朝IRC歌仙「雨蛙」の巻
衆議判 起首:2002.07.06 満尾:2002.08.10
発句 口上は雨の晴れ間に雨蛙 無耶 三夏
脇 露をはらりと落とす紫陽花 宗海 仲夏
第三 うなゐ髪いちれつらんぱんはれつして 海砂
四 好きなのばかりお手玉の色 耶
五 裏店の暖簾掲ぐる宵月夜 海 三秋/月
六 願ひの糸の揺るる軒端に 砂 初秋
ウ
七 この秋も送る青年協力隊 耶 三秋
八 呼び水注ぐ上総掘り井戸 海
九 フルフェースメットを脱げば美女なりき 砂
十 抱き寄せれば悪の香りが 薊子
十一 哀しみの黒いマリアと呼ばれゐて 耶
十二 石の竈に今朝も焼くナン 海
十三 残月の襤褸市仕切る明烏 砂 歳末/月
十四 禿びた箒が地肌引掻く 海
十五 隣から鉢の炊いたん抱へ来る 砂
十六 ケアマネージャの惑ひ果てなく 薊
十七 人はみな赤子に還る餅の花 耶 新年/花
十八 声良く囃すなづな七草 海 新年
ナオ
十九 朝湯して朝酒となるおのづから 砂
廿 昼行灯の名前戴き 薊
廿一 企画課の人事すんなり運び行く 海
廿二 エンゼル係数嵩みはじむる 砂
廿三 鸛お届け先は橋の下 薊
廿四 泣けど変らぬ性のつたなさ 海
廿五 野ざらしとなるとも恋のみちゆきに 砂 恋
廿六 手を携へてバンジーを跳ぶ 薊 恋
廿七 兼好忌高所恐怖は親譲り 海 仲春
廿八 呼子鳥とは猿といふ説 砂 晩春
廿九 書を置きて眼洗へば朧月 薊 三春/月
卅 早や野仕事に向かふ人影 耶
ナウ
卅一 霜枯の垣にこどもを叱る声 砂 三冬
卅二 杖ころころと風にさらはれ 耶
卅三 一宿の代とて揮ふかすれ筆 薊
卅四 円を描いて一偈作麼生 砂
卅五 存念は花散るひまの牛の鼻 耶 晩春/花
挙句 朝寝の夢はとろりうつらと 薊 三春
|