IRC歌仙「安房女」の巻
衆議判 起首:2006.05.13 満尾:2002.08.26
発句 母の日や雀斑煙る安房女 海砂 初夏
脇 胸の想ひの紅き雛罌粟 無耶 初夏
第三 ジーンズの破れより白の仄見えて 宗海
四 六段変速チャリが疾走 砂
五 波しぶき月のしぶきを存分に 耶 三秋/月
六 筧の竹に柳散るなり 海 仲秋
ウ
七 小所帯の雁のわたりに疲れ見え 砂 晩秋
八 千住の宿の大黒湯まで 耶
九 色町に抜けられますの札があり 海
十 たそがれ時はねず鳴きの声 砂
十一 前の世にタイムスリップしたトマト 耶
十二 若き騎兵の厚き胸板 海
十三 哀愁の鼓笛遠のく春の月 砂 三春/月
十四 まばたきひとつ揺らぐ蜃楼 耶 晩春
十五 緩行の車窓に続く花盛り 海 晩春/花
十六 一身上と書くほかなくて 砂
十七 ひねもすをすててこ暮らし鄙の里 耶 三夏
十八 浅き眠りを破る蚊の声 海 三夏
ナオ
十九 もう半分まだ半分は育ちにて 砂
廿 傷は浅いとかばうもののふ 耶
廿一 黄金のクルスまばゆき陣羽織 海
廿二 宇宙飛行士神と親しむ 砂
廿三 雲の中転がる地球青々と 耶
廿四 恐竜の仔が殻を這ひ出る 海
廿五 汁の実も漬物もみな裏山で 砂
廿六 南蛮育ちは冬が苦手で 耶 三冬
廿七 股引でジゼル踊って叱られる 海 三冬
廿八 娘の酌でちくと一献 砂
廿九 西方にまんまる月も上がります 耶 三秋/月
卅 秋の別れに洗ふ禿筆 海 晩秋
ナウ
卅一 印傳の財布は紅葉踏み分けて 砂 晩秋
卅二 風さやさやと忍野八海 耶
卅三 両の手に木綿豆腐の持ち重り 海
卅四 三番王に四番長嶋 砂
卅五 花吹雪振りかぶつたる虎の軍 耶 晩春/花
挙句 眼見張りて睨める勝鶏 海 晩春
※発句 雀斑(そばかす)
脇 雛罌粟(ひなげし)
第三 仄(ほの)
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