WEB歌仙「春の風邪」の巻
衆議判 起首:2001.03.11 満尾:2002.04.23
発句 誰となく恋ふるこころや春の風邪 薊子
脇 貝の紅いろ凍てゆるむ頃 無耶
第三 雀の子一二の三で枝離れて 海砂
四 隠れるほどの草を探さん 耶
五 押し照らす月に誘はれひかる露 真由
六 みなトラバーユ考へる秋 子
ウ
七 ソバージュの髪編みこんで西鶴忌 耶
八 指形復習ふ曲舞の振り 砂 ※指形(ゆびなり)
九 弁当はゴマを振ったる海苔むすび 耶
十 中仙道を歩け歩けと じゅん
十一 吾こそは五黄の寅と盆茣蓙に 耶
十二 ビデオテープがついにすり切れ ん
十三 夏の月やる気もなげな昇りばな 砂
十四 桃の葉浮かべ嬰の行水 耶
十五 四世代揃ひカメラにVサイン ん
十六 中華街では銅鑼のどんちゃん 耶
十七 とよもせばたまらず花の散りしきり 砂
十八 鸚鵡に芸をしこむ永き日 ん
ナオ
十九 そよ風に片目の水夫胡坐したる 耶
廿 怒り鎮まるポセイドン神 砂
廿一 豊穣の角に葡萄酒あふれ出て 耶
廿二 しなやかな指誉められてをり ん
廿三 辻姫の思ひがけない年の頃 薊
廿四 戦といふは応仁の乱 耶
廿五 さり気なく咲いて継子のしりぬぐひ 砂
廿六 紙ヒコーキを飛ばす少年 ん
廿七 約束は冬の花火ときめてをり 耶
廿八 秩父の里は雪と月にて ん
廿九 しこしこと手打ち饂飩の味のよき 耶
卅 きれいさっぱり捨てた肩書 ん
ナウ
卅一 必ずと告知をせよと言はれゐて 砂
卅二 若き日の夢めぐる航海 薊
卅三 ひとしきりメビウスの輪を回すらん 耶
卅四 何時しか雨となりし夕暮れ ん
卅五 花衣たたむ吾が身の透き通り 耶
卅六 庫裏の奥まで聞こゆ囀 ん
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