自由連句通巻76「秋場所や」の巻
起首 2002.09.15 満尾 2003.02.16
7600 秋場所や尻の笑窪の勝名乗 海砂
7601 お百度参りも下駄軽やかに 卯舟
7602 三世代今宵の月にさざめいて みど
7603 芒の原はいつまでも揺れ 無耶
7604 音に聞く稲村ジェーンに逢いたくて 卯舟
7605 神隠しでは済まされぬこと みど
7606 中学生早くお帰り日が暮れる 兼坊
7607 連絡網有り常習犯宅 卯舟
7608 うすぎぬはふうわり垣根とび越えて みど
7609 薔薇の香りはその名変はれど 薊子
7610 ホームラン打ってくれろと母の声 野猿
7611 伸びる包帯切る一等賞 卯舟
7612 鉢巻きで固く結ぶ手ゴールイン 兼坊
7613 落書き残る廃校の壁 みど
7614 吹く風が見えないオフィス気もそぞろ 野幸
7615 時速20の安全走行 卯舟
7616 土耳古から駱駝に乗った絵葉書が 海砂
7617 ゑのころ草がタマをくすぐる 游越
7618 一舐めで聖なる牛は癒すとか 野猿
7619 禅の悟りは蒟蒻とこそ 海砂
7619 色即是空色即是空 卯舟
7620 天よりの水に赤いは曼殊沙華 無耶
7621 秋澄む川の褌の色 海砂
7622 毬栗が綻びて落つ星のかけら 游越
7623 一千一秒炉辺にて繰る 薊子
7624 旅ごころほのかにいだき北国路 野幸
7625 スケソウダラがまた大漁で 卯舟
7626 出世した鰯の君にもう逢へぬ 無耶
7627 大澄賢也歳だダンサー 游越
7628 腹筋と腕立て伏せは欠かさない 兼坊
7629 花火の音の運動会の朝 野幸
7630 ふるさとの山河も人も優しくて 無耶
7631 雨に誘はれ京の乱菊 游越
7632 三度目の有馬の湯にも運を浴び 無耶
7633 祝いの膳のにぎにぎしこと みど
7634 うつくしきものは赤子の手の動き 兼坊
7635 孫は母にも祖父母にも似て 唐辛子
7636 ガリバーの余生思ひは如何計り 薊子
7637 ヤフー検索あれやこれやと 無耶
7638 お天気は傘と雪だるま交代で 游越
7639 一日一句忘るべからず みど
7639 泣きながらページめくるはヒカルの碁 梨乃
7640 知らずに空けるポテトチップス みど
7641 惑星はこの瞬間も闇を翔け 薊子
7642 鮭は流れに逆らい泳ぐ 兼坊
7643 ラッシュアワー積み残されてまた遅刻 みど
7644 新任教師渾名決定 薊子
7645 風水で決めたカーテンレモン色 みど
7646 小春日和のすこし倖せ 無耶
7647 手術するほどではないと医者は言い 兼坊
7648 渋茶にふうと息を吹きかけ みど
7649 にこりともせずに差し出すぽち袋 薊子
7650 托鉢僧に蝉時雨ふる みど
7651 おみ足を洗はせ給へと少女言ひ 無耶
7652 くずおれる如男は倒れ 兼坊
7653 西陽さす校舎を守る銀杏の木 みど
7654 櫻の園の少女憂鬱 野猿
7655 續篇に傑作はなし日々好日 薊子
7656 コペルニクスに飛ぶ石つぶて みど
7657 バチカンの門前の小僧も経読むか 薊子
7658 イスラム風に薔薇の名前を 無耶
7659 半かけの林檎萎びて図工室 みど
7660 津軽訛を隠し上京 兼坊
7661 この紙の山の向こうに明日の見え 梨乃
7662 カウンセラーは居酒屋の母 みど
7663 貸借のあはぬ五十路のいてふ散る 薊子
7664 二桁以上の計算苦手 兼坊
7665 携帯でカンニングする大学生 みど
7666 中島みゆきも紅白に出る 薊子
7667 初雪の出勤見守る曇り窓 みど
7668 猫と暮らしてしあはせですか 海砂
7669 淋しさはぴたりと合ひし貝の殻 薊子
7670 耳うらにある遠い潮騒 無耶
7671 海もなく山なき里に人となり 兼坊
7672 古本売つて昼飯を食ふ 野猿
7673 病気自慢貧乏自慢は良き肴 薊子
7674 六十過ぎてやたら会ふ友 無耶
7675 くるくると一冬分の柿を剥く みど
7676 炭窯白く煙吐く頃 薊子
7677 熱燗きゅっのんべが口を尖らせて みど
7678 チアリーダーのうれし恥ずかし 薊子
7679 難関の入部審査をくぐり抜け 兼坊
7680 年末年始帰省できない 兼坊
7681 愛し子もその母も今宵ハッシュバイ 薊子
7682 注連縄作りを披露する父 みど
7683 伝統の技一日にして成らず 兼坊
7684 腰をいたはるひめ始かな 薊子
7685 小羊は柱時計に潜りこみ みど
7686 雪女にも佛心が 無耶
7687 恋猫がトルコマーチに誘はれて 野猿
7688 青空の奥マグリット棲む 薊子
7689 忘れ得ぬ朝となりにし飛行場 みど
7690 どんどん増える野ウサギの穴 無耶
7690 手塩で握るおむすびの味 宗海
7691 三代が日向ぼこする丘の上 無耶
7692 もしかしてこれ恐竜の爪 宗海
7693 ロケットの先端ぐにゃり折れ曲がり 兼坊
7694 石の地蔵はすみれ野の中 無耶
7695 惚け人の節確かなる手毬歌 宗海
7696 殿様の手の蜜柑きらきら 野猿
7697 チョコを入れ猫のひつぎに蓋をする 唐辛子
7698 稲葉の山か綿の国星 野猿
7699 花咲けばまた愛しやと繰る写真 みど
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