IRC歌仙「玉椿」の巻
衆議判 起首:2005.04.02 満尾:2006.04.29
発句 ことしまた巡り会ひけり玉椿 宗海
脇 面影人と連れて惜春 海砂
第三 さらさらと柔東風渡る川辺にて 無耶
四 ややの衣を仔犬ひつぱる 海
五 名跡を継いで月見のご挨拶 砂
六 長屋の衆へ松茸の飯 耶
ウ
七 へつついにばったが踊る賑やかさ 海
八 とうとうと呼ぶひよこめんどり 砂
九 下蔭の乙女の眉の清らかに 耶
十 胸ときめいて入る暗室 海
十一 ネガなりに恋しい人が微笑んで 砂
十二 あのパラソルはどこへ行ったか 耶
十三 短夜をカスバの路地に沈む月 海
十四 世界遺産の噂聞くころ 砂
十五 合併のひらかな名前ばかりなる 耶
十六 暗証番号またも忘れる 海
十七 花の下レトロの洋食店なじみ 砂
十八 初虹かかる湾の凪ぎをり 耶
ナオ
十九 腰掛けて見おろす春の千枚田 海
廿 執筆了えて深呼吸する 耶
廿一 立ち話つい長くなる垣隣り 海
廿二 駆込み寺に猫が駆け込み 耶
廿三 顔洗ふ朝はかたみに息凍みて 耶
廿四 試写会観たる宵の馴れ初め 海
廿五 韓流の礼儀正しき夏となり 耶
廿六 肌によろしき麻の着心地 海
廿七 なつかしや白毛交りの髭のひと
廿八 二階座敷でたぐる盛り蕎麦 海
廿九 更科の月ふたたびの阿呆列車 耶
卅 残りの菊の色うるはしき 海
ナウ
卅一 行く秋のここにかしこに忘れもの 耶
卅二 札をはさんだ市の古本 砂
卅三 脱サラの帳尻とんと合はぬこと 海
卅四 皿の数より酒の一杯 耶
卅五 建前に蝶も加はる花盛り 海
挙句 陽炎のたつ木遣朗々 砂
|