IRC歌仙「はたた神」の巻
衆議判 起首:2002.05.25 満尾:2002.06.29
発句 癇癪を落して去りぬはたた神 宗海 三夏
脇 青無花果の太りゆく軒 薊子 初夏
第三 馬の尾にリボン編みこむ朝明けに 海砂
四 霧の晴れ間を藁匂ふ月 無耶 三秋/月
五 破れ衣となりし案山子の紺絣 海 三秋
六 負け振り褒める孫の野角力 薊 初秋
ウ
七 手ぶれして迫力すごきビデオなり 砂
八 赤と青とが入り乱れつつ 耶
九 塗箱の中に息付く比女鑑 海
十 ピアノレッスン今日も午後四時 薊
十一 深爪に剪りそろへしを陽にかざす 砂
十二 山の初湯のゆらり溢れて 耶 新年
十三 習はしは逆様に置く飾海老 海 新年
十四 カンディンスキー呼ぶや凍月 薊 三冬/月
十五 庭の池名を不忍と古屋敷 砂
十六 顔を隠して通ふ賭け事 耶
十七 花びらを定紋に置く緋縮緬 海 晩春/花
十八 いろは匂へど春愁の襟 砂 三春
ナオ
十九 揮発油もとらぬ汚れのおぼろにて 耶 三春
廿 どこに落ちたか辞書の背表紙 海
廿一 メリさんの羊がなほる教室に 砂
廿二 歌へばひらと夏蝶の群 耶 三夏
廿三 白樺の径は消え行くおのづから 海
廿四 提灯さげて送り狼 砂 三冬
廿五 厄介はおぼこ二八の胸の火事 薊 三冬
廿六 鳴らせ半鐘雪狂ふまで 耶 三冬
廿七 終幕の予感寄せ来るひそやかに 海
廿八 鼠の走る二十五時前 砂
廿九 大陸の摩天楼には赤い月 耶 三秋/月
卅 コニャック舐める髭のやや寒 海 晩秋
ナウ
卅一 啄木鳥の脳震盪が案じられ 砂 三秋
卅二 赤いベレーの二列縦隊 海
卅三 数へ日の救世軍は鍋担ひ 砂 歳末
卅四 ビデオカメラが写す雑踏 海
卅五 人去れば散り惜しみする花心 砂 晩春/花
挙句 主待ち顔に下がる切れ凧 執筆 三春
※廿一 なほる…きちんと坐る
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