連 句 入 門

第一次改訂版 Ver2.(2005.1.28増訂)

Copyright (C) 1999-2010 Dennor Renk (電脳連句)


【まえがき】


俳諧の連句を楽しんでいただくために、おおよその約束ごとを記します。五七五または七七の短詩は、幼いころから馴染み深くて私たちの血肉となっていますから、始めたその日からいくつかの作品を生み出すことができます。詩としての洗練度は実作を重ねれば自然に身につくものです。

ところで俳諧の連句は、個々の句の出来栄えを鑑賞すると同時に、一巻の始りから終りまでを、移り変る物語として鑑賞するものです。

そこで、捌きと連衆が力を合せて、より良い物語に仕立上げる為のさまざまな工夫がなされてきました。その工夫の数々が式目と呼ばれる約束ごとです。

狭義の式目は、句数と去嫌を指しますが、ここでは便宜上あらゆる約束ごとを式目と呼んで話しを進めましょう。

式目の知識がなくては参加できないかというと、そんなことはありません。前句からどのように発想し、どのように情景を詠むかが連句の命ですから、付句作者は自由に想を広げればよいのです。

捌き、執筆といった役柄の人が式目に照らして添削をしたり、発想の転換をお願いしたり致しますから、そのときはこの式目集を読み返すことで一つづつ式目の知識を身につけていく、そのようなやり方が上達の早道です。

もともと俳諧の連句は、連歌の難しい約束ごとが簡素化されて世に広まった経緯がありますから、式目だらけの頭でっかちとなっては、後に衰えた連歌の覆轍に倣うことになります。

研究者の書物だけが頼りの現代連句では、勢い学究的な式目談議にとらわれがちですが、本来はもっと楽しいお遊びと思ってください。

俳諧の連句実作のためのステップとしては、次の手順が効果的です。

 (1)歳時記を手に入れる。始めは簡単なものから。慣れたら一季四分あるもの。
 (2)五七五と七七の短詩形に馴染む。数多く作ってみる。
 (3)自由連句に投句する。わからないことを質問する。
 (4)式目の緩やかな賦し物に投句する。
 (5)式目の厳格な連句に投句する。

復習書として本稿をご利用ください。

以下に記す「俳諧の連句式目集」は、東明雅著『連句入門』(中央公論社中公新書)による式目をダイジェスト化したものですが、重要度の高さを表す★を付けました。なお東先生の指導される「連句教室」での実作の席上から得た事柄を加えました。





【目  次】

(初級編)
【1】 歌仙の構成(★★)
【2】 発句、脇、第三(★★)
【3】 四句目(★)
【4】 表六句(★)
【5】 挙句(★)
【6】 季節(★)
【7】 有季の句と雑の句(★)
【8】 歳時記(★)
【9】 参考書(★) 【2005.1.28 増訂】
【10】 式目(★★★)
【11】 付け順 (★)

(中級編)
【12】 句数と去嫌(★★★)
【13】 花と月の定座 二花三月(★★)
【14】 式目表(★★★)
【15】 季語(★)

(上級編)
【16】 人情の区別(★★)
【17】 付けかた(★★★)
【18】 定型(★)
【19】 仮名遣い(★)
【20】 歌仙の題材(★)



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