヲリマス」            猿
 廿一   大空のヤコブの梯子よじ登り            耶
 廿二        獄舎の壁に沁みる吐息は             悟
  廿三      父おやは船乗りなりやと問はれし日      猿
  廿四      少年探すバンコクの街                耶
  廿五      ロケットを揺らして決めるけふの宿   悟
  廿六        水羊羹の漆黒を吸う                  猿
  廿七    愉しみは義歯の遊ぶ老いの床            耶
 廿八      枯れた台詞のその裏のヨミ      悟
  廿九      月光に市長の椅子の影巨き              耶
  三十       湖底に沈む村も魂待つ                猿
ナウ
 三一     振り向けば又とんぼうの追ってきて      悟
  三二        遥か ツイゴイネルワイゼン を聴く            耶
  三三    微笑みて眠りに眠る娘たち              猿
 三四      大講堂の墨を摺り終へ        悟
  三五      花ふぶき糸の緩みし葉隠書              耶
  三六        ゆらりと地軸まわる春昼              猿




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