詳細は中級篇で述べますが、式目の全体を概観してみましょう。
句数 (続けなければならない句数)
貞門式目 蕉門の作例 現代の作例からの標準
1) 春・秋 5句去り 3〜5句 3句
2) 夏・冬 2句去り 1〜3句 2句
3) 恋 5句去り 1〜5句 2句
4) 雑 決りなし 決りなし 決りなし
去嫌 (隔てなければならない句数)
5) 同字 5句去り 初表は一面一字のみ(ただし「恋」は1巻1字、)
6) 述懐・無常・旅体・病体・神祇・釈教・夜分・山類・水辺・居所2句か3句去り、
句数1〜3句
7) ほかの類語はすべて2句か3句去りで、句数1〜2句
8) 二花三月(にかさんげつ)の定座を守る。月の定座が初表5、初裏8、
名残表11句目。花の定座が初裏11、名残裏5句目。
9) 月の定座で落月や無月の句を詠まない。秋の句のひと続き(3〜5句)には
必ず月の句を1句入れる。ただし月の関連語が出ていればそれで月はでて
いることになります。
10) 花の定座では桜の花を<花>という語を使って詠みます。
11) 発句、脇、第3、4句目と挙句は、約束ごとが多いので注意します。
12) 月、花はそれぞれ一句付けたら他の人に譲ります。
13) 特筆すべきは貞門式目では人倫二句去りとなっていましたが、蕉門は人間の
生活や感情を詠むことを好み、自然の叙景が減って、いきおい人倫二句去り
の式目は有名無実となりました。