<文責:女王様1号>
昨年のW杯に端を発する局所的イルハンブーム、そしてトルコの伸びるアイス・ドンドルマをモデルに開発された「雪印 トルコ風アイス」の発売…と、もしかしたらどこかでものすごく盛り上がっているのかもしれない(笑)「日本におけるトルコ年」の今年、満を持して「大トルコ展」が東京にやってきた!(確か昨年の春は静岡美術館で開催されていたハズ)
一方、マヤブームが盛り上がっているという話はそれ以上に聞かれないが、花見客で賑わう上野ではグァテマラ&ホンジュラスを舞台とする大規模な「マヤ文明展」が開幕。
このまったく性格の異なる、かたやユーラシア大陸の彼方、かたや太平洋の彼方の文明展に女王様1号が乗り込んで参りました。
出品されているのはトルコ初の私立美術館であるサドベルク・ハヌム美術館というところの所蔵品で、青銅器時代~19世紀まで7000年(!)にわたる文物が含まれている。 左上写真の女神形壺は後期新石器時代のもので、紀元前5000年以上前に作られたもの。
- 大トルコ展 遙かなるイスタンブール ~文明と美術~
- 場所 : サントリー美術館 (赤坂見附駅赤坂地下道B出口より徒歩1分)
- 期間 : 2003年2月18日(火) ~ 4月6日(日)
- 料金 : 1,000円
このように、最初の方の展示品はメソポタミア文明やヘレニズム時代、ギリシア・ローマ美術の影響が大きく、展示品の種類としても壺やレリーフ類が多い。 我々がイメージする「トルコだね!」って感じのものは少ないが、なんとなく「文明の十字路」というフレーズが頭をよぎるのだった。しかし、やはり後半に登場するオスマン・トルコ帝国時代の宝飾品・陶器・書などの方が、いかにもそれらしくて見甲斐があります。 下の3点はいずれもオスマン・トルコ時代のもの。
宝飾品は無論まだカット技術が未熟なので石が不揃いでゴツゴツしているが、その豪華さは一目瞭然。
イズニックタイルはデザインといい出来といい、現在まさにグランドバザールで売られていてもおかしくない。
書は歴代のスルタンが奉納したものが多く、(下の書にはないが)うにうに~っとした花押っぽいマークがどれにも書かれており、「これは『スルタン』という意味なのか? それとも『アラーは偉大なり』とか書いてあるのか?」と考えたが結論は出ず。
婚礼用金製宝飾冠 イズニック窯ロゼット雲文六角タイル 書(多分コーランの一節) シブイところでは、古代ローマ時代などの古~いものから近代のものまで貨幣を集め、アクリル板にはめ込んで立てて、表からも裏からも見やすく展示してあったり。
他には、来客にお茶を出していた(?)オスマン・トルコ時代の「コーヒーセレモニー」という儀式をマネキンを使って再現しているコーナーもあり。
ビデオのコーナーではイスタンブールを始めとするトルコ各地の世界遺産的なものが紹介されていて、ブルーモスクやアヤソフィアを見て「懐かしい~」としみじみ(大げさな)。入口ではなく、展示室の奥の方に販売コーナーがあったが、絵ハガキ(\100)やしおりは今回の展覧会にあわせて作られたものではなく、普段サドベルク・ハヌム美術館で販売しているのを単に持ち込んだようで、種類も少なく、今回展示されているものとイマイチ関連がなかった。 ナザールボンジュー(青目玉の飾り物)とかエルマチャイ(アップルティー)のティーバッグとか布類の方が充実していた。
日本語版になっている「トルコ料理入門」みたいな本があり、\1,200なので買おうかどうしようか悩んだのだが、買っても絶対に作らないし(爆)、ドンドルマの作り方も出ていなかったので止める。最近の展覧会や映画館では、よく館内のレストランがタイアップして関連のあるメニューを出したりするが、サントリー美術館にはそれがなかったのが残念(展示室内になぜか館内喫茶店の\100割引券は置いてあった)。 「ドンドルマとシシカバブのセット」とか出してくれたらウケるのに。少なくとも1号は絶対食べる。 (^^)
しかしながら、1時間くらいで十分見られる小規模な展覧会にもかかわらず、老若男女のトルコ好き(?)が想像以上に訪れており盛況でした。 この後、トルコ料理関連のイベントなども企画されているようで、「日本におけるトルコ年」から目が離せない! いやマジで!(笑)※ 写真は展覧会のチラシより転載しました。
今回の展示品はほとんどが日本初出品だそうだが、大きく分けてグァテマラのアグアテカ遺跡とホンジュラスのコパン遺跡からの出土品がメインになっている。
- 神秘の王朝 マヤ文明展
- 場所 : 国立科学博物館 (上野駅公園口より徒歩5分)
- 期間 : 2003年3月18日(火)~ 5月18日(日)
- 料金 : 1,300円
アグアテカ遺跡の方は、同じくグァテマラのティカル遺跡に比べるとマイナー感は否めないが、外側を翡翠の小板で覆った容器や儀式の様子を描いた多彩色土器などが展示されていた。
一方、コパン遺跡の方は、マヤ文字と人物像の刻まれた石碑(ステラ)や祭壇の一部、コパン王朝歴代王をかたどった香炉の蓋(右上写真)など大きなサイズの展示品が多く、気合いが感じられた(?)。
このような展示品に残された姿からすると、当時の王様たちは巨大なかぶりものと耳飾りが特徴。初代王ヤシュ・クック・モ(右上写真中央)がつけているゴーグルも気になる。
また、最後となる16代目の王が作らせた祭壇というのがあって、4面に各4名ずつ歴代王の横向き姿が彫られているのだが、この像が全員鼻から鼻ちょうちん風のモノを出しているのもかーなーり気になる。 まさか鼻ちょうちんということはないだろうからエクトプラズム??? いやはや、さすが神秘の王朝、まだまだわからないことは多い(そういう問題なのか?)。
左上写真は、左側がトウモロコシの神で右側がカカオの神。トウモロコシの神はかぶりものからトウモロコシの穂が。そしてカカオの神は身体にカカオの粒が。 わかりやすいと言えばわかりやすいが、笑えると言えば笑える(特にカカオの神)。日本だったら稲の神になるんだろうか…。グッズ売場のある別会場で行われているもう1つの展示がVRシアター。 どこかで聞いたような、と思ったら、昨夏に印刷博物館で開催されていた「ヴァチカン教皇庁図書館展」で見た「バーチャル・システィーナ礼拝堂」と同じシステムではないか。 よく見れば、この展覧会の「協力」にしっかり凸版印刷が名を連ねていた。
上映内容は「王の権威確立と衰退」「驚異の叡智と技術」「マヤ文字のなぞ」と3パターンあるが、整理券と引き替えに入場券の半券をもぎられるので、1回の入場につき1つの内容しか見れないっぽい。 わざわざ整理券を出すくらいだから見たい回(30分毎)は指定できると思うのだが、この時はすぐに始まる回を深く考えずに見てしまった。「王の権威確立と衰退」の回だった。
印刷博物館と違って常設VRシアターではないため、正面に緩い弧を描く大型スクリーンがあるのは同じなのだが、イスはなく立ち見。 整理券を出しているにもかかわらずギュウギュウで(定員150名)、最後の方の人は階段に座らされていた。
そして時間になって出てきた解説者を見て唖然! カラフル&キテレツな衣装を身につけた若い男が「ワシはコパン王朝16代目の王なんじゃ」と来たよ。 (^^; 売れない小劇団役者のバイトか?! 観客のひんやりした態度にもめげない彼の「それではワシと一緒に出発じゃ~」という声と共に上映開始。
「王の権威確立と衰退」と小難しいタイトルがついているが、内容はコパン遺跡の主立った遺構の紹介。 印刷博物館のシステムは操作席みたいなところから動かしていたと思うが、技術が進歩したのか、16代目王(笑)が手に持ったプレステのコントローラみたいので自在に前後左右上下に映像を動かせるようになっていた。 意外に急発進・急停車することが多く、酔いやすい人は要注意かも(乗り物酔いしやすい人・ジェットコースターが苦手な人・妊婦はご遠慮くださいという注意がある)。
それでも遺跡全体を俯瞰したり、細部にズームしたり、神殿内部に潜っていったりという映像はVRシアターならでは。今後もあちこちの展覧会に導入されることを期待する。頑張れ凸版印刷。変な解説者は導入しなくていいけど。 所要約15分。今回はシアターの外のモニターでも上映されているのと同じ映像を見ることができるようになっていたり、台数は少ないが自分で移動をコントロールできるパソコンも設置されていた。VRシアター観賞後、実は1号が密かに楽しみにしていた「マヤ文字スタンプをつくろう」のコーナーにチャレンジ。 マヤ文字は表意文字兼表音文字で(多分)長年解読されていなかったが、1960年代から解読が進み、今では8割方解読されているとのこと。
体験コーナーはVRシアターと同じフロアにあるのだが、広いグッズ売場の陰に隠されて全然目立たない。10時~12時および13時~15時の間、奥の壁際でやっているのでゼヒ探してみてください。1ヶ100円、所要約15分。
- まずは作るスタンプを決める。0~20までの数字と賢人・カカオ・神・誕生を表す4種類の文字の中から選べる。数字が0~20までなのは、マヤ文明が0の概念を持つ20進法を用いていたから。 どの数字も文字も人物や動物の横顔っぽい。1号は「神」をチョイス(右下写真)。
- 次に材料になる「おゆまる」という低融点樹脂を2本選ぶ(色々なカラーがあるので)。 これは80度くらいで軟らかくなり、冷えると固くなる物質らしい。1号は緑色と黄色をチョイス。これを沸騰しているお湯の中に入れて待つこと3分。
- 低融点樹脂が軟らかくなったら取り出して手でこねる。子供の頃に使ったロウ粘土のような感触。1号は2本を完全に混ぜてこねたので黄緑色に(別々にこねても良い)。
- こねたら、チョイスしたスタンプ用の型(シリコン製?)に押し込む。隅々まで行き渡るようにしっかり&グズグズしていると固まってくるので手早くするのがポイント。
- スタンプとしての「つまみ」部分は全体から寄せて上げて(笑)作っても良いし、最初から低融点樹脂の1.5本分を本体、0.5本分をつまみ用に分けておいてくっつけても良い。
- 型から取り出し、冷水に漬けて待つこと5分。
- 朱肉をたっぷりつけて試し押しし、くっきり押せればOK。失敗した場合は再度お湯に入れれば、また軟らかくなって作り直すことができる。
グッズ売場では、図録や絵はがき(\100)などの定番商品の他、ハンドタオル(\500、左下写真)、Tシャツ、トートバッグなど、マヤ文字をフィーチャーした商品が目についた。 よくエジプト方面の展覧会では「ヒエログリフスタンプセット」が販売されているので、「マヤ文字スタンプセット」はないかと探したが(既に1ヶ作ったにもかかわらず)、残念ながらそんなものはなかった。
公式グッズとは別に販売されているカラフルな織物製品やアクセサリ類など、グァテマラ&ホンジュラス直輸入?グッズの方が広い売り場面積を占めていた。1号が行った日はもう春休み終了後で天気も悪かったのだが、会場は入場制限がかかるほどの混みっぷり。いったい日本のどこにこれほどマヤ文明好きの人々がいたのか(含 自分)?と思うほど。 科博側もここまで人気とは予測できなかったのか、会場の通路の幅などが狭く、ますます混雑に拍車をかける悪循環。 展示の説明も下の方に小さくついているものが多く、渋滞を引き起こしていた。科博は展示方法に関してちゃんと勉強してもらいたい。 (-_-#
それはともかく今回の展示を見て、グァテマラ&ホンジュラスほどディープなところに行くかはさておき、とりあえずメキシコには行こう!と強く心に誓った1号でした。※ 上2点の写真は絵ハガキより転載しました。