第十回「RPGの未来」
 
 

 と、まあ、それなりに大きなテーマをぶち上げてみたのですが、

実は何を書いていいものか全くわからなかったりして。

何を書いていいのか分からないので、私が「これはっ!」と思ったRPGの

よもやま話でもしていきましょうかね。

そのよもやま話の中から私の理想のRPG像などが浮かんでくればいいんですが。

 よもやま話って言う割には恐ろしく長いですが、それはそれだけ私の思い入れが

深かったんだ、ということで大目にみてやってください。
 
 

 私が初めてRPGというものに触れたのはもはやその知名度の高さでは

他に並ぶものがないほどの作品「ドラクエV」でした。

……まだ私が小学生だったころの話ですねー。

いやー、あのころは私も若かった。

 それなりに苦労しつつも何とかラスボスを倒すことができました。

このころは、私もRPGヲタクだったわけではなく、普通に他のゲームも楽しんでたり

してたりしました。

 これには強烈な思い出は特にありませんね。あるとすれば、発売日に親に買ってもらえなかった

悔しい思い出ぐらいですか。私がクリアしたころにはみんな他のゲームやってましたからね。

 ただ、RPGというジャンルがこの世に存在しているということをはっきりと知ってしまった、

という事実があるだけです。
 

 どうでもいいような話ですが、クリア後には「勇者」を外したパーティを組める、

っていうおまけ要素があったのが面白いと思いました。

 「勇者」抜きのパーティであちこち旅して回るのがなかなか面白く、

クリア後はほとんど「勇者」がパーティにいなかったような……。

 あと、クリアには不必要なイベントが一つ用意されていたのが印象深いです。

眠りの村「ノアニール」っていう場所があるんですが、ここの住民は

永遠に眠りつづける呪いをかけられて全員寝てます。

もちろん、彼らを呪いから解き放つことはできるんですが、

無視しちゃってもゲームの進行には何ら影響はありません。

 RPGをプレイする上で私が重要視する「無駄要素」がこの時点で既に実現していた、

という事実は、私にとっては非常に興味深い事実でした。

(私が「無駄要素」を重視するといっても、そのゲーム自体の出来が悪ければ

もちろん私の中での評価は低くなります)
 
 

 次に私の中で印象的だったRPGは名作「マザー」でした。

「ドラクエV」とは全く違う世界観で、現代(とは言っても今では一昔前、ということに

なるんだろうなあ)アメリカのような世界観で繰り広げられるゲームです。

 もちろん、ファーストフードのお店もあります。

フライドポテトを買って食べたり、ハンバーガーを食べたりすることもできます。

学校だって商店街だってあります。おまけに電車やら飛行機やら戦車やらも出てきます。
 

 個人的にアメリカという「国家」は大嫌いですが、その「雰囲気」は決して嫌いなものでは

ありませんでした。というか、このころは「アメリカという『国家』」は嫌いじゃ

ありませんでしたから。……この話題は話し出すと長くなるし、政治臭い匂いがするのは

あまり好きではないので、割愛させてもらいます。
 

 このゲームをプレイしたとき、生まれて初めて「ああ、RPGってなんて面白いんだろう。」

と思ったような思わなかったような。とにかく、「ドラクエV」以上の情熱で

クリアに向けてプレイしつづけたのをよく覚えています。
 

 またまた余談になりますが、ラスボス「ギーグ」は、どんなにダメージを与えても倒せません。

「ギーグ」は、セリフを喋りながら攻撃してくるのですが、(「攻撃の正体がつかめない!」

という「ギーグ」の攻撃には子供心に少し気味の悪さを感じていたり)そのセリフを全て

喋り終えたターン以降、突然何の脈絡もなく自分たちのコマンドの中に「歌う」というものが

出てくるんです。これに気づかなかった私は、くる日もくる日も「ギーグ」との戦いを続けました。

「歌う」コマンドを選びつづけるとゲーム中集めた「メロディ」が曲となって流れるんですが、

この曲が完成するとめでたく「ギーグ」は倒れます。

(最初のころは歌うと妨害されるんですが、繰り返すたびに局が長くなっていって、

やがてはフルコーラスで曲が流れるんです。その時「ギーグ」は倒れるんですが)

もちろん、「ギーグ」は死んだわけではなく、逃げ出した、という形らしいんです。

(「マザー2」では完全に息の根を止めた……のかな?)

 で、何故「ギーグ」が歌なんかで倒れるのか、と言いますと、宇宙からの侵略者の親玉である

「ギーグ」は何故か(このあたりのエピソードを忘れてしまった……ただ、なんか

とんでもなくひどい話だったような記憶があるんですが)地球人の夫婦の手によって

育てられました。で、この夫婦、わけのわからない怪物だった「ギーグ」のことを

結構可愛がっていたようで(ひょっとしたら子供のころは怪物ではなかったのかもしれませんね)、

よく子守唄を聞かせてあげたそうなんです。

「メロディ」で流れる曲は、まさにこの子守唄そのものなんですわ。

 子守唄で宇宙からの侵略者を撃退する、なんていい話じゃありませんか。

しかも、子供の頃聞かせてもらった子守唄で戦意を喪失して逃げ出すなんて、

「ギーグ」は恐ろしくピュアな心の持ち主だったのかなんなのか……。

私のニワトリ並みの脳みそじゃこれ以上のことはよく分かりませんが、

このエンディングを初めて見た時、なんというか魂が震えました。

 また、このゲーム、曲が素晴らしすぎるんです。

まあ、戦闘の曲とかはそんなにかっこよくて勇壮な曲だったわけじゃありませんが、

その代わり戦闘らしからぬユーモラスな曲や、ファンキーな曲が流れることもあったり。

「メロディ」の曲ももう素晴らしすぎて涙出そうですし。

 もちろん、欠点もいくつかありました。

「メロディ」を集めるためのヒントがどこにもない、武器はともかく防具の種類が

あまりにも少なすぎる、ダンジョンなどがむやみやたらに広い、などなど。

(要するに、クリアするには攻略本必須ってことです。攻略本にも「ギーグ」は歌で倒す、

とは書いてませんでしたが。最後の戦いぐらいは自分で何とかしろってことですかね)

にもかかわらず、やはりこのゲームがずば抜けて面白かった、という私の評価は変わりません。
 
 

 3番目に私の中で強烈な印象を残していったRPGはFF……ではなく、

ファミコン版「ウィザードリィV」でした。

 小学生の癖にこんなゲームに手を出すという時点で少しずれてるような気がしないでもないですが。

「RPG=『ドラクエV』みたいなもの」というイメージが既に頭の中に刷り込まれていた

私には、これの衝撃は大きすぎました。
 

 まず、敵の怪物が超がつくぐらいリアル志向の絵で描かれていて、

あまりにもカッコよすぎた(これを「リアル過ぎて気持ち悪い」と感じた人は

即「ウィザードリィ」道から、しいては洋モノファンタジー道から外れますね)

のが非常に印象的でした。ファミコンの汚いドット絵だったにもかかわらず、

これほど綺麗に感じるとは。なんというか、子供心に何かを感じ取ったようです。

 余談ですが、敵モンスター「サッキュバス」(現在では「サキュバス」という書き方が

一般的みたいですが、私の記憶では当時はこういう書き方をしていたはずです)

が大股おっぴろげ状態だった理由が小学生だった私にはわからず、

高校生ぐらいになってようやくその理由がわかった、というエピソードがあったりします。

わけがわからない人は「サキュバス」というキーワードで検索をかけてみるといいでしょう。

恐らく、わんさか18禁サイトが表示されるはずです。「サキュバス」とは、そういう怪物です。
 

 そして、小学生には酷なほど以上に高い難易度にも、非常に驚きました。

結局、クリアどころか地下4階に行けたかどうか……同時進行していた

友人はもうちょっと奥深くまで潜ってたはずですが。

 敵が恐ろしく強い、というのに加え、3Dダンジョンというものに不慣れだった、

というのが不幸だったのかもしれません。もちろん、この当時の3Dダンジョンタイプの

RPGに、「オートマッピング」などという親切なものは存在しません。

 さらに、(特に序盤)絶対に死んではいけないという超がつくほど過酷なゲームルールや

(死ぬとさまざまなペナルティがつくんです。しかも、復活は必ず成功するわけではなく、

失敗すればそのキャラクターは永久に消失します。また、パーティが全滅すると

死体は迷宮内に置き去りとなり新たにパーティを結成してその死体を回収しに

いかなければなりません。死体のままあまりにも長い時間放置されていると、

やはり「ロスト」、永久に消失してしまいます。)、あまりにも軽すぎるプレイヤーの命などなど、

それまでプレイしてきたRPGの常識を根底から覆すようなとんでもないゲームで、

やってて泣きが入りました。というか、無理です。今やってもクリアできるかどうか怪しいですね。

無理かも。無理といっておいたほうが無難でしょう。

何せ、敵も味方もやられたときは「〜は死んだ!」で統一されてますから。

怪物と人間の命の価値がイコールなんですよ。この世界では。

 この、とてつもなく硬派な世界観は、私にかなりの衝撃を与えました。
 
 

 4番目に私に衝撃を与えたRPG、それは「ルナティックドーンU」でした。

恐らく、これが私にもっとも大きい影響を与えたRPGだったんでしょう。

そうでなければ「ルナドン」こと「ルナティックドーン」の小説なんて書いてませんから。

 別のコラムで述べているのでこれ以上長々と語りませんが、とにかく

「RPGは『シナリオ』がなくてもこんなに面白くなるんだ。」という一つの教訓を得た、

ということだけは言えるでしょう。
 
 

 で、5番目となったのは、サターンの名作「グランディア」でした。

「RPGは『シナリオ』がなくてもこんなに面白くなるんだ。」という教訓を得たばかりなのに

シナリオ重視の普通のRPGにはまるとは。

 でも、後で思い返してみると、このゲームのシナリオって、全体を通してみると

そんなに斬新なわけでもなんでもないんですよね。
 

 ただ、個々のキャラクターがものすごく魅力的で、どいつもこいつも

一度会ったら二度と忘れられなくなるような人物ばかりだったんですよ。

(悪の元凶とも言える人物「バール将軍」だけは紋切り型の悪役であまり魅力がなかったですが)

 だからこそ、後に「グランディア デジタルミュージアム」

「グランディア パラレルトリッパーズ」等の「グランディア」のキャラを使った

ゲームが登場したりしているんでしょうが。

 また、かなり斬新な戦闘システムを取り入れていたりして、戦闘が非常に面白い、

というのも特徴の一つだったか、と。
 
 

 最後に、一番最近私の印象に残った……というか、これを書いている現在も進行中ですが……のは、

「クロスゲート」といういわゆる「インターネットRPG」でした。

それまでに、「DIABLO」と「DIABLOU」をやってたんで、

「インターネットRPG」をやったのはこれが初めてではないんですが、

「ウルティマ・オンライン型」……すなわち、何をしてもいいが、

決められた目的など何一つ存在しない、という「ルナドン」的な「インターネットRPG」

で、初めてヒットしたのはこれでした。

(それ以前にも「ウルティマ・オンライン型」の「インターネットRPG」を

やってたこともあります。「マジェスティ」って名前ですが)

 これ駄目だー!!かつて「ウルティマ・オンライン」が「廃人製造ゲーム」と称されただけは

ある!!いまだに実生活が壊れていないのは私が両親と一緒に暮らしているから。

一人暮しだったらとっくに壊れていたでしょうね。手遅れなぐらいに。

 何が面白いって、まずやらなきゃいけないことがないんで、

他人に合わせる必要がなく自由気ままにゲームが楽しめること。

そして、戦闘だけではなく、さまざまな生きかたができる、という点が激しく私の心を

揺さぶりました。もちろん、戦闘に生きてもいいんですが。
 
 

 あ、蛇足。一つ付け加え忘れてました。

RPGの戦闘に画期的な変化をもたらした、という意味で

「FFW」を挙げておきましょうか。

言うまでもなく「アクティブ タイム バトル(以下『ATB』)」の事を指して言ってるんですが。

最も、「FFW」内では結局あんまりATBは面白く機能してなかったように思えますが。

でも、一応後にATBからヒントを得たとおもわれる数多くの戦闘システム

が生まれた所から、印象に残ったゲームの一つに挙げておいてもいいと思うんですが。
 

 さて、ここまでだだだだっと書いちゃいましたが、結局RPGの将来って

どうなっちゃうんでしょうね?

実は思い出のRPGは他にもまだまだ沢山あります。いつか語る機会があったらいいですな)

まあ、「インターネットRPG」が今後はたくさん出てくると思うんですが、

そうなるとつまらない「インターネットRPG」も出てくるわけで。

家庭用のスタンドアローンな普通のRPGがすぐに廃れるとも思えないし。

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